Top > 水口良樹のペルー四方山がたり
アンカシュのポマバンバ周辺の音楽:チマイチ
2023.04.03
今月の曲、ちょっと疲れてぼーっとしたときに延々と聞きたいのはアンデスのいなかのワイノやその周辺音楽、ということで最近聴いていた曲から、アンカシュのポマバンバ周辺の音楽として知られているチマイチというちょっとバイオリンのメロディが独特な音楽をご紹介。
しかも一つ目のビデオは演奏ではなく踊り。このちょっと年配の二人が踊る踊りが、若者の踊りとはまた違ってエレガントで素晴らしいです。
曲は、リゴベルト・アンダウィルカによる「Cantinas Rotas」。
https://www.youtube.com/watch?v=55eOS1A7kSE
あと、やっぱり演奏しているのもちょっとはあった方がいいかなということで、普通は横笛は今は入らないのですが、バイオリンが入る前は横笛で吹かれていたということで、ちょっと古いスタイルを復古的に取り入れて演奏しているスタイルのものからアニータ・ファハルドの「Washku la vida(mal borracho)-Yana cordillera」のメドレーをご紹介します。
ANITA FAJARDO:CHIMAYCHI MIX: Washku la vida(mal borracho) - Yana cordillera
https://www.youtube.com/watch?v=CtQu223cfZo
「2月はこれだ」目次に戻る
http://elpop.jp/article/190261244.html
posted by eLPop at 13:20
| 水口良樹のペルー四方山がたり
ペルー:政治崩壊と抗議行動激化の現状
2023.02.14
現在、ペルーの政治崩壊が2020年以上に先行きが見えない混沌とした状況になっている。発端は、2021年7月に大統領に就任したペドロ・カスティージョが22年12月に「自主クーデター」を企て失敗したことによる失脚と逮捕拘留が、予想を超えて大きな抗議運動へと発展していったことにある。

カスティージョを自らの声の代弁者と考えたり、ペルー政治がリマの富裕層に乗っ取られて地方を差別的に扱っている非民主的状況にあると考える主にアンデス系住民たちによる抗議運動の激化と、それにたいする警察や軍による暴力と死傷者の続出が、あらためて現在まで続くペルー国内の植民地的状況を浮き彫りにし、事態を膠着状態にしている(すでに50名以上の死者が出ている)。
これらの背景には1980年以降ペルーで推し進められた新自由主義経済政策によって、首都リマを中心とする沿岸都市部の拡大、経済成長と地方経済の衰退という大きな問題がある。
リマ富裕層の声を代弁するとみなされた政府に対する絶望と怒りが、政治家ではなかった地方の中学校教員組合出身の大統領を生み出すことを成し遂げたが、政治経験を持たず孤立した大統領の政権運営はすぐに行き詰まり、度重なる国会での罷免動議に追いつめられた末、かつてフジモリ大統領が行った自主クーデターをなぞる形で国会解散で起死回生を謀ろうとするも、軍や警察もついてこず、国会において大統領の罷免が議決、「反逆の疑い」で逮捕、拘留という顛末に至った。

この一連の政治的混乱の結果、副大統領から大統領へと「昇格」したのが、ディナ・ボルアルテである。ペルー初の女性大統領ということで当初は注目もされたが、軍と警察を抗議活動に容赦なく投入し、力でねじ伏せようとする姿勢によって一気に悪魔化され、抗議運動が一気に激化した。さらにボリビアとの国境地域であるアンデス南部県プーノについて「プーノはペルーではない」との発言によって事態は一層悪化した。抗議運動はボルアルテ罷免を求めるが、彼女が大統領を降りた場合、次の大統領は国会議長であるホセ・ウィリアムス・サパタが引き継ぐことになっている。しかし彼は国軍出身でフジモリ時代の虐殺事件にも関わっており、大統領に就任するとなるとますます事態は悪化する可能性も高く、今回のペドロ・カスティージョの自主クーデターと罷免、逮捕に端を発するペルーの社会混乱はまったく先の見えない難しい状況へと追い込まれてしまっている。
そんな中、今回の山岳民蜂起のテーマ曲のようになっているのがこの「Dina asesina, el pueblo te repudia(人殺しのディナ、おまえを拒絶する)」という歌だ。バンダ(ブラスバンド)やマリアッチ、ギター、アルパ(ハープ)などさまざまなスタイルでデモ行進の中で演奏され歌われている。特に「この民主主義はもはや民主主義ではない」と始まる歌の冒頭が強烈だ。以下、歌詞を載せておく。
この民主主義はもはや民主主義ではない
人殺しのディナ、民衆はおまえを拒絶する
おまえがあきらめるまで何人の人が死ねば良いのか
人殺しのディナ、民衆はおまえを拒絶する
軍隊の給料は腐敗を守るため
銃弾やミサイルは我ら民衆を殺すため
この民主主義はもはや民主主義ではない
人殺しのディナ、民衆はおまえを拒絶する
DINA ASESINA EL PUEBLO TE REPUDIA
https://www.youtube.com/watch?v=ILneC_rmx3A
続きを読む
カスティージョを自らの声の代弁者と考えたり、ペルー政治がリマの富裕層に乗っ取られて地方を差別的に扱っている非民主的状況にあると考える主にアンデス系住民たちによる抗議運動の激化と、それにたいする警察や軍による暴力と死傷者の続出が、あらためて現在まで続くペルー国内の植民地的状況を浮き彫りにし、事態を膠着状態にしている(すでに50名以上の死者が出ている)。
