ペルーのアンデス地方でそういった曲を考えると、アヤクーチョならワイノの名曲「さらば、アヤクーチョの町(Adiós pueblo de Ayacucho)」、ティティカカ湖畔の町プーノならば、マリネラ・プネーニャの名曲「湖の町(Ciudad de lago)」だろうか。そしてインカの都であったクスコから選ぶならやっぱり「バリチャ(Valicha)」ではないかと思う。
アヤクーチョやプーノを代表する曲として挙げたものは、ともにいわば故郷讃歌に分類できる曲である。これにたいして、クスコは実在の女性、バリチャに捧げられた恋の歌である。この非常に個人的なはずの恋の歌はクスコの人々に愛され、クスコを代表する曲として愛されるようになった。そればかりか、その女性、バリチャことバレリアナ・ウィルカ・コンドリさんの誕生日はクスコの町の人々の知るところとなり、毎年盛大に祝われ続けた。そんなバリチャが今年5月18日についに亡くなったということをペルーのネットニュースで知った。亡くなったのか、という思いと、まだ生きていたのか!という驚きが交錯した。彼女は享年103歳であった。


