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eLPop2023はこれだ『ケール・スウィンガール・ヴェン・プラ・カ、ブエノスアイレスのマリア』

2023.12.30


◆ケール・スウィンガール・ヴェン・プラ・カ

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(写真はJ-Waveサイトより https://www.j-wave.co.jp/blog/saude/carnaval2023/

おずおずと物事が蠢き始めていた2023年2月11日。啓蟄を前に這い出るムシの気分で「サウージ・サウダージ カルナヴァル」を観戦。リオでのストリートパレード経験ももつ、マシュー隊長率いるブロコ、Quer Swingar Vem Pra Cá(スイングしたけりゃ、こっちにおいで)チームの真正豪快バテリーア(※サンバ打楽器隊)アンサンブルの精緻さと迫力に、完全ノックアウト! 呆けたように笑いがこみ上げ、ついマスクずらしてビール…の杯数がかさみ、初コロナ感染のオマケまでついちまったのだが、今思い出すだに胸が震える。

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そういやこの会場、四半世紀ほど前にブラジル北東部バイーア発のチンバラーダ精鋭部隊を迎えた際も超満員。かなりヤバい酸欠状態で、かぶりつきおねーちゃんらの行状がとろけて怪しくなっておったげな。なかなか煙草に火がつかんかったことも忘れられん(※当時は場内で吸えた…)。いかなる時代にも“換気”は一番大事なんす。


◆Tango Querido主催「ブエノスアイレスのマリア」

総じて実り多きライブに遭遇できた一年だったと思うが、白眉は師走の舞台「ブエノスアイレスのマリア」12月15日@座・高円寺2! ライブ録音に刻まれた2021年12月初演版(2023年1月22日CD発売)、CD発売記念を祝し2023年5月に行われた再演。いずれもナマを見損ねてしまったので、今度こそと勇み駆けつける。

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1968年初演「ブエノスアイレスのマリア」は、アストル・ピアソラ作曲、オラシオ・フェレール作詞の有名な小オペラ。発表当時は興行的成功とは無縁だったが、「ジャンルを越えてロック等の音楽人たちが評価した…」と、初演時の“マリア役”歌手アメリータ・バルタールが来日中に語っていた。
異形の歴史的作品と真摯に向き合い、見事な集中力と情熱をもって舞台を作り上げたのがバイオリニストの柴田奈穂。すぐれたキャストたち渾身のパフォーマンス、後背に映る字幕訳詞(&訳詩)の的確さ等々、とにかくすべてにおいて完成度が高い。

百聞は一見に如かず! 当夜の公演アーカイブが2024年1月14日まで有料配信中。全訳のPDFダウンロードデータ特典付き視聴料3,000円。
https://maria-de-buenos-aires-2023.peatix.com/


また、ピアソラがスランプから脱却したきっかけとなった特異な当作品における楽曲の暗喩を、柴田菜穂さん自身が聖書からの引用を紐解きながら綴るFacebookの読み物は必見。作品の意味を知るための重要ヒントとなるはずなので、一読をお薦めしたい。
https://www.facebook.com/nahovn


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posted by eLPop at 19:37 | 佐藤由美のGO!アデントロ

ショーロクラブ最新オリジナル『Choro Club/Caleidoscópio』

2023.10.25

復活した円熟“長老”(※ショーロのスペイン語読みか?)トリオの最新CD。結成34年目、オリジナル作品集として12作目に当たる、初の自主制作アルバムだそうです。

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ええ、もちろん先行発売・期間限定の「メンバーそれぞれが保管していた超・貴重な未発表音源5曲」付き応援モノをゲット。さすがにこの境地は、他の誰にも真似できないでしょう。


posted by eLPop at 17:11 | 佐藤由美のGO!アデントロ

ジョアン・ドナート、レニー・アンドラーヂ逝く

2023.08.03

7月のリオデジャネイロが見送った洒脱なブラジル音楽の至宝たち……ピアニスト&コンポーザーのジョアン・ドナートJoão Donato(1934/8/17―2023/7/17)、歌手レニー・アンドラージLeny Andrade(1943/1/25―2023/7/24)、同じく歌手のドリス・モンテイロDoris Monteiro(1934/10/23―2023/7/24)。またまた彼の地のシーンが寂しくなる。

Estrada do sol - JOÃO DONATO E LENY ANDRADE

https://www.youtube.com/watch?v=wqLKo-pwhuY

ジョアン・ドナートレニー・アンドラージ、両者の柔らかな口調が懐かしい2015年のライヴパフォーマンスより「太陽の道Estrada do sol」。トム・ジョビン作曲、作詞のドローリス・ドゥランはドナートの元恋人。


Lisa Ono - Minha Saudade

https://www.youtube.com/watch?v=yZMZ81bZX-Y

1995年4月発売、小野リサジョアン・ドナートの記念碑とも言える共演作『サウダージ』収録、ドナート作曲でジョアン・ジルベルト作詞「私のサウダージMinha saudade」。リサとの共演を機に、ドナートはブラジル音楽シーンの表舞台に返り咲き輝きを放った!


