トランプ政権の対キューバ政策の立案は、大統領から指名されたルビオ国務長官が行っている。彼は、キューバ移民二世であが、1959年のキューバ革命の数年前にすでに移民していたことは、日本ではほとんど報道されていない。
いずれにせよ、キューバの行く末は、キューバ市民たち自身によって決められるべきで、外国からの圧力によって変更されるべきでは無い。
そんな厳しい状況下でも、キューバ国内では音楽は鳴り止まず、ストリートやライヴ・ハウスで楽しまれ続けている様子が、ネットでも流れてきている。
日本でも、音楽を通してキューバとつながり続けようとする人たちがいるのは、嬉しい限りだ。その中から、今秋キューバからミュージシャンを招聘して行われる2つの日本ツアーをご紹介しよう。
≪ !Vívela! Salsa Tour 2026! ≫ SEPTETO SANTIAGUERO ; special guest Mayito Rivera
2022年に初来日を果たし大好評だった、セプテート・サンティアゲーロが9月に再来日ツアーを行う。
セプテート・サンティアゲーロは、1995年にサンティアーゴ・デ・クーバで結成されたトラディショナル系ソンを演奏するグループ。この時期のキューバは、それまで経済的にも後ろ盾になっていたソ連邦が崩壊したことによって深刻な経済危機が訪れ、フィデル・カストロが「特別期間 (Periodo Especial) を宣言、部分的ではあるが外国資本を受け入れ市場解放に向かった、近年のキューバ史の一大転換点だ。観光と共に音楽産業もその流れに従い、多くの海外レーベルが参入した。そんな中、ヨーロッパのレーベルの中でも早くからキューバ音楽を紹介したスペインのNUBENEGRA(ヌベネグラ)から、1996年ファースト・アルバムを発表したのが、セプテート・サンティアゲーロだった。その後もスペインやキューバのレーベルから、コンスタントにアルバムを発表している。
https://youtu.be/5WGUDQ_8Ynk?si=-GGrIzzUiNCpQuVD
セプテート・サンティアゲーロ: Tiny Deskでのライヴ映像 2023年
セプテート・サンティアゲーロは、セプテート・トゥルキーノ(Septeto Turquiño)と共に、サンティアーゴ・デ・クーバでセプテート編成でトラディショナル系ソンを演奏した最初期のグループでもあった。ソンのセプテート編成とは、ギター、トレス(復元3コースのギター)、ベース、ボンゴ、トランペット、クラベス、マラカス(またはグイロ)で、ヴォーカルは、クラベス、マラカス、ギターが兼任する。
「ソンの故郷」とも言われるサンティアーゴ・デ・クーバは、確かにソンという音楽が生まれた場所ではあったが、ソンの典型的演奏スタイルであるセプテート(七人編成)やその一つ前の段階であるセステート(セプテートからトランペットを引いた六人編成)が考案〜完成したのは、ハバナでであった。
サンティアーゴ・デ・クーバは、ソンが生まれた頃のスタイルを大事にしたかったからか、長年ライヴァル関係にあるハバナへの対抗心からか、デュオやトリオ、クアルテート(四人編成)、キンテート(五人編成)で演奏されることが多かった。セプテートに近いものとしては、ボンゴではなく小型ティンパニーを使ったエストゥディアンティーナという編成も残っている。
セプテート・サンティアゲーロは多分、海外での演奏も考慮し、コンテンポラリーなソンやサルサ、ティンバといった海外でよりポピュラーなスタイルも演奏しやすいように、セプテートを基本に、コンガを足した編成で活動をしたのだと思われる。
2012年発売のアルバム『Vamos Pa' La Fiesta』では、ルベン・ブラデス、ホセ・アルバルト "エル・カナリオ”、チェオ・フェリシアーノなどサルサの大物歌手たちをゲストに迎え制作、その後もキューバ内外のトップ・ミュージシャンと共演している。これも、セプテート編成だからこそスムーズに実現できたのだろう。
今回のツアーのスペシャル・ゲスト、マジート・リベーラはキューバのダンス系バンドの名門、ロス・バン・バンに長年ヴォーカリストとして在籍していたスターだが、百戦錬磨のセプテート・サンティアゲーロが、どのようにアレンジしてくるか楽しみだ。
https://youtu.be/pNB-dbaBQEU?si=EuUUd82fikgCjp8A
Lágrimas Negras - セプテート・サンティアゲーロ X マジート・リベーラ X ホセ・アルバルト "エル・カナリオ”
2022年に初来日にステージでは、キューバン・サルサ、ティンバ的なダンサブルに盛り上げる曲と共に、サンティアーゴ・デ・クーバらしい歌心を聴かせる曲も挟み込まれていた。この二つのスタイルをそれぞれ得意とする歌手たちが揃っているのも強みだ。今回、!Vívela! Salsa Tour 2026!の番外編として、ブルーノート・トウキョウでの公演も決定している。こちらでは、より歌心やサンティアーゴ・デ・クーバ色を強調した演奏をしてくれるのでは、と期待している。
≪ !Vívela! Salsa Tour 2026! ≫ SEPTETO SANTIAGUERO 情報
日程、会場などはこちらで確認ください。
https://vivela.jp/
Blue Note TOKYO公演 情報
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/septeto-santiaguero/
≪ Mónika Mesa with Jóvenes Clásicos del Son ≫
もう一つの注目は、女性歌手、モニカ・メサとハバナを代表するセプテート・スタイルのソン・バンド、ホーベネス・クラシコ・デル・ソンのジョイント・ツアーだ。どちらも初来日となる。
モニカ・メサは、アナカオーナ、アスーカル・ネグラ、エネヘー・ラ・バンダなど、キューバの一流バンドに参加後、ソロ歌手として活躍してきた。2011年、2019年、2022年に発売された3枚のソロ・アルバムを聞くと、幅広い音楽性を持っているのがわかる。キューバン・サルサ、ティンバはもちろん、コンテンポラリーなソン、ルンバやコンガ、ボレロとなんでも歌いこなしてしまう。
https://youtu.be/3nOQ1XoCQW4?si=qIj3d8_DMIlq7udQ
モニカ・メサ、2019年のセカンド・アルバムから
一方のホーベネス・クラシコ・デル・ソンは、1994年にベース奏者パルマによってハバナで結成された。バンド名とおり、トラディショナルなソンを若さ溢れる演奏で聴かせるグループとして出発。疾走系トラディショナル・ソンと言えそうなサウンドは、やはりハバナならでは。
過去には、アグレッシヴ・トレス奏者、コトやルンバの名歌手でもあるエル・ネネが参加していた。先に来日するサンティアーゴ・デ・クーバのセプテート・サンティアゲーロとともに、約1ヶ月の間に東西の重要セプテート系ソンの聴き比べができるなんて、ファン冥利につきる、というものだ。ただ残念なことに、今回は、フル・メンバーではなく、4人の選抜メンバーでの来日となるようだ。
https://youtu.be/uI7MTOLGiEo?si=CtMor9vetYQwChst
ホーベネス・クラシコ・デル・ソン、ライヴ映像
モニカ・メサは、キャリアをセプテート・スタイルのソン・バンド、チクエロ・ソン(Chicuelo Son)からスタートしたらしいので、2者の相性も心配なさそうだ。
≪ Mónika Mesa with Jóvenes Clásicos del Son ≫ 情報
日程、会場などはこちらで確認ください。
https://www.min-on.or.jp/special/2026/cuba/
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