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2026年前半はこれだ!ガルシア=マルケス「共同体」と「異物」

2026.07.15

コウモリに顔に乗られ、狂犬病で死亡 カナダの11歳少年
2026年7月3日 BBC NEWA JAPAN
カナダで、家族とコテージを訪れていた少年(11)が就寝中、鼻や口の付近にコウモリに乗られ、その後に狂犬病で死亡した。カナダ医師会誌(CMAJ)に報告が掲載された。

スクリーンショット 2026-07-14 225758.png
https://www.bbc.com/japanese/articles/cy491mj1w7xo

狂犬病といえば"Del amor y otros demonios" (邦題「愛その他の悪霊について」)でしょう。

導入部の発掘現場のニュースから、「白髪三千丈」風のデマをスイッチにして、18世紀のコロンビアを舞台にした本編になだれ込むあたりは、まさに「マジック・リアリズム」の面目躍如だが、この小説のテーマはそこではない。高貴な血筋に生まれながら黒人奴隷に混じって育ち、アフロ系の信仰やダンスを自分の一部として育ったシエルバ・マリアの立ち位置、彼女が狂犬病にかかったとされてから、彼女を彼女に共感する神父もろとも葬り去ろうとする世間の反応は、ガボの小説の主要なテーマでありながらほとんどの読者と評者にスルーされている「疎外」なのだ。

シエルバ・マリアは、住民の誰もが「殺される」と知りながらそのまま殺される「予告された殺人の記録(Crónica de una muerte anunciada)」の主人公であるレバノン移民・サンティアゴ・ナサルと同様、コロンビア海岸地方の共同体では異物だった。狂犬病騒動はそれを露わにした触媒に過ぎない。そう、タイトルの "otros demonios"(その他の悪霊・複数形) とは、共同体が異物を悪魔化し排除するメカニズムそのものなのだ。

Alejandro Duran "Sielva Maria"

https://youtu.be/MFnPUwyBe0c?si=vZsIYlDqrXx-OWiw


"Pileña de pelo largo, muy coposón"
(髪の長い、とってもキュートなピレーニャ)。ピレーニャとは、コロンビア・セサル県の田舎町・エルパソ出身の女の子のこと。死後も髪が伸び続け、解体現場から「白髪三千丈」状態のミイラになって発見された少女の名前の由来は、まあこの曲だよな。あの美しい悲哀の物語の雰囲気が壊れてしまうと嘆く人もいるだろうが、作者が「自分の小説はバジェナートだ」って言ってるんだからしかたないんだよ。今や伝統音楽の担い手として尊敬されるバジェナートの放浪詩人たちも、元々はアコーディオンを担ぎながら共同体とその外側の境を彷徨う異物だったのだ。

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posted by eLPop at 09:43 | 山口元一のiAy Hombe!

『2025年はこれだった:今年のコロンビア』(山口元一)

2026.01.01

年末恒例・2025年に発表された新曲から10曲です。コロンビアらしくバラエティに富みつつ、30年前の新曲と言っても違和感がないラインナップですが、プレイリストにしてお楽しみを。

Safara "La Negrura"

https://www.youtube.com/watch?v=CZhCacPVWUs

Verito Asprilla "Malo H"

https://www.youtube.com/watch?v=u59PsvTQCsM

Jossman x Canalón de Timbiquí x Nidia Góngora "Corréte"

https://www.youtube.com/watch?v=34gTvmFuMkI

María Mulata "Etérea y Terrenal"

https://www.youtube.com/watch?v=lIU9oPJdxMc


ChocQuibTown "Pa Olvidarte"

https://www.youtube.com/watch?v=QfhqUgC2nM0


Diana Burco, Binomio De Oro De América "Amores Del Río"

https://www.youtube.com/watch?v=6kGEM74mLZo


Velosa y Los Carrangueros del 25 "El Mirlo y La Flor"

https://www.youtube.com/watch?v=a59p1tYHcmE


Adriana Lucía "La Candela"

https://www.youtube.com/watch?v=uAmYqxtarTc


La Pambelé "Perdí mi corazón"

https://www.youtube.com/watch?v=ZQWX9bZeCd8

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posted by eLPop at 04:47 | 山口元一のiAy Hombe!

ディアナ・ブルコ、サファラ、La-33

2025.06.14

コロンビアの最新ヒットを紹介するコーナー、”Ay,Hombe"です。

1曲目はなんと言ってもこれ!
ブカラマンガ出身の女バジェナート・ディアナ・ブルコ(Diana Burco)とビノミオ・デ・オロ(Binomio De Oro De América)のコラボです。リズムはクンビア。よってバジェナート原理主義者には評判悪いけど(もっともアイレが4つっていうのはむしろ後付けだと思うよ。詳細は俺の過去記事でも探してみて。)、俺は好き。2025年5月の発表です。

Diana Burco, Binomio De Oro De América "Amores Del Río"

https://www.youtube.com/watch?v=6kGEM74mLZo


2曲目はチョコー出身の歌手の新作。あんまりパシフィコっぽくないけど、いいね。2025年5月の発表です。

Safara"Estoy Que Me Bailo"

https://www.youtube.com/watch?v=oHdrILBJcqE


3曲目はサルサ。La-33の新作で、歌手はロンドン生まれのコロンビア人ブリエラ・オヘダ(Briela Ojeda)。70年代サルサみたいでかっこいい。2025年2月のリリースです。

La-33"Qué Te Pedí"

https://www.youtube.com/watch?v=b6YNSpUM1nU


ではまたの機会まで。
posted by eLPop at 01:28 | 山口元一のiAy Hombe!

