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◆3/10 eLPop Party 岡本郁生のかけた曲

2015.03.16

1. ラ・シントゥラ・ミアLa Cintura Mia /フェフィタ・ラ・グランデ・イ・ス・コンフント・ティピコFefita La Grande y su Conjunto Tipico(1990年ごろ?ドミニカ共和国)LP『La Cintura Mia』(Jose Luis JLR-86)

先日来日したピュリツァー賞作家ジュノ・ディアス(ドミニカ共和国生まれニュージャージー育ち)が好きだと言っていたアーティストのひとり、アコーディオンを弾いて歌うフェフィタ・ラ・グランデ姐さん。彼の口から、20年ぶりぐらいにその名を聞いて思わずビックリだった。アコーディオン、サックス、タンボラ、コンガ、グィラ、ベースという、昔ながらのメレンゲの編成で演奏する“メレンゲ・ティピコ(典型的メレンゲ)”と呼ばれるスタイル(別名“ペリコ・リピアオ”)。スピード感あふれるイナセなプレイがカッコいい!

2. ラ・メセドラLa Mecedora/トリオ・レイノソTrio Reynoso(1960年代初頭? ドミニカ共和国)LP『La Mecedora』(GEMINI 035)

50〜60年代に“メレンゲ・ティピコの王様”と呼ばれたのがトリオ・レイノソ。歌手/アコーディオンのペドロ・レイノソ、パーカッションのフランシスコ・エスケア、グィラのドミンゴ・レイノソ(またはミルシアデス・フェルナンデス)からなるグループで、キューバやプエルトリコなどドミニカ以外でも活躍した(66年、ペドロが亡くなった後釜として入ったのがのちの大スター=タティコ・エンリケスだった)。絞り出すように歌うペドロ・レイノソの味わい深い歌声、絡みつくような粘っこい演奏が最高だ。

3. ラ・ケ・セ・ケハバLa Que Se Quejaba/エル・シエギト・デ・ハカグアEl Cieguito De Jacagua(1990年ごろ?ドミニカ共和国)LP『Candela !』(Jose Luis JLR-80)

“ハカグアの盲目クン”ことドミンゴ・ソサ。これがもしかしたらデビュー・アルバムかも。かなりヤバヤバな雰囲気のジャケット写真も良い。まさに疾走するスポーツカーって感じで凄まじい勢いでスっ飛ばしてるのに、ところどころに小技をきかせた仕掛けがあったりして、それがまたタマラナイ! 現在も元気に活躍中のようだ。

★おまけ・・・

4. カダ・ティエラ・コン・ス・リトモCada Tierra Con Su Ritmo/ホセイト・マテオ&ルイス・カラフJoseito Mateo & Luis Kalaff(1979年、ドミニカ共和国)LP『Merengue』(Karen KLP47)

前半でかけたのはアコーディオンを中心としたメレンゲ・ティピコ(ペリコ・リピアオ)だが、それが60年代半ば以降、アコーディオンがホーン・セクションに取って代わり、ジョニー・ベントゥラに代表される大編成オルケスタによるメレンゲが登場した。とはいえ、メレンゲ・ティピコが廃れてしまったわけではないのは、フェフィタ・ラ・グランデやエル・シエギト・デ・ハカグアのような人たちが出ていることからもわかるとおりで、主に北部、サンティアゴを中心とするシバオ地方で盛んに演奏されている。1979年、メレンゲ・ティピコ時代から活躍する2大スターであるホセイト・マテイとルイス・カラフが共演したのがその名も『メレンゲ』というアルバム。ここではオルケスタ編成をバックにふたりのベテランが素晴らしい歌声を聞かせている。

5. エル・エリドEl Herido/ロス・イホス・デル・レイLos Hijos Del Rey(1978年、ドミニカ共和国)LP『Los Hijos Del Rey』(Karen KLP-35)

