最初にスタジオライブを聴いた時の興奮は今でも覚えている。
個々のミュージシャンが持つ多様なバックグラウンドが組み合わさり、スパークして色彩豊かな音が飛び出し驚いた。エレクトロ、プログレ、アフロキューバン、ジャズ、アフロ・ファンク、と…色々な響きがきらめく。
一昨年秋にリリースされたデビュー・アルバムは期待を超えるカラフルさで、オーセンティックなアフロ・キューバンやラテン感覚が大きく広がるものだった。2020年の活躍が楽しみだ、と思っていたらコロナ禍ですべての音楽は活動が制限されてしまう事態となった。
そんな中でも新曲や配信の活動を続けて来ての今年2月、ホールで配信用の映像を撮るというのでお邪魔した。
NANA Cantarina (vo, vocal effect), 津垣博通 (p, synth), 小泉哲夫 (b), 吉羽一星 (timb, perc), 関弘太 (bata, congas), 加納樹麻 (ds), 阿部道子 (synth, p)のメンバーに今回は松木理三郎(tp)、石井裕太(ts, fl)と石川智久(tb)の管が加わる。
前回、前々回(と言ってももう1年以上前だが)より噛み合いが緊密で大きなグルーヴ。そしてユニットの関係性がより強固に。それがサウンド全体をクリアにさせ、かつリズムの重層性を際立たせる形になっていて驚いた。
大きく体が揺れ、同時に光が広がるような感覚。そんな強いユニットのまとまりが作るグルーヴに巻き込まれるように管3人のアドリブも素晴らしく、また今までと違った色彩を作る。
エレクトロな霞がかかるかと思えば、バタクンベレのような緊密なリズムの上のジャズが響き、ルンバとヒップ・ホップを跨ぐような感覚へと展開し、歌心を揺さぶるメロディーが浮き上がって、と色々な聴き方を刺激する音でスリリング。
収録後、男性メンバーを従えるようなNanaカンタリーナと阿部道子のお二人にお話を聞いた。
――今回はホーンが加わりました
阿部:リズムの上に何か乗せてもらいたいって言う意見が中からも出ていて、そういうのもあって何かホーンとか入れたら楽しいかなって、あとコラボの企画があって
NANA:そうなんです、"Baila Baila"っていうフィットネス・プログラムの楽曲制作に、一曲ラテン・ファンクみたいなブラスが入っているようなアレンジもあって。
阿部:このタイコ隊と渡り合えるくらいのパワーを持った人たちが良いってことで、今回そういう編成になりました。
NANA:ブラス隊もラテンに偏りすぎていない方で広い活動をされている方が良いなってことでいつもと違う人をお願いしました。
NANA:アフロ・アーバニティの世界観が固まったんで、ラテン系っていう枠から外れて、で、また若い人が必要なんじゃないかって
――アレンジ、例えば"Buscando Ache"は?
NANA:元々私が 7 Sonora(ナナ・ソノーラ)の一枚目で作った曲なんですけど、それを阿部ちゃんに投げてアフロ・アーバニティ・アレンジにしよう、っていう話で、全然違うタイプになりました。歌ってる内容は同じなんですけど。
――サウンドでイメージするものはあったんですか?
