タイトル:『ぺラック』
アーティスト:ジ・マーローズ
インドネシアから登場したヴィンテージ・ソウル・バンド。定冠詞をTheeにしたのは
大好きな60年代イーストLA音楽シーンを代表するジ・ミッドナイターズから。チカー
ノ・ソウルの影響がボーダレスに拡散するなか、単なるスタイルではなく、体験・言
葉の関与をローカル事情のなかで音に昇華させたことにおいて本当のチカーノ・ソウ
ルと同じ成立と存在を感じさせた。勢い余って来日公演まで実現させてしまったが、
気持ちのこもったパフォーマンスは素晴らしかった。アルバム・デビュー直後で単独
公演だけで延べ500人以上を動員。情報拡散のちょっと異常なまでの速さにびっく
り。
Thee Marloes - Mungkin Saja
https://youtu.be/LC1kBZFRsJc
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チカーノ音楽の父、ラロ・ゲレーロ
2024.12.11
アメリカで暮らすメキシコ人をロサンゼルスのパチューコと呼ばれた不良児たちを通して、メキシコで暮らすメキシコ人としてその特異な状況を鋭く記したのは作家、オクタビオ・パスだった。そしてアメリカで暮らすメキシコ人同胞として自分たちを一種諧謔的且つ詩的に描いたのは歌手のラロ・ゲレーロだった。
スウィングとダンソンが合体して生まれたダンス・ミュージックに心酔するパチューコたちを語った“LOS CHUCOS SUAVES”や“CHICAS PATAS BOOGIE”を聴いてみて欲しい。パチューコたちの話し言葉を巧みに駆使した歌詞が彼らの高揚感溢れる気持ちを表現している。また多くのノベルティ・ソングも発表している。
”TEA FOR TWO”(ふたりでお茶を)をもじってバリオの食文化も伝えた”TACOS FOR TWO”。ミニ・スカートの流行時に録音した”MINI FALDA DE RAYNALDA”も面白い。ランチェーラにロックンロールを混ぜてアメリカナイズされるメキシコ娘を描いている。「チカーノ音楽の父」を言われるラロ・ゲレーロの所以はそんな魅力にもあるのだ。
Los Chucos Suaves
https://youtu.be/remXTiM5A_0?si=siALIqerL_dp8M4h
Lalo Guerrero - Chicas Patas Boogie - Imperial 458
https://youtu.be/kPPVsi0LSsM?si=rF_9SgR8YzBVEE64
Lalo Guerrero Tacos For Two
https://youtu.be/4MJaJCeUMHA?si=93qrSWa2pqUy7tr-
La Minifalda De Reynalda
https://youtu.be/RAsayj8l__I?si=W9ECm5yLNwCZqAdU
→【本企画目次へ戻る】
http://elpop.jp/article/191144018.html
スウィングとダンソンが合体して生まれたダンス・ミュージックに心酔するパチューコたちを語った“LOS CHUCOS SUAVES”や“CHICAS PATAS BOOGIE”を聴いてみて欲しい。パチューコたちの話し言葉を巧みに駆使した歌詞が彼らの高揚感溢れる気持ちを表現している。また多くのノベルティ・ソングも発表している。
”TEA FOR TWO”(ふたりでお茶を)をもじってバリオの食文化も伝えた”TACOS FOR TWO”。ミニ・スカートの流行時に録音した”MINI FALDA DE RAYNALDA”も面白い。ランチェーラにロックンロールを混ぜてアメリカナイズされるメキシコ娘を描いている。「チカーノ音楽の父」を言われるラロ・ゲレーロの所以はそんな魅力にもあるのだ。
Los Chucos Suaves
https://youtu.be/remXTiM5A_0?si=siALIqerL_dp8M4h
Lalo Guerrero - Chicas Patas Boogie - Imperial 458
https://youtu.be/kPPVsi0LSsM?si=rF_9SgR8YzBVEE64
Lalo Guerrero Tacos For Two
https://youtu.be/4MJaJCeUMHA?si=93qrSWa2pqUy7tr-
La Minifalda De Reynalda
https://youtu.be/RAsayj8l__I?si=W9ECm5yLNwCZqAdU
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posted by eLPop at 11:48
| 宮田信のダンス・トゥ・マイ・マンボ
THEE HEART TONES “SABOR A MI”
2024.02.27
イースト・ロサンゼルスを中心とした南カリフォルニアのチカーノ音楽シーンを俯瞰すると、今もっとも勢いが強いのは相変わらず新世代によるチカーノ・ソウル・シーン。他にもメキシコ北部から伝わったダンス・シーンも含めてのクンビア、また、バンダにヌエボ・コリードなどスペイン語音楽シーンも移民社会の成熟と共に勢いは増すばかりだ。
