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映画「SIGO SIENDO(カチカニラクミ)」を巡る徒然 その2

2015.11.30

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◆その2 チンチャ/エル・カルメン〜アヤクーチョ編

 ペルーのそうそうたる民衆音楽家が出演して作られた映画「SIGO SIENDO(kachkaniraqmi)」。そこで描かれる生は、まさに一般民衆とともに生き、そのうえで音楽に寄り添い続けた人々の肖像だ。
 第2回めでは、この映画の中盤、ナスカ近郊のチンチャ〜エル・カルメンにかけてのアフロペルー集落のエピソードと、この作品におけるアンデス音楽を担う地域、アヤクーチョ県プキオ近郊のエピソードを紹介していきたい。

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映画「SIGO SIENDO(カチカニラクミ)」を巡る徒然 その1

2015.11.23

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◆その1:イントロダクションとアマゾン編

 山形国際ドキュメンタリー映画祭のコンペティション部門で、かねてより見たくてたまらなかったペルーの音楽映画「SIGO SIENDO(シゴ・シエンド)」(2013)が上映されるということで見に行ってきた。結局東京でもセルバンテス文化センターで上映されることになったので、わざわざ山形まで行かなくても見れたのだが、それでも実際に監督に直接質問をしたり山形の映画祭の中での観客の反応などを感じながらの観劇は有意義なものであった(と自分に言い聞かせている)。
 その後「エル・ポップ・パーティVol.5:ラテン音楽最新リポート」で「SIGO SIENDO」を紹介させていただいた(その時の紹介記事はこちら)。しかし、まだまだ語り足りないことも多いので数回に渡りもう少し突っ込んでご紹介できればと思う。


まずは予告編

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ラテンアメリカ探訪「ペルーのロックを聴いてみよう」でかけた曲

2015.08.09

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すこし時間が経ってしまったが、6月29日に「ラテンアメリカ探訪」で、ぺぺ・もとを氏とのトークという形でペルーのロックについて概観的にご紹介させていただいた。せっかくなので、そこで流した曲のリストをご紹介したい。まだまだ知られていないペルーのロックを聴く際のガイドラインとなれば嬉しい限りだ。

ペルーにおけるロックの展開がイメージしやすいように年代別でご紹介させていただいた。それによってペルー国内の政治や文化の社会的コンテキストだけでなくペルーと日本、欧米などのグローバルな同時代性を考えながら聴けるガイドラインにもなるからだ。
()は候補に上がっていたが結局流さなかったもの。

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水口良樹の「eL Pop Party in 静岡」でかけた曲

2015.07.05

水口良樹のeL Pop Party in 静岡 でかけた曲


おそくなりましたが、6月13日のeL Pop Party in 静岡でかけた曲をご紹介します。

#01 Maritza Rodríguez "Donde tú vaya" vals
"Lo Mejor de... Maritza Rodríguez" Lauro Records 1999
北部の歌姫と呼ばれたマリッツァ・ロドリゲスの代表曲の中からその初期の歴史的録音をご紹介。彼女の歌うムシカ・クリオーヤは、クラリネットやサックスなどが入った編成で録音されたものが多いのが特徴。若いころの彼女の可憐な歌声は広く国境を超えて愛された。この日はボリビア盤からご紹介させていただきました。

#02 Iraida Valdivia "La gripe llegó a Chepén" tondero
"A Gozar con... Pepe Torres y sus amigos" IEMPSA 1994
ムシカ・クリオーヤを代表するギタリスト、ペペ・トーレスのハラナなパーティ向けアルバムから。ペルー北部で愛されるトンデーロの名曲。北部の町チェペン(リベルター県)を熱病が襲い貧しい人はみな死んでしまったと歌う歌詞は衝撃的。遠くスペインでもカルメン・アマヤがフラメンコのレパートリーの一つとしてトンデーロというタイトルで歌っている録音がある。トンデーロのベースの高音の掛け合いから始まる魔術的なメロディが愛された名曲だ。歌のイライダ・バルディビアも素晴らしい。

#03 Lusila Campos "Qué tiene Miguel" zamacueca
"Coplas, Marineras y Festejos(Historia de la Música Peruana CD4)" El Comercio 2000
ペルー・ネグロでデビューし、その後ソロ歌手としてアフロペルー音楽を牽引したルシーラ・カンポスのレパートリーから。サマクエカと呼ばれるアフロ系マリネラ(70年代にビクトリア・サンタ・クルスによって作り出された)の名曲。牧歌的なメロディに乗せて奴隷の辛い日々が歌われる。

#04 Arminda Alba "Mi viejo Santa Cruz" taquirari
"De Colección" Lyra Discolandia
ボリビアのアマゾン地域に広がる大都市サンタ・クルスを代表するトロピカルな音楽ジャンル、タキラリの名曲。近年のフォルクローレブームですっかりチャランゴでの演奏が一般化したタキラリだが、このアルミンダ・アルバが歌う80年代のタキラリはトランペットやフルート、ピアノなどが入ったまさに「トロピカル」なタキラリ。可憐な彼女の声と相まって非常に聴きやすい癒やし系のボリビア音楽となっている。

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アフロペルー音楽の打楽器(1) カホン・ペルアノの歴史

2015.02.17

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 今や世界的な知名度にまで成長した箱型木製楽器カホン。直方体の木箱の上に座り、その前面の板を叩くことで音を鳴らすという打楽器である。前面の板は上部がわずかに浮かしてあり、叩く位置によって、バシバシなる高音からズンズン響く低音まで多彩な音色を叩き出すことができるなかなかすぐれものの打楽器だ。

 アフロペルー音楽を代表する楽器カホンは、アフロ音楽だけでなくペルーの沿岸地方を象徴する楽器として、今や語らずに済ますことのできない重要な地位を獲得している。しかし残念ながら対外的にはまだまだフラメンコで使われる打楽器としてのイメージが強く、ペルー発のものがフラメンコに伝わってそれが世界的に知られるようになっていったというところまで認知が進んでいないのが現状である。
 また、ペルーのカホン自体の歴史に目をむけてみても、その姿は漠然としてどのように今の地位を獲得していったのか、なかなかはっきりとしてこない。その理由の一つは、おそらくカホンを使っていたアフロ系コミュニティに関する歴史的な記述がそもそも非常に少ないこと、そしてもう一つは、沿岸都市部の民衆音楽に取り入れられたのが19世紀以降であったことにあるようである。昨年亡くなったラファエル・サンタ・クルスは、彼自身が書いたカホンに関する本の中で、カホンの起源が何らかの輸送もしくは生産物を入れる木箱であったことは確かだが、いつ、どこでどのようにカホンが誕生したのかわからない状況では、その箱が何の箱であったのかについてはわからないと述べている。
 今回は、そんなペルーを代表する楽器となったカホンの歴史を簡単に追いかけてみたい。
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