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アルモドバルの映画と音楽(3)

2014.03.12

今週(3/10〜3/14)は、radiko.jpで全国どこからでも聞ける「RN2」の15:20〜(再放送は22:20〜)の20分間に出演します。
ボラーニョの方は少しお休みして連動した記事をアップします。

第3日目の3/12の曲と映画です。
1.「Un año de amor」Luz Casal
映画「Tacones lejanos(邦題:ハイヒール)」(1991)から
映画は、母娘の愛憎物語。あることがきっかけで娘を置いて出ていった歌手の母親。その母親の昔の彼氏と結婚している娘。そこへ15年ぶりに凱旋帰国する母。アルモドバル映画の中では暗めのお話ですが、挿入歌の良さは際立っています。そして、ここでもお馴染み(?)の「継父は殺される」パターンは踏襲されています。
曲はイタリアの人気歌手ミーナが1964年に歌って大ヒットした曲ですが、元はフランスのニーノ・フェレールのシャンソンです。オリジナルよりもミーナの方が断然売れてしまったために多くの人は彼女のバージョンをカバーしています。日本でも越路吹雪らが日本語に訳した歌詞で歌い、録音も残っています。映画の中で歌っているのはスペインの女性歌手のルス。彼女は70年代後半から世界的に活躍するロック歌手で、そのアルバムは累計で500万枚以上売れています。そんな彼女が歌う「Un año de amor(愛の1年)」は、私の心に深く刺さりました。映画の内容よりも曲のインパクトが強すぎて、忘れられなかったのです。歌われるのも怪しげなクラブで女装したミゲル・ボセーが口パク当てぶりで踊るいうシーンなので、よりいっそう印象に残りました。スモーキーで暖かみのあるルスの声と、去っていく恋人への恨み節という歌詞がぴったりで素晴らしいとしか言いようがありません。

2.「Piensa en mi」Luz Casal
映画「Tacones lejanos(邦題:ハイヒール)」(1991)から
この曲は「メキシコで成功した歌手」という設定の母親が歌うシーンで使われます。ご存じメキシコの大作曲家、歌手のアグスティン・ララの作品です。「あなたが辛い時には私のことを思って」という歌詞が、絞り出すようにエモーショナルに歌われます。ララが歌うオリジナル・バージョンはもう少しのどかな感じで悲壮感はありませんが、それはそれで違った切なさがあります。

3.「Un año de amor」岸のりこ
ルスが歌う「Un año de amor」が心の歌となった私は昨年(2013)ある女性歌手のアルバムをプロデュースする決心をしました。その名は岸のりこ。彼女はジャズやポップス歌っていたときにサルサと運命的に出会い、90年代にカリブ・中南米で歌手活動をしたのち、2000年に帰国、DIVA NORIKOとしてもサルサ、ラテンの歌手としてのキャリアを築きました。日本ラテン・ビッグ・バンドの父、故・見砂直照氏に見いだされた彼女は、東京キューバンボーイズのゲスト歌手としても活躍しています。
しかし、その実力は並大抵のものではないもかかわらず、アルバムは若き日にベネズエラのSONY MUSICから出した「NORIKO」が1枚あるきりでした。どうしてもこの人のアルバムが作りたい、それも所謂サルサではなく所謂ボレロでもなく、ラテンの名曲をオリジナルなテイストで、という妄執(まさにオブセシオン)にとりつかれた結果、11月に「恋の12の料理法」というアルバムが完成しました。もちろん、アルバム制作のきっかけとなった「Un año de amor」も入っています。とても特別なアレンジで。
ぜひ、ルスのバージョンと聞き比べてください。
posted by eLPop at 11:51 | 高橋めぐみのSOY PECADORA