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『2025年はこれだった:LA、ICE、クンビア』(宮田信)

2026.01.01

「トランプ政権下、6月初頭からロサンゼルスで起きたICEによる不当な取り締まりはコミュニティに大きな衝撃を与えた。バリオ発の音楽とアートは抵抗の武器になってきたが、デモの最中、トラックの荷台をステージに登場したクンビア・バンドにはあっぱれだ!」

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https://www.instagram.com/reel/DQAdVhHkn5d/?igsh=MTY0NTFhNGxnZDJrcA==

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ブイェポンゴ、キタペナス、6/23-7/11『晴れたら空にジャズ!』

2025.06.14

 見れば見るほど鬱のような気持になるのに、すっかり中毒になってしまったインスタ。特にどこそこの中古レコード屋さんでこんなん見つけました!みたいな書き込み。おい、君たち音楽ライブには来てないだろー!と、心のなかで叫ぶ。レコードが先なのか、ライブが先なのか

・・・とにかくライブハウスで企画をやる身としては、本当に鬱になりそうだ。笑

 さてロサンゼルスの話。相変わらずコリード・トゥンバオや若者からはソウル系が大きな人気のラティンクス・シーン。しかし、負けずとトロピカル系のベテラン・バンドたちが続けてシングル盤を発表している。

まずは、セントラス・ロサンゼルスでヒップホップを聴いて育ち中米のガリフナにも影響を受けたアコーディオン主体のブイェポンゴ。あのチカーノ・バットマンのバルドがいたことでも知られている。

そして砂漠と街の狭間にある東の郊外、リバーサイドからはクンビア、リンガラ、メレンゲなどを混ぜ合わせたキタペナス。チカーノ音楽の流れのなかでみるとオゾマトリ、ベリー・ビー・ケアフルの次に登場し活動してきた実力派の2組だ。

 5月の中頃、ダウンタウンのはずれでブイェポンゴのリリパが行われたが、とにかく盛り上がったらしい。複数の打楽器(エルハルのドミニクも参加)が豪快に鳴り響くジャム・セッション(デスカルガとは異なる)へと展開する彼らのライブは定評がある。バックヤードではDJやレコード店、フードの出店もあり、地元の人が沢山駆けつけたようだ。ローカル・バンドを支えるローカル意識の高い音楽オーディエンス。やはり大切なのはそこなんだよね。

MVはまだアップされていないようなので、インスタから

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https://www.instagram.com/p/DJmulN8ygmZ/?locale=ja_JP&hl=en&img_index=1


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https://www.instagram.com/reel/DJXEJWiRWWW/


そして最後に宣伝を。

6月23日から7月11日まで5回に分けて晴れ豆で『晴れたら空にジャズ!』という企画を開催します。既存のイメージではなく、より「自由自在な音のアート」として演奏表現の本質をもっと「自由な気持ち」で楽しもうぜ!という熱い意図を込めてます!

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横浜発ソウル・ジャズ・グループ、より深いインプロを内包するレゲエ〜ダブ、台湾からのサックス奏者と日本人演奏家共演、70年代から活躍を続けてきた日本を代表する大ベテラン演奏家、そして昨年ジョー・バターンの伴奏を務めた実力派バンドなど素晴らしい演奏家の皆さま5組です。以下が詳細になります。ぜひいらしてください。

6/23(月)増根哲也&HARD TIMES(横浜発ソウル・ジャズ)
渡邉典保(A.Sax)伴田裕 (T.Sax) 深井一也 (Tp) 宮前幸弘 (Pf) 岡田朋之 (Drs)
増根哲也 (E.B) ゲスト:越路よう子(Vo) DJ:足立'PANIC'壮一郎 (PANICtracks)

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http://haremame.com/schedule/79204/



6/24(火)ECHO UNITED 6 (レゲエ/ダブ/ジャズ)
森俊也 (Drs, Hr.) 河内洋祐 (B) 秋廣シンイチロウ (Gt) 大和田BAKU誠 (Gt) 
吉澤はじめ (Key, Tp) 西内徹 (Sax, Fl) DJ:DJ DOVE

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http://haremame.com/schedule/79229/


6/25(水)謝明諺 INVITES THE JAPAN FREE JAZZ LEGENS (フリージャズ・フロム台
湾&日本)

謝明諺(シェ・ミンイェン) (Sax)  山崎比呂志 (Drs) 大友良英 (Gt) 須川崇志
(B)  スペシャル・ゲスト:纐纈之雅代 (Sax) 永武幹子 (Pf) DJ:DJ HOLIDAY

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http://haremame.com/schedule/79232/


6/27(金) 宮之上貴昭&大井貴司 Special Live with ウィリー・ナガサキ 
(ディープ・グルーヴ/ジャズ)

宮之上貴昭(Gt)大井貴司(Vib)三嶋大輝(B)ゲスト:ウィリー・ナガサキ(Per) 
DJ:小野雄大

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http://haremame.com/schedule/79243/


7/11(金) TOKYO LATIN SOUL SESSION (Band for King of Latin Soul, Joe Bataan
Japan Tour 2024) (ラテン・グルーヴ/ジャズ)

池田雅明(Tb)島田直道(Tb)ウィリー・ナガサキ(Per)大儀見元(Per)佐藤誠
(Gt)あびる竜太(Key) 澁谷和利(B)加納樹麻(Drs) DJ:TRASMUNDO DJs、SHIN
MIYATA

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http://haremame.com/schedule/79245/

ぜひお楽しみください!