スペイン語系音楽の趨勢は巨大資本に牛耳られたラジオがその媒介となっているが、越境してきた労働者たちの職場には必ずラジオが大音量で鳴っているというUSラティーノたちのユニークな環境がその要因だ。さらにバリオには40年代から続くアメリカ生まれのメキシコ系音楽の伝統も続いている。異なる音楽体系が並列する複雑な状況はバリオのなかで生活してみないと実体験として迫ってこないので厄介だが、バリオ音楽の魅力はそこにある。
さて今回紹介するのは、まだティーンだというロサンゼルス・サウスベイ出身の6人組、ジ・ハート・トーンズ。定冠詞をTHEではなく例のようにTHEEにしたところも心憎い演出だ。
NY発で多くのカリフォルニアのチカーノ・アクトをリリースするビッグ・クラウン・レコードと契約を果たしたセカンド・シングルがリリースされたが、なんどB面にはボレロの名曲「サボール・ア・ミ」が収録されている。
イースト・ロサンゼルスでは、イーディ・ゴーメ&ロス・パンチョスの名演ももちろん有名だが、やはり何と言っても71年にラテン・ロックの雄、エル・チカーノが発表したヴァージョンがバリオの隅々にまで浸透している。一時はイースト・ロサンゼルスのアンセムなんて言われていたこともある。ジ・ハート・トーンズのカヴァーも、明らかにエル・チカーノを意識したもの。伝統がそんなカタチで継承されていくことに日本のチカーノ音楽ファンも感動。私の周りで今、ちょっとした話題になっている。
Thee Heart Tones - Sabor A Mi
https://youtu.be/YDdeQZj4z5w?si=hcjTP3XqhJ175nwi
El Chicano - Sabor A Mi
https://youtu.be/a8Bh85LdgCE?si=vQb89sI61kN37eLl
Eydie Gorme ・ Los Panchos - Sabor A Mi
https://youtu.be/Gb1FrnjlXoo?si=aiKa3kBW8nKWzkfX
⇒目次に戻る
スペイン語系音楽の趨勢は巨大資本に牛耳られたラジオがその媒介となっているが、越境してきた労働者たちの職場には必ずラジオが大音量で鳴っているというUSラティーノたちのユニークな環境がその要因だ。さらにバリオには40年代から続くアメリカ生まれのメキシコ系音楽の伝統も続いている。異なる音楽体系が並列する複雑な状況はバリオのなかで生活してみないと実体験として迫ってこないので厄介だが、バリオ音楽の魅力はそこにある。
さて今回紹介するのは、まだティーンだというロサンゼルス・サウスベイ出身の6人組、ジ・ハート・トーンズ。定冠詞をTHEではなく例のようにTHEEにしたところも心憎い演出だ。
NY発で多くのカリフォルニアのチカーノ・アクトをリリースするビッグ・クラウン・レコードと契約を果たしたセカンド・シングルがリリースされたが、なんどB面にはボレロの名曲「サボール・ア・ミ」が収録されている。
イースト・ロサンゼルスでは、イーディ・ゴーメ&ロス・パンチョスの名演ももちろん有名だが、やはり何と言っても71年にラテン・ロックの雄、エル・チカーノが発表したヴァージョンがバリオの隅々にまで浸透している。一時はイースト・ロサンゼルスのアンセムなんて言われていたこともある。ジ・ハート・トーンズのカヴァーも、明らかにエル・チカーノを意識したもの。伝統がそんなカタチで継承されていくことに日本のチカーノ音楽ファンも感動。私の周りで今、ちょっとした話題になっている。
Thee Heart Tones - Sabor A Mi
https://youtu.be/YDdeQZj4z5w?si=hcjTP3XqhJ175nwi
El Chicano - Sabor A Mi
https://youtu.be/a8Bh85LdgCE?si=vQb89sI61kN37eLl
Eydie Gorme ・ Los Panchos - Sabor A Mi
https://youtu.be/Gb1FrnjlXoo?si=aiKa3kBW8nKWzkfX
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posted by eLPop at 22:38
| 宮田信のダンス・トゥ・マイ・マンボ
eLPop eLPop今年のお気に入り『JOSE JOSE "CONTIGO EN LA DISTANCIA"』
2023.12.30
◆宮田信(DANCE TO MY MAMBO)『JOSE JOSE "CONTIGO EN LA DISTANCIA"』
https://youtu.be/xUTEQ9IiDP8?si=d2w_YwV0Hkf8CjMb
<編集部注>
ホセ・ホセ(Jose Jose):本名ホセ・ロムロ・ソーサ・オルティス(José Rómulo Sosa Ortiz、(1948年-2019年)メキシコの歌手。
エル・プリンシペ・デ・ラ・カンシオン(歌の王子/貴公子)としても知られ、ラテン世界史では知らぬもののいない人気。多くのラテン・ポップス・アーティストに影響を与えた。