阿部:シンセが使えるって編成で不思議な世界観をだせたらなって。いろんな風景が分かるような歌詞がいろいろ出てきたのでそこに引きこまれるような語り部とバックバンド、みたいなところからサルサ調に行けたらなっていうコンセプトで。だから映画の1シーンのような不思議なコード進行から始まっているという。
NANA:この歌詞の内容は実際に会ったババラオが語る話を淡々と書き上げて行ってそのまんま歌詞に。
――キューバで見てもらって
NANA:君はオバタラだって言われて、だからオバタラが出てくるんですけど。そんな内容が面白かったんで思わず歌詞になっちゃった。
――聴いてて風景が浮かぶようでした
NANA:本番はうまく行ったね(笑)
阿部:結構あの曲解釈が難しくて。
NANA:持って行き方とかね、曲の進行とかがちょっと変わっているから。
――Transportationはどうですか
NANA:"Transportation"は(津垣)師匠のオリジナル曲です。
――アレンジも師匠が
NANA:ええ全部。
阿部:コンガとバタとピアノ二台の企画を別の場所でやったとき、曲をお持ちになって、ベーシストもいないライブでそれをやるっていう、結構大変だったんですけど、おもしろい!って感じで。その原曲の良さをここ(アフロ・アーバニティ)なら生かせる!と思って。それで、津垣さんにこの配信の最後に全員で演奏できるようなアレンジをお願いしたんです。
――ゴツくて良かったです
NANA:ゴツかったですね(笑)どうせならガン!とやっちゃおう、ってことで。
――管の皆さんも、おお!こう来るかみたいな
NANA・阿部:そう面白かったです!ほんと管の人たちすごかった。
阿部:昨日のリハでは知らなかった顔ですよね。
NANA:そうだね、昨日あそこまで出なかった。隠してましたよね、彼ら実は(笑)
阿部:色々お持ちの方なので(笑)
NANA:だって松木さんもウホウホ・ニタニタしてる、石井さんと石川さんのお二人の事(笑)おまえら、やるなあ見たいな
阿部:このバンドってそういうものを求めてたりするので、化学反応っていうか、なんか音でやりあえるような、Sayakaさんの時もそうだったんですけど、一人はいると結構反応が返ってくるような、エッジのある方が入ればって感じで、ほんと良かったです。
NANA:やっぱり一発勝負ものっていうか、ライブな集中力が緩むとだめなんですね。でもこのバンドは、なんていうか本番一発の時の爆発力っていうか、アンテナ具合がすごいんで、できるだけ一発取りで、おんなじことは多分出来ないっていう。
――1枚目の後、コロナで間が空き、ディスタンスなコラボや合宿やったりして、ようやく今日のライブ収録ですけど、前回のライブとは同じ曲でも違った感じを受けました。演っていて何か変化を感じましたか。
阿部:全体に対して感じたのは、コロナ禍で会えなかった期間は、みんなでわっと集まれなくても、一人一人スタジオに入って、デモ制作からシングル・リリースっていう配信の事をやってきました。そんな中で絆が深くなり、打ち解け感が出るようになったと思います。
一番最初の頃は、ちょっと雇われてきました(笑)みたいな遠慮がする感じあって、言いたいことを言わずに、やり過ごしたみたいな空気がちょっとあったんですけど、コロナ禍のなかで、会えない中でも会う機会があり、あー、会いたかったね、という感じで絆が強くなった気がします。
――そんな中でより音が噛み合ったりする
阿部:しますね。アレンジに関しても今まで私がやってきたものをこれです、って出してやる感じだったんですけど、メンバーとのやりとりで変更が色々出てきました。
――いい意味でくっきりとした気もしたのですが。多様な要素がここぞというときにすごく響いたというか
阿部:うまくお互いの音を聴けるというか、信頼が深まったというせいじゃないかと。
どうしても「埋めなきゃ」みたいになってくるじゃないですか、相手に付けたり。
NANA:そうね、だれかが何かをしなければいけないみたいな。
NANA:そうそう、グルーヴが悪いと、自分が出さなきゃみたいな。そういうのが無くなってきたんだと思います。その時誰に付ければうまく(グルーヴが)まとまって行くみたいなのが分かってきた感覚。
――空間に対して恐れないみたいな
阿部:結構私はそれを感じてました。ライブ配信する前に(音源の音の)調整をするんですが、ちゃんとかみ合っているので、ほとんどすることがないっていうか、EQ処理でかぶりの処理くらいであとは何もしていない。演奏したいっていう事が前提にあるので一回のなかの、っていうより、その一回にその気持ち持ってきているっていうか
NANA:みんなでアンサンブルするってことの重要性をすごく求めるようになったというか。コロナ禍でどうしても一人一人単独でやることが多くて、全然生でアンサンブルすることが出来ないから飢えているような状態ですね。だから逆になんかすごい集中力ある。昨日今日でアー満足したみたいな(笑)
阿部:コロナの状況は不幸なことではあるんですけど、バンドにとっては良いことだったかも。
NANA:そうかも。間を出来るだけ空けないようにシングルをリリースをしようとか、色々工夫をしてずっと継続してやってよかったです。
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配信は3/5(金)(アーカイブの視聴可)、そして4月上旬との事。
コロナ禍が一段落したところでの普通のライブが待ち遠しい。