2024年はこれだった!ジ・マーローズ『ぺラック』

2024.12.31

タイトル:『ぺラック』
アーティスト:ジ・マーローズ


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インドネシアから登場したヴィンテージ・ソウル・バンド。定冠詞をTheeにしたのは
大好きな60年代イーストLA音楽シーンを代表するジ・ミッドナイターズから。チカー
ノ・ソウルの影響がボーダレスに拡散するなか、単なるスタイルではなく、体験・言
葉の関与をローカル事情のなかで音に昇華させたことにおいて本当のチカーノ・ソウ
ルと同じ成立と存在を感じさせた。勢い余って来日公演まで実現させてしまったが、
気持ちのこもったパフォーマンスは素晴らしかった。アルバム・デビュー直後で単独
公演だけで延べ500人以上を動員。情報拡散のちょっと異常なまでの速さにびっく
り。

Thee Marloes - Mungkin Saja

https://youtu.be/LC1kBZFRsJc

チカーノ音楽の父、ラロ・ゲレーロ

2024.12.11

アメリカで暮らすメキシコ人をロサンゼルスのパチューコと呼ばれた不良児たちを通して、メキシコで暮らすメキシコ人としてその特異な状況を鋭く記したのは作家、オクタビオ・パスだった。そしてアメリカで暮らすメキシコ人同胞として自分たちを一種諧謔的且つ詩的に描いたのは歌手のラロ・ゲレーロだった。

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スウィングとダンソンが合体して生まれたダンス・ミュージックに心酔するパチューコたちを語った“LOS CHUCOS SUAVES”や“CHICAS PATAS BOOGIE”を聴いてみて欲しい。パチューコたちの話し言葉を巧みに駆使した歌詞が彼らの高揚感溢れる気持ちを表現している。また多くのノベルティ・ソングも発表している。

”TEA FOR TWO”(ふたりでお茶を)をもじってバリオの食文化も伝えた”TACOS FOR TWO”。ミニ・スカートの流行時に録音した”MINI FALDA DE RAYNALDA”も面白い。ランチェーラにロックンロールを混ぜてアメリカナイズされるメキシコ娘を描いている。「チカーノ音楽の父」を言われるラロ・ゲレーロの所以はそんな魅力にもあるのだ。

Los Chucos Suaves

https://youtu.be/remXTiM5A_0?si=siALIqerL_dp8M4h

Lalo Guerrero - Chicas Patas Boogie - Imperial 458

https://youtu.be/kPPVsi0LSsM?si=rF_9SgR8YzBVEE64

Lalo Guerrero Tacos For Two

https://youtu.be/4MJaJCeUMHA?si=93qrSWa2pqUy7tr-

La Minifalda De Reynalda

https://youtu.be/RAsayj8l__I?si=W9ECm5yLNwCZqAdU


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http://elpop.jp/article/191144018.html


THEE HEART TONES “SABOR A MI”

2024.02.27

イースト・ロサンゼルスを中心とした南カリフォルニアのチカーノ音楽シーンを俯瞰すると、今もっとも勢いが強いのは相変わらず新世代によるチカーノ・ソウル・シーン。他にもメキシコ北部から伝わったダンス・シーンも含めてのクンビア、また、バンダにヌエボ・コリードなどスペイン語音楽シーンも移民社会の成熟と共に勢いは増すばかりだ。

スペイン語系音楽の趨勢は巨大資本に牛耳られたラジオがその媒介となっているが、越境してきた労働者たちの職場には必ずラジオが大音量で鳴っているというUSラティーノたちのユニークな環境がその要因だ。さらにバリオには40年代から続くアメリカ生まれのメキシコ系音楽の伝統も続いている。異なる音楽体系が並列する複雑な状況はバリオのなかで生活してみないと実体験として迫ってこないので厄介だが、バリオ音楽の魅力はそこにある。

 さて今回紹介するのは、まだティーンだというロサンゼルス・サウスベイ出身の6人組、ジ・ハート・トーンズ。定冠詞をTHEではなく例のようにTHEEにしたところも心憎い演出だ。

NY発で多くのカリフォルニアのチカーノ・アクトをリリースするビッグ・クラウン・レコードと契約を果たしたセカンド・シングルがリリースされたが、なんどB面にはボレロの名曲「サボール・ア・ミ」が収録されている。

イースト・ロサンゼルスでは、イーディ・ゴーメ&ロス・パンチョスの名演ももちろん有名だが、やはり何と言っても71年にラテン・ロックの雄、エル・チカーノが発表したヴァージョンがバリオの隅々にまで浸透している。一時はイースト・ロサンゼルスのアンセムなんて言われていたこともある。ジ・ハート・トーンズのカヴァーも、明らかにエル・チカーノを意識したもの。伝統がそんなカタチで継承されていくことに日本のチカーノ音楽ファンも感動。私の周りで今、ちょっとした話題になっている。

Thee Heart Tones - Sabor A Mi

https://youtu.be/YDdeQZj4z5w?si=hcjTP3XqhJ175nwi

El Chicano - Sabor A Mi

https://youtu.be/a8Bh85LdgCE?si=vQb89sI61kN37eLl

Eydie Gorme ・ Los Panchos - Sabor A Mi

https://youtu.be/Gb1FrnjlXoo?si=aiKa3kBW8nKWzkfX

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