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ペドロ・アルモドバルの映画と音楽(2)

2014.03.11

今週(3/10〜3/14)は、radiko.jpで全国どこからでも聞ける「RN2」の15:20〜(再放送は22:20〜)の20分間に出演します。
ボラーニョの方は少しお休みして連動した記事をアップします。

すでに訂正しましたが、1日目の3曲目「Ne me quitte pas」の歌手をマイシャと発音しましたが、マイーザの間違いでした。「サンバ・カンソンの女王」「ブラジルのビリー・ホリディ」と讃えられるあのマイーザです。大変失礼いたしました。

さて、反省をしたところで、第2日目の3/11の曲と映画です。
1.「Volver」Estrella Morente
映画「Volver (邦題:ボルベール)」(2006)から
ハリウッドで大活躍し日本でもよく知られたスペイン人女優、ペネロペ・クルス主演の「ボルベール」は、アルモドバルお得意の喜悲劇。インモラルな状況から悲劇が起き、しかし、「女はたくましく生きる」という物語。6人の女のそれぞれの人生模様と、母娘という、実は父と息子よりもこじれると難しいかも知れない人間関係が描かれます。1日目に紹介した1984年の作品「¿Qué he hecho yo para merecer esto?」の中に出てくるエピソードがこの映画でもひとつの重要なポイントになっています。
曲はカルロス・ガルデルのタンゴ−カンシオンの名曲「ボルベール」。歌われるのは、主人公が母に思いを伝えるためにパーティで思い切って歌うという、まさに歌がメインのシーン。実際に歌っているのは現代フラメンコ界を代表するカンタオーラ(フラメンコの女性歌手)、エストレージャ・モレンテ。後述するエンリケ・モレンテを父に、バイラオーラ(フラメンコ・ダンサー)のアウロラ・カルボネルを母に持つ彼女は、20歳でCDデビューしました。そんな血筋の良さだけではない素晴らしい歌唱力の持ち主且つたいへんな美女。巧みな歌い回しで、力強さの中に繊細さを秘めた主人公の心情にぴったりの「Volver」を聞かせます。彼女の歌声は映画との相性も良く、1999年にヒットした映画「Sobreviviré(日本未公開)」やフェルナンド・トゥルエバ監督の「Chico y Rita(邦題:チコとリタ)」でも取り上げられています。
番組中でもしゃべりましたが、彼女がまだ19歳だった1999年、フランスからスペインに向かう飛行機が同じ便で、ゲートから機内に向かう通路でエストレージャが私の目の前を鼻歌を歌いながら歩いていました。そして、離陸して少しするとミュージシャンたちも全員揃っていた機内でささやかなライブが始まり、さらにエストレージャの歌を聞きました。迷惑に思った乗客もいたかもしれませんが、その前夜にエンリケ・モレンテの素晴らしいカンテ(フラメンコの歌)を聞いたばかり私にとっては嬉しいおまけでした。

2.「A good thing」Saint Etienne
映画「Volver (邦題:ボルベール)」(2006)から
打って変わってこの曲は90年代から活躍するイギリスのオルタナ・ダンス・バンド、セイント・エティエンヌの2005年のアルバムからの曲。軽快なテンポでメロディアス、ヴォーカルのサラ・クラックネルのちょっと甘ったるい声で明るく歌われますが、歌詞は切ないです。

3.「La noche」Estrella Morente
エストレージャ・モレンテのデビュー・アルバム、「Mi cante y un poema」から。若さの中に約束された将来を感じさせるソレアー。
この曲は映画には収録されていません。

4.「Tangos de la vida」Enrique Morente
現代フラメンコのカンテの最大の改革者が伝説のカンタオール、カマロン・デ・ラ・イスラだとしたら、エンリケ・モレンテはカンテを革新し続けた人物と言えるでしょう。この曲はライブ録音集からのスタイリッシュでスピード感溢れるタンゴスです。
彼が歴史的なフラメンコの王道を辿りながら、新たな可能性を探究したことは記憶にとどめられるべき多くの作品を生み出しました。そんなモレンテが2010年12月13日に67歳で急逝したことは、今でも残念でなりません。
この曲も映画には収録されていません。
posted by eLPop at 15:03 | 高橋めぐみのSOY PECADORA