渡米後の1960年代、モンゴ・サンタマリア、ティト・プエンテ、エディ・パルミエリ(※Eddy Palmieri and His Conjunto “La Perfecta”にトロンボーン奏者として参加)とも活動。ジャズ、ラテン、ボッサを気儘に往き来する音楽自由人ドナート。小野リサとの有意義な出会いがもたらした陽性のエネルギーゆえか(要は常時ご機嫌ちゃん)、1997年11月末リオはコパカバーナ海岸沿いの一等地、歌手ミウシャ(エロイーザ・ブアルキ・ジ・オランダ)の誕生パーティーで挨拶し、こちらが日本人と見るや……ドナートは古いグランドピアノを弾き始めた。そして30分以上、飽きず延々と歌い奏でていたのが次の曲。

Lisa Ono - CEREJEIRA DO JAPAO

https://www.youtube.com/watch?v=GMuIL7UQiTs

ドナートの溢れる思いを象徴、小野リサが歌う「日本の桜Cerejera do Japão」。1996年作『リオ・ボッサ』収録。


posted by eLPop at 14:17 | 佐藤由美のGO!アデントロ

リオ・サンバの貴公子、80歳のツアーがスタート

2023.05.26

昨年、80歳を迎えるにあたってMPB(ブラジリアン・ポピュラー・ミュージック)を代表するシンガー・ソングライターの一人、ミルトン・ナシメントが国内外でラスト・コンサートを行ったのは記憶に新しい。

そして、今しも「80歳のツアー」と題しブラジル諸都市公演をスタートさせたばかりなのが、サンバの貴公子ことパウリーニョ・ダ・ヴィオラ。すでに5/14サンパウロ@MIMO Festival、5/19レシーフェ@Teatro Guararapes、5/21マセイオ@Teatro Gustavo Leiteとツアーは進み、これから6月リオ2公演、クリチーバ、7月ベロ・オリゾンチ、バイーア州トランコーソ、8月フロリアノポリス、ジョアン・ペソアときて、11/25首都ブラジリアで幕を下ろす。

Paulinho da Viola 80 Anos

https://www.youtube.com/watch?v=whj4fY9zjzQ&t=60s


ジルベルト・ジル、カエターノ・ヴェローゾ、ミルトン・ナシメントとともに黄金世代と呼ばれる1942年生まれ(※ソングライターではないが故ナラ・レオンも同い年)のパウリーニョだが、柔らかな歌い口のサンビスタには微塵の衰えすら窺えない。派手なアピールや時代に応じた変化など必要とせず、確固たるサンバ哲学を貫いてきたからだろうか。お元気で何より〜♡♡♡

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posted by eLPop at 19:00 | 佐藤由美のGO!アデントロ

バハグニ、ホジェー

2023.04.03


◎「バハグニ/ショート・ストーリーズVol.2」

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桜のシーズンに近場の公園をほっつき歩いていると、数年に一度なぜか橋の上で懐かしい人と遭遇する(ちと意味不明)。今シーズン再会したのはフラメンコ界の某重鎮。会うなり「バハグニいいよね。ハッとするものがある…」と目を輝かせていた。国内盤リリースは昨年末と紹介が遅れたけれど、アルメニア生まれロサンゼルス育ちのフラメンコギタリスト会心の最新作に間違いない。

Vahagni feat. Ara Malikian “Imen Dunis” by Sayat Nova

https://www.youtube.com/watch?v=z8H0is1CP1g

18世紀アルメニアで“歌の主”と称されたサヤット・ノヴァ作品が、フラメンコの薫風を孕む。スペイン在住アルメニアン、ヴァイオリン奏者アラ・マリキアンを迎えたアルバムの1曲目。


◎「ホジェー Rogê/クリマン Curyman」

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ロサンゼルスに活動拠点を移して間もないリオ発サンバ・ソウルの雄が放つ、待望の新作。大先輩ジョルジ・ベンジョールを意識したような音作りも随所に盛り込みつ、アフロ色の中に懐かしさと新味が共存。異色のスロー・ボッサも小粋な、そそられるアルバムの完成だ。

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http://elpop.jp/article/190261244.html
posted by eLPop at 13:24 | 佐藤由美のGO!アデントロ