子供のころから活躍していた人気歌手フェルナンディト・ビジャロナを、トランペッター/バンド・リーダーのウィルフリド・バルガスがスカウト、70年代半ばに結成したのがスーパー・グループのロス・イホス・デル・レイだ。だがグループはすぐにウィルフリドのもとを離れ、独自の道を歩み始めた。78年の本作での音楽監督はメンバーであるキーボード/アレンジャーのボニー・セペダのほか、サルサ界で“激情のアレンジャー”と呼ばれたホルへ・ミジェ。かけた曲(A面1曲目)はフェルナンディトが歌うノリノリのメレンゲだが、ほかにサルサやワワンコ、ボレロも収録され、ヴァラエティ豊かなアルバムとなっている。
posted by eLPop at 23:51 | Calle eLPop

◆3/10 eLPop Party 水口良樹のかけた曲

2015.03.14

1. ヨ・ペルディ・エル・コラソンYo Perdí el corazón/マヌエル・ドナイレManuel Donayre (年代不明、ペルー) LP"Noche tras Noche..."(SONO RADIO)より


 カニェテ出身で70年代後半より活躍したアフロ系のムシカ・クリオーヤ歌手マヌエル・ドナイレを代表するバルスの名曲を彼の3作目のアルバム「ノーチェ・トラス・ノーチェ…」から。ハスキーな高音が魅力のドナイレの情感たっぷりの歌いっぷりが素晴らしい名演。多くの人に歌われたバルスの名曲も彼が歌うとこんなにも違って聴こえるのかとその歌唱力と魂を揺さぶる歌声に撃ちぬかれます。


2. ロス・ネグリートス・デル・セニョールLos Negritos del Señor/ロス・バスケスLos Vásquez (1974年、ペルー) LP "Los Vásquez:Vicente, Oswaldo, Abelardo y Daniel "Pipo""(SONO RADIO)より


 アフロペルーを代表する舞曲であるフェステホ再興を果たしたポルフィリオ・バスケスの息子たちによるフェステホ。リマ最大の祭りとなったセニョール・デ・ロス・ミラグロスに捧げられたフェステホで、このフェステホを聴くと、ああ、この祭りはもともとアフロの人たちが奇蹟の顕現を祝ったことから始められて、当初リマの教会から激しく弾圧されたのだった、と思い出します。ポリリズムで打ち出される打楽器とノリの良いベースにのせて軽やかに歌われるフェステホが素晴らしい一曲です。


3. リマック川の水Aguas del Río Rimac/ピカフロール・デ・ロス・アンデスPicaflor de los Andes con los Engreidos de Jauja y La Orquesta Añoranzas del Centro (年代不明、ペルー) LP "Aguas del Río Rimac"(VIRREY)より


 ペルーの中部アンデス地域、ワンカーヨを中心とするマンタロ盆地を代表する歌手、ピカフロール・デ・ロス・アンデス(アンデスのハチドリ)のレパートリーから。中部特有の楽器編成オルケスタの伴奏で、力強く、それでいて伸びやかに歌われるワイノが素晴らしい。伴奏のサックスとバイオリンの掛け合いと、ズンズン響くアルパ(アンデス・ハープ)の低音がこれまた心地良い。


◆おかわり◆


4. ダンサンテ・パサカジェ・コン・アルバDanzante pasacalle con alva/チアラ兄弟Hermanos Chiara (1978年、ペルー) Mini Play "Danzante de Tijeras de Parinacochas"(SONO RADIO)より


 今やペルーを代表する芸能となったアンデスのトランス舞踊「ハサミ踊り」。その本場であるアヤクーチョ県南部のパリナコチャス地方の楽団による録音。教会から悪魔の踊りと弾圧されながらも豊作を祈願して踊られつづけたバイオリンとアルパによる怪しくも魅惑的なメロディに、キンキンと鳴り響くハサミ(二枚の鉄片)を打ち鳴らす音が一種独特な世界を作り出す。この楽団は1943年に結成され、50年代にはホセ・マリア・アルゲーダスの紹介でリマでの公演を実現し、その後南米各国や北米、ヨーロッパなどへもツアーに出るなどハサミ踊りを広く紹介するのに大きな役割を果たした。


5. 路傍のヒナゲシAmapola del Camino/コンフント・バリイェ・デ・チュンビビルカスConj. Valille de Chumbivilcas (ペルー) LP "Los Preferidos"(IEMPSA)より