これらの背景には1980年以降ペルーで推し進められた新自由主義経済政策によって、首都リマを中心とする沿岸都市部の拡大、経済成長と地方経済の衰退という大きな問題がある。
リマ富裕層の声を代弁するとみなされた政府に対する絶望と怒りが、政治家ではなかった地方の中学校教員組合出身の大統領を生み出すことを成し遂げたが、政治経験を持たず孤立した大統領の政権運営はすぐに行き詰まり、度重なる国会での罷免動議に追いつめられた末、かつてフジモリ大統領が行った自主クーデターをなぞる形で国会解散で起死回生を謀ろうとするも、軍や警察もついてこず、国会において大統領の罷免が議決、「反逆の疑い」で逮捕、拘留という顛末に至った。
この一連の政治的混乱の結果、副大統領から大統領へと「昇格」したのが、ディナ・ボルアルテである。ペルー初の女性大統領ということで当初は注目もされたが、軍と警察を抗議活動に容赦なく投入し、力でねじ伏せようとする姿勢によって一気に悪魔化され、抗議運動が一気に激化した。さらにボリビアとの国境地域であるアンデス南部県プーノについて「プーノはペルーではない」との発言によって事態は一層悪化した。抗議運動はボルアルテ罷免を求めるが、彼女が大統領を降りた場合、次の大統領は国会議長であるホセ・ウィリアムス・サパタが引き継ぐことになっている。しかし彼は国軍出身でフジモリ時代の虐殺事件にも関わっており、大統領に就任するとなるとますます事態は悪化する可能性も高く、今回のペドロ・カスティージョの自主クーデターと罷免、逮捕に端を発するペルーの社会混乱はまったく先の見えない難しい状況へと追い込まれてしまっている。
そんな中、今回の山岳民蜂起のテーマ曲のようになっているのがこの「Dina asesina, el pueblo te repudia(人殺しのディナ、おまえを拒絶する)」という歌だ。バンダ(ブラスバンド)やマリアッチ、ギター、アルパ(ハープ)などさまざまなスタイルでデモ行進の中で演奏され歌われている。特に「この民主主義はもはや民主主義ではない」と始まる歌の冒頭が強烈だ。以下、歌詞を載せておく。
この民主主義はもはや民主主義ではない
人殺しのディナ、民衆はおまえを拒絶する
おまえがあきらめるまで何人の人が死ねば良いのか
人殺しのディナ、民衆はおまえを拒絶する
軍隊の給料は腐敗を守るため
銃弾やミサイルは我ら民衆を殺すため
この民主主義はもはや民主主義ではない
人殺しのディナ、民衆はおまえを拒絶する
DINA ASESINA EL PUEBLO TE REPUDIA
https://www.youtube.com/watch?v=ILneC_rmx3A
続きを読む
posted by eLPop at 21:52
| 水口良樹のペルー四方山がたり
レタマの花:歌い継がれる記憶
2019.02.17
ペルーという枠組みを超えて歌い継がれている歌がある。それは、人々の決して忘れ得ない記憶を伝えてくれる歌だ。人々が生き、笑い、暮らした場所で、異議申し立てをし、戦って大きな力の前に倒れ伏したという記憶を、けっして「歴史」として書き記されることのなかったはずの事件を、大きな教訓として、忘れてはならない権力の暴走の苛烈さと、終わらぬ苦しみを背負って生きることについて、人々に大いなる気づきを与えている歌でもある。
その歌とは、「レタマの花」というアヤクーチョ地方のワイノだ。ペルーの南部、アヤクーチョ県の北部に位置するワンタという町で起こった虐殺を歌い継いだものだ。
続きを読む
posted by eLPop at 15:49
| 水口良樹のペルー四方山がたり
フレディ・グスマン、インタビュー その2
2018.03.08
ジャズからアンデス音楽へ。自らのルーツ・ミュージックにハマり、あたらしい音楽シーンを模索するフレディ・グスマンへのインタビュー後編です。
後編では、実際のペルーでの音楽活動から、今後の音楽的展開への展望などを中心に伺います。
(前編はこちら)
続きを読む
posted by eLPop at 10:09
| 水口良樹のペルー四方山がたり
フレディ・グスマン、インタビュー その1
昨年、若手ペルー人ギタリストのフレディ・グスマンと知り合う機会を得た。アメリカでジャズを学んだ後、自分のルーツ音楽であるアンデス音楽にどっぷりとはまり込み、いわゆる「フォルクローレ」音楽とはまったく違う切り口からあたらしい現代アンデス音楽のあり方を模索している新進気鋭のギタリストだ。ファーストアルバム「Waijazz」はジャズ色がより強く出た作品ながら、ペルーアンデス音楽のトップアーティストたちをゲストに迎え作られており、クスコやアプリマック、アヤクーチョのローカルサウンドがジャズとこんな形に出会うことが可能だったのか、という新鮮な驚きを与えてくれた。その後アヤクーチョ、クスコの仲間とともに音楽ユニットワイジャズを立ち上げ、ファーストアルバムとはまたまったく異なる切り口でペルーを中心に活動、更に最新作品ではよりポップに軸足を移しつつあたらしい世界を模索し続けているアーティストである。
そんな彼が最近日本を拠点の一つとして、なにか面白いことができないかと滞在しているので、少しお話を聴いてみた。(ライブ情報は「その2」の最後にあります)
続きを読む
posted by eLPop at 09:56
| 水口良樹のペルー四方山がたり