2024年はこれだった:コロンビアの10曲

2024.12.31

2024年に発表された新曲からちょっと大目に10曲選んでみました。
コロンビアらしくバラエティに富んだラインナップなので、プレイリストにして楽しんでください。

El León Pardo "La Perica"

https://www.youtube.com/watch?v=DLNjt4yQ4oE


Matachindé ”Morir Cantando・

https://www.youtube.com/watch?v=fZxYjO8zvaA&list=OLAK5uy_mMNwjVEamVtUUTdGRjTSNXXrNt17guXZY&index=1


Clandeskina ”En Cali se quedó

https://www.youtube.com/watch?v=hE0L_ERVq4E


El Rolo Entusao "Los Carrangomelos"

https://www.youtube.com/watch?v=Q_QvQUCS2Zg


De Mar y Río "Bailen y Gocen"

https://www.youtube.com/watch?v=n6929zqtAhc


Martina Camargo ”La pollera”

https://www.youtube.com/watch?v=Bo-Re2RtRCM


Adriana Lucía "Te Lo Digo En Cumbia"

https://www.youtube.com/watch?v=WI2YtrDg7kY


Grupo Niche "Cali Pachanguero 40 Años"

https://www.youtube.com/watch?v=EhBwGUityKo


Katie James y Victoria Sur "Como el río - Katie James y Victoria Sur"

https://www.youtube.com/watch?v=GwptGHvLBgo


Goyo, Luister La Voz " Saltas Por Mi"

https://www.youtube.com/watch?v=iIn20hv7zVU

posted by eLPop at 13:00 | 山口元一のiAy Hombe!

コロンビアの吟遊詩人〜バジェナートの音楽家たち

2024.12.06

吟遊詩人を、ニュースを歌にして伝えるメディアという機能に注目して定義することができるのであれば、コロンビアで真っ先にあげられるのはバジェナートの音楽家たちであろう。

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バジェナートの起源は、おそらく19世紀初め頃、遅くとも中頃までに、コロンビア東北部、現在の行政区分でいうとラ・グアヒーラ県、セサル県、マグダレナ県東部を、ニュースやゴシップから恋愛沙汰まで、あらゆる題材を歌にしながら放浪していたフグラール(jugular)に見いだすことができる。有力な説明は、こうしたフグラールたちが他の地域で出身を尋ねられて"Soy nato del Valle"(俺はバジェドゥパルの生まれだよ)と答えたことが、そのままジャンル名になったとしている。

フグラールの活動ぶりについて、日本語で読める文献としては、ガブリエル・ガルシア=マルケスのいくつかの小説がある。「百年の孤独」(鼓直(訳)、新潮文庫、2024年、原著は1967年)に登場する道中の村や町で起こった事件を自作の歌にしながら放浪するフランシスコ・エル・オンブレが代表例であり、実在した人物では「生きて、語り伝える」(旦敬介(訳)・新潮社・2009年、原著は2002年)で著名な作曲家・ラファエル・エスカローナや、名曲”Gota Fria”の作者・エミリアーノ・スレータのエピソードが紹介されている。

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マス・メディアの発達とともに−前掲「生きて、語り伝える」が伝える1940年代はコロンビアでラジオが普及し始めた時代であり、エスカローナやエミリアーノ・スレータは歌をニュースにしながら放浪した最後の世代になる−こうしたバジェナートの機能は失われた。現在、その残り香はコンサートやフェスティバルで歌い継がれる曲にのみ残っている。

2017年のフェスティバル。1曲目”El siniestro de Ovejas”は1950年2月1日にスクレ県で発生した30人が犠牲になった交通事故について歌った曲。

“聖人たちも泣き叫んでいるカルロスは、
アラケはどこに行った?
焼き尽くされた者たちの思い出のみが残っている
ここは悲しみでいっぱいだ”

Christian Camilo Peña - Final Rey de Reyes (Festival de la Leyenda Vallenata 2017)

https://youtu.be/IaWAMAeYOs8?si=K2TREIKgY0yLdyRM

歌はアレックス・マンガ(Alex Manga)、アコーディオンはクリスティアン・カミロ・ペーニャ(Christian Camilo Peña)。


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posted by eLPop at 17:02 | 山口元一のiAy Hombe!