 インカ帝国の首都が置かれたクスコ近郊の町チュンビビルカスを代表する楽団の演奏より。カーボーイ文化で有名なチュンビビルカスの楽団の男たちは、乗馬服に身を固めて写真に写っていることが多いが、この楽団の男性陣もしっかりと伝統の乗馬服で写真に写っている。カーボーイといえば勇ましい音楽などを想像しそうなものだが、チュンビビルカス地方のワイノはクスコ地方によく見られる牧歌的な雰囲気のものが多い。ギターとマンドリンの編成に女性ボーカルというのがバリイェ・デ・チュンビビルカスのスタイル。今回男性ボーカルが多かったので、最後に女声のワイノを流させていただきました。


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◆3/10 eLPop Party 高橋めぐみのかけた曲

2015.03.13

1. 吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ Mitsuyoshi Azuma & The Swinging Boppers/おいこら お嬢ちゃんQué pasa chica(1983年、日本 EP)

デビュー作『スウィング・バック・ウィズ・ザ・スウィンギン・バッパーズ』の発売の際に「記念シングル盤」として、LP収録の同曲を日本語ヴァージョンでリリースしたもの。最近の作品では日本語ジャンプ・ブルースが定番となっているバッパーズだが、このときからそのセンスは最高にかっこいい。オリジナルのキャブ・キャロウェイに勝るとも劣らない華やかなノリとラテンのリズムに吾妻さんの歌声がぴったり。

2. アンドレス・カラマロAndrés Calamaro/エル・カンタオールEl Cantaor(2005年、スペイン)
CD『Casa Limón presenta : Limón』より

褐色のフラメンコ歌手ブイカをスターダムに押し上げ、ベボ・バルデスとシガーラの『ラグリマス・ネグラス』を始め物凄い数の作品をプロデュースし、ラテン・グラミーの常連であるハビエル・リモン。彼の作品をパコ・デ・ルシア他のキラ星のごときスター達が演奏&歌ったアルバムから。アンドレス・カラマロはアルゼンチン・ロックの大スターだが、リモンによってフラメンコやタンゴを歌うという方向を得た。

3. 淡谷のり子Noriko Awaya/花宵闇Hanayoiyami(1978年、日本)
LP『淡谷のり子 歌手生活50周年記念盤 オリジナル楽曲集』より

1999年に92歳で亡くなった日本歌謡界の星、淡谷のり子が歌手生活50周年を記念して発売したアルバムから、宇崎竜童・阿木燿子コンビのタンゴ。阿久悠、なかにし礼、筒美京平、平尾昌晃ら当時の最高の作詞家/作曲家がオリジナル曲を提供している。辛口ご意見番の大御所という晩年のイメージとはかけ離れた素晴らしい歌声。「ブルースの女王」もいいが、デビュー当時にシャンソンやカンツォーネ、ラテンを歌っていた歌手としての再評価を望む。

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◆3/10 eLPop Party 佐藤由美のかけた曲

1. コンドルは飛んで行くEl Cóndor pasa/クリスティーナとウーゴCristina y Hugo (1972年、日本)

初来日直前に録音されたセカンドLP収録。秘蔵盤でもなんでもないが、後年、本国より遥か日本で有名だった夫婦デュオなのに、ひょっとしたら国内ベスト盤すら、今や出ていないのでは? アルゼンチン版「コンドル…」の歌詞は、ロス・キジャ・ウアシのメンバー、オスカル・バジェス作。中学時代、サイモン&ガーファンクルの歌ではさほど感応しなかった耳が、この絶唱でにわかに覚醒したのであった。

2. アンヘリカAngelica/ロス・キジャ・ウアシLos Quilla Huasi (1974年、日本)

アルゼンチン・サンバ屈指の名曲のひとつ。この華やかな雄々しき王道コーラスこそ、フォルクローレ伝統の美学であり、近年の地方色を薄める傾向とは完全に一線を画す。72年、73年と続けて来日するも、なぜか見逃してしまった(トホホ)。63年のエドゥアルド・ファルー来日から77年まで、毎年のようにアルゼンチン・フォルクローレの重鎮が訪れていたとは……今からすれば、夢のような時代。

