ヴォーカルのジェニファー・ヒックス(Jennifer Hicks)とヴォーカルとギターのミゲル・ナルバエス(Miguel Narváez)による男女デュオ、プラヘイ・ソウル(PURAHÉI SOUL)も本国パラグアイ政府のバックアップで来日したそんなグループの一つだった。4月26日と27日に、東京・恵比寿 BLUE NOTE PLACEで、28日にはブルーノート東京でコンサートを行った。また、京都などでも演奏を披露したようだ。今回は、彼らの他、ベーシストのパウラ・ロドリーゲス(Paula Rodríguez)がサポート・メンバーとして一緒に来日、さらにブルーノート東京のステージには、曽根麻央(トランペット、ピアノ、キーボード)と河村亮(ドラムス) がサポート・メンバーとして参加した。
パラグアイ音楽というと、アルパ(ハープ)の音楽や、ポルカ(ヨーロッパの2拍子のリズムが、パラグアイでは何故か3拍子と2拍子のポリリズムに変化して根付いた)やガローパ(こちらもポルカ同様、ヨーロッパのリズムが3拍子系の複雑なポリリズムに変化)、バルス(ワルツ)という伝統的な音楽のイメージぐらいしか湧かない中、彼らに関してなんの前知識もなく、28日のファースト・ステージを見に行った。

事前にSpotifyで2曲ほど聞いてみたが、欧米のポップスに影響を受けたサウンドぐらいにしか印象は持てず、実はあまり期待はしていなかった。確かに序盤の日本人のバックアップ・メンバーが参加したパートでは、そんな印象だったが、中盤のジェニファー・ヒックスとミゲル・ナルバエス2人だけのパート以降は、アンコールまでどんどんギアを上げていき独自な世界を聞かせてくれた。
歌う言葉は、スペイン語に英語、そしてラプラタ川地域に住む先住民グアラニー族の言葉であるグアラニー語。途中、パラグアイ音楽の有名なジャンル(リズム)である「ポルカを歌います」とアナウンスした曲なども演奏。もちろん、ただ伝統的なスタイルで演奏するわけではなく、現代らしい男女ハーモニーをとりいれ、多くの世界中の同世代のヴォーカリストたちに共通したアーバンな雰囲気も取り入れていて、開かれた音楽性を感じさせてくれた。また、お隣の国アルゼンチンなどと同様、ヌエバ・カンシオーンなどとも連携したパラグアイに根ざしたロックの躍動も、しっかり受け継いでいるようだ。ショウとして十分楽しめるものであるのと同時に、聞き進むにつれどこか南米の深さも感じさせてくれるのがとても良かった。
● Purahéi Soul - Luna (Acoustic Version) Canadá 2022
https://youtu.be/uWAeIAUPjzc
多分、「ポルカです」といって歌った曲
● Purahéi Soul - Desapego (Videoclip Oficial)
https://youtu.be/bgdEhcfbUec
この曲も、ポップだがパラグアイ的なリズムがしっかり聞いてとれる。
● Purahéi Soul - Aju Nderendape - Serenata (Videoclip Oficial)
https://youtu.be/fRKZUPMDSs4
バルス(ワルツ)のセレナータ
● Purahéi Soul - Swing Guaraní (Live Session)
https://youtu.be/WFa-PbEaQ_s
帰宅後、プラヘイ・ソウルのことを調べて見たら、パラグアイ本国ではかなり人気のある実力派グループのようだが、ビジュアルはまだ若そうで、そのギャップも魅力と感じた。

会場で販売されていたCD。
2018年発売のアルバム『Swing Guaraní』全曲に、それ以降に発表された楽曲3曲をプラスしたもの。
2022年のツアー用に特別に作られたアルバムのようだ。
以下に、ブルーノートのホームページで紹介されているプロフィールを貼り付けておく。これは、彼らの公式HPのプロフィールを要約+アルファした内容だ。
「2013年、ジェニファー・ヒックスとミゲル・ナルバエスによって結成。プラヘイはグアラニー語で歌を意味し、ソウルはアフロサウンドと魂を指す。“音楽と芸術の本来の意味を取り戻す必要性”を標榜し、アート、ファッション、演劇、映画、ダンスなどさまざまな分野と交流。地元のミュージシャン・コミュニティで頭角を現し、2018年12月にはグアラニー語、スペイン語、英語でうたった1stアルバム『Swing Guaraní』を発表。ジャズやソウル、ラテン音楽など多種多様な要素を取り入れたスタイルが評判となり、現在では国内外でツアーを展開する人気ユニットに」
4/28 ブルーノート東京のラインナップ
Jennifer Hicks(vo)
ジェニファー・ヒックス(ヴォーカル)
Miguel Narváez(g,vo)
ミゲル・ナルバエス(ギター、ヴォーカル)
Paula Rodríguez(b)
パウラ・ロドリゲス(ベース)
Mao Soné(tp,p,key)
曽根麻央(トランペット、ピアノ、キーボード)
Akira Kawamura(ds)
河村亮(ドラムス)

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