2026年7月3日 BBC NEWA JAPAN
カナダで、家族とコテージを訪れていた少年(11)が就寝中、鼻や口の付近にコウモリに乗られ、その後に狂犬病で死亡した。カナダ医師会誌(CMAJ)に報告が掲載された。
https://www.bbc.com/japanese/articles/cy491mj1w7xo
狂犬病といえば"Del amor y otros demonios" (邦題「愛その他の悪霊について」)でしょう。
導入部の発掘現場のニュースから、「白髪三千丈」風のデマをスイッチにして、18世紀のコロンビアを舞台にした本編になだれ込むあたりは、まさに「マジック・リアリズム」の面目躍如だが、この小説のテーマはそこではない。高貴な血筋に生まれながら黒人奴隷に混じって育ち、アフロ系の信仰やダンスを自分の一部として育ったシエルバ・マリアの立ち位置、彼女が狂犬病にかかったとされてから、彼女を彼女に共感する神父もろとも葬り去ろうとする世間の反応は、ガボの小説の主要なテーマでありながらほとんどの読者と評者にスルーされている「疎外」なのだ。
シエルバ・マリアは、住民の誰もが「殺される」と知りながらそのまま殺される「予告された殺人の記録(Crónica de una muerte anunciada)」の主人公であるレバノン移民・サンティアゴ・ナサルと同様、コロンビア海岸地方の共同体では異物だった。狂犬病騒動はそれを露わにした触媒に過ぎない。そう、タイトルの "otros demonios"(その他の悪霊・複数形) とは、共同体が異物を悪魔化し排除するメカニズムそのものなのだ。
Alejandro Duran "Sielva Maria"
https://youtu.be/MFnPUwyBe0c?si=vZsIYlDqrXx-OWiw
"Pileña de pelo largo, muy coposón"
(髪の長い、とってもキュートなピレーニャ)。ピレーニャとは、コロンビア・セサル県の田舎町・エルパソ出身の女の子のこと。死後も髪が伸び続け、解体現場から「白髪三千丈」状態のミイラになって発見された少女の名前の由来は、まあこの曲だよな。あの美しい悲哀の物語の雰囲気が壊れてしまうと嘆く人もいるだろうが、作者が「自分の小説はバジェナートだ」って言ってるんだからしかたないんだよ。今や伝統音楽の担い手として尊敬されるバジェナートの放浪詩人たちも、元々はアコーディオンを担ぎながら共同体とその外側の境を彷徨う異物だったのだ。
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