1983年に発表したアルバム『Secretos』は400万枚以上のセールスを記録。数多くの世界的ヒットを放ち、グラミー賞にも何度もノミネートされている。アーティストからのトリビュート作品も多い。
⇒特集「eLPop今年のお気に入り!2023年」メインに戻る
https://youtu.be/xUTEQ9IiDP8?si=d2w_YwV0Hkf8CjMb
<編集部注>
ホセ・ホセ(Jose Jose):本名ホセ・ロムロ・ソーサ・オルティス(José Rómulo Sosa Ortiz、(1948年-2019年)メキシコの歌手。
エル・プリンシペ・デ・ラ・カンシオン(歌の王子/貴公子)としても知られ、ラテン世界史では知らぬもののいない人気。多くのラテン・ポップス・アーティストに影響を与えた。
1983年に発表したアルバム『Secretos』は400万枚以上のセールスを記録。数多くの世界的ヒットを放ち、グラミー賞にも何度もノミネートされている。アーティストからのトリビュート作品も多い。
⇒特集「eLPop今年のお気に入り!2023年」メインに戻る
posted by eLPop at 19:36
| 宮田信のダンス・トゥ・マイ・マンボ
LALOM=ロサンゼルス・リーグ・オブ・ミュージシャン
2023.10.25
ここ4〜5年、ソウル系グループの躍進がひとつのムーヴメントだったチカーノ・シー
ン。ダプトーンやビッグ・クラウンといったNYのレーベルがピックアップしたことで
その勢いはアメリカを越えて広く知られるようになった。しかし、それは単純にバリ
オの外に伝わっていなかっただけのこと。どの時代にもソウルを奏でる上手いバンド
は沢山存在してきた。同じようにアフロ・キューバンやカリブ海からのトロピカル・
サウンドを奏でるバンドもバリオの伝統としてそのアイデアと実力を競ってきた。若
い世代の間でクンビア・ブームの復興もあり、現代進行形の新しいバンドにも新たな
注目が集まりそうだ。
特にこのバンドが起爆剤になるかもしれない。チカーノたちが愛してきたヴィンテー
ジ・ソウル、ペルーが産んだチチャ、メキシコ発のムシカ・ロマンティカ・・・バリ
オのなかで密かに溢れていた多種多彩な音楽を吸収して、お洒落でヴィンテージな
モードで小粋なラテン・ナンバーを奏でる話題のグループ、LALOM=ロサンゼルス・
リーグ・オブ・ミュージシャン。基本はビザ―ル・ギターから妖しいサウンドを編み
出すギタリスト、ドラム、アップライト・ベースの3人組。そこにエル・ハル・クロ
イのドラム奏者、ドミニク・ロドリゲスがボンゴで参加、また曲によってはスチー
ル・ギターも加わっている。
動画を観て欲しい。スタイリッシュな男たちがチチャをひたすらクールに奏でる。先
日発表された2枚のシングル盤はあっという間にソールドアウト。ソウル系だけでは
ないバリオ音楽の新しい動きの核となりそうな気配だ。
LA LOM Performs "Maravilla"
https://youtu.be/VJMFDoHYIws?si=GmwxmTzjpZdzDX2p
LA LOM Performs "Juana La Cubana"
https://youtu.be/br-Ij3WMvsg?si=fgO3qtpnASDKqo2g
ン。ダプトーンやビッグ・クラウンといったNYのレーベルがピックアップしたことで
その勢いはアメリカを越えて広く知られるようになった。しかし、それは単純にバリ
オの外に伝わっていなかっただけのこと。どの時代にもソウルを奏でる上手いバンド
は沢山存在してきた。同じようにアフロ・キューバンやカリブ海からのトロピカル・
サウンドを奏でるバンドもバリオの伝統としてそのアイデアと実力を競ってきた。若
い世代の間でクンビア・ブームの復興もあり、現代進行形の新しいバンドにも新たな
注目が集まりそうだ。
特にこのバンドが起爆剤になるかもしれない。チカーノたちが愛してきたヴィンテー
ジ・ソウル、ペルーが産んだチチャ、メキシコ発のムシカ・ロマンティカ・・・バリ
オのなかで密かに溢れていた多種多彩な音楽を吸収して、お洒落でヴィンテージな
モードで小粋なラテン・ナンバーを奏でる話題のグループ、LALOM=ロサンゼルス・
リーグ・オブ・ミュージシャン。基本はビザ―ル・ギターから妖しいサウンドを編み
出すギタリスト、ドラム、アップライト・ベースの3人組。そこにエル・ハル・クロ
イのドラム奏者、ドミニク・ロドリゲスがボンゴで参加、また曲によってはスチー
ル・ギターも加わっている。
動画を観て欲しい。スタイリッシュな男たちがチチャをひたすらクールに奏でる。先
日発表された2枚のシングル盤はあっという間にソールドアウト。ソウル系だけでは
ないバリオ音楽の新しい動きの核となりそうな気配だ。
LA LOM Performs "Maravilla"
https://youtu.be/VJMFDoHYIws?si=GmwxmTzjpZdzDX2p
LA LOM Performs "Juana La Cubana"
https://youtu.be/br-Ij3WMvsg?si=fgO3qtpnASDKqo2g
posted by eLPop at 17:08
| 宮田信のダンス・トゥ・マイ・マンボ