3. バンボ・ド・バンブBambo do bambu〜サポ・ノ・サコ(袋の蛙)Sapo no saco/ジャララカ&ハチーニョJarraca e Ratinho (1940年、ブラジル)

早口言葉の即興芸エンボラーダで、北東部音楽の魅力を全土にアピールした先駆的お笑い歌謡コンビ、ジャララカ(毒蝮)とハチーニョ(チビ鼠)。1937年、サロン・カーニバルの定番「ママンイ・エウ・ケロ」を大ヒットさせたのも、このコンビだった。1曲目は、サンバ第1号「ペロ・テレフォーニ(電話で)」のドンガ作品で、ギタリストは名手ラウリンド・ヂ・アルメイダ(ボサノヴァ期に活躍したローリンド・アルメイダ)。ジャララカはアラゴアス州マセイオー生まれ、ハチーニョはペルナンブーコ州イタバイアーナ生まれ。米国人による歴史的記録『Native Brazilian Music』(ブラジル盤LPは1987年復刻)に収録。

4. エーÉ/ゴンザギーニャGonzaguinha (1988年、ブラジル)

父親は北東部音楽を世界に広めたバイアゥンの王様、ルイス・ゴンザーガ。リオの落としだねは、反骨精神と社会派メッセージを武器に、人気シンガー・ソングライターへとのぼりつめた。リオの良心と謳われた、亡きゴンザギーニャ最大のヒット・サンバのひとつ。人は誰しも愛し、汗し、ユーモアを愉しみ、より良く生きるに値すべく願うもの……人間の尊厳と自由を賭けた男の闘いは、今も深く信奉されている。
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高橋めぐみ「ファニア、私の3曲」

2015.02.20

●Willie Colon "Nueva York" (Solo: Fania 535, 1978)
わたしが初めて買ったサルサ・アルバムがこれで、その印象は強烈だった。華やかなオーケストレーションに彩られた都会の音楽、わたしにとっては今もこの「Nueva York」がサルサの決定的なイメージである。
その後、初めて行ったニューヨークで運良くSOB'sで見たウィリー・コロンのライブ。彼のライブは都合5回くらい見ているが、この最初の時が曲目などを一番思い出せないのに、決して忘れられない(?)一生の思い出となっている。


●Hector Lavoe "De Ti Depende" (De Ti Depende: Fania 492, 1976)
サウス・ブロンクスのレコード屋「CASA AMADEO」のおっちゃんことMiguel Angel Amadeoの永遠の名曲を、エクトル・ラボーが歌う。これ以上の贅沢があろうか。独特な浮遊感すら感じる歌声、叶わぬ恋にもだえ苦しむ歌詞。
「あなた次第だ、俺が生きるも死ぬも〜」と思わずブースで岡本さんと山口さんと合唱してしまった。もちろん、スペイン語でです。サルサ好きならこの曲の歌詞を暗記しているのが普通ですからね!


●Ruben Blades "Todos Vuelven" (Buscando America: Elektra 3038 1984)
※レーベルは厳密にいうとファニアではなくエレクトラですが…
この曲についての話は長くなる。だからここには全部書かないが、実際にかけたのは↓のバージョンではなくて、ルベン・ブラデスが主演した映画『Crossover Dream』(1985)のサントラ盤のアコースティックなバージョンだ。見た人は覚えているかもしれない、あの屋根の上で歌っているシーンのやつ。
この曲は元々1945年に発表されたペルーのバルス(ワルツ)で、作者はセサル・ミロ。ムシカ・クリオーヤの大歌手ヘスス・バスケスが歌ったことでもよく知られている。
ルベン・ブラデスとこの曲には別の興味深いエピソードがあるのだが、それはまた別の機会に書くことにする。

皆が帰ってくる 生まれ故郷に
あの比べようのない太陽の魅力
皆が帰ってくる 暮らしていた場所に
かつて愛が花開いた場所に
孤独な木の真下に
私達はいくつかの夢を見る
皆が帰ってくる 思い出の道を通って
しかし、愛し合った時は 
決して、戻って来ない
(オリジナル歌詞より抜粋)


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posted by eLPop at 14:13 | Calle eLPop