今まで音質の悪さが気になって、サブスクの音楽配信は利用してこなかった。というのも、音質によって音楽の印象が変わってしまい、音楽制作者の意図が伝わってこない可能性が高いと思っていたからだ。それに、音が悪いと聞くのが疲れてしまう。そんなところ、ハイレゾまでカヴァーする音質にこだわった配信サーヴィスのQobuz(コバズ)が日本に正式上陸したので早速聴いてみると、CD音質もしくはそれ以上だったので、利用することにした。
Qobuzは、ラテン〜ワールド系の音源も豊富で、日本のハイレゾ配信の先駆けe-onkyo musicを丸ごと受け継いでいる(e-onkyo musicは、昨年10月にサーヴィス終了)ので、e-onkyo musicが契約し配信していた、キューバ最大の音楽レーベルEGREM(エグレム)の音源も豊富なのも、今回Qobuzでサブスク配信を始めるきっかけとなった。
長年CDの輸入、配給、製作、販売を生業としてきた身としては、最近CDで発売される音源が極端に減り、新作や復刻アナログ(LP、EP)の発売数が右肩上がりに増えていると、ひしひし感じる。それに、新発売されるLPは1枚もので5,000円以上。われわれの世代には、なんでその値段?と感じる価格。しかも、デジタルの原盤音源をアナログに刻むのは、音質的に意味があるの? アナログの音の良さを出すには、かなりマスタリング(音像全体の調整)に力を注ぎ込まないと無理なんじゃないかな? などと思ったりしてしまうのだ。
新作CDが出回らない、新譜アナログも上記のような状況ということであれば、音質がよければアブスクも致し方ないと、いうわけである。まあ、サブスクによるミュージシャン、著作権者、レーベルなどの音源制作者への利益分配が極端に少ないという、プラットフォーマーによる新たな搾取構造は、今後も残り続けるという問題はあるわけだが…。
今回は、初サブスク配信で知った、「こんなアルバム、音源が出ていたのね」というものを紹介したい。
*Qobuzで知ったものを紹介しますが、会員でなくても聞けるYouTubeのリンクを貼っておきます。気に入ったら、ぜひ音質の良い配信サーヴィスで聴いてみていただきたい。
まずは、キューバものから
Orlando "Maraca" Valle, Big Band / Mambisimo
アルバム『Flautas Gigantes』から
" target="_blank">https://youtu.be/r6xBuAZ95tw?si=fU6yMNvnElp-29jR
日本でもお馴染み、イラケレに在籍していたこともあり、日本在住のペドロ&ルイス・バジェの兄弟、フルート奏者、マラカの2023年作。ビッグ・バンド・サウンドをフィーチャリングしたアルバムから。
Orlando "Maraca" Valle, Orquesta Aragón / Sabrosona
アルバム『Los 80: Homenaje a la Orquesta Aragón (En Vivo)』より
https://youtu.be/T6ABpXNT8Js?si=6j8Hz4X1_E5a9M9J
同じくマラカが、名門オルケスタ・アラゴンの結成80周年を記念して企画したコンサートを納めた2000年のアルバム。この曲では、お兄さんのユムリもヴァーカルをとっている。
Orquesta Aragón / Con Un Besito Mi Amor (Audio Oficial)
アルバム『85 Años de la Orquesta Aragón』より
https://youtu.be/nkKeezlvzJs?si=Xt8SEmGRL_xE3Ubc
こちらは、オルケスタ・アラゴンの2024年作。このアルバム発表の少し前に、3代目ラファエル・ライ(Rafael Felipe Lay Bravo)が父親からリーダーを引き継ぎ、結成85周年にして新生アラゴンとしてスタートたばかり。アラゴン節はそのままに、やはりフレッシュなサウンドを聴かせている。
Virginia Guantanamera / A Guantánamo
アルバム『 A mi gusto y a mi aire』より
https://youtu.be/D0usH59rHtE?si=3c_adEowqqMhaXX2
キューバン・サルサ(コンテンポラリー・ソン)系では、女性歌手、ビルヒニア・グアンタナメラの2023年作に注目していただきたい。コンテンポラリー・ソン、ティンバ、トラディショナル系サウンドのミックス・バランスが素晴らしい。やはり近年のキューバの女性ミュージシャンの活躍には、目を離せない。
トラディショナル系ソンのグループもここ2年のうちに新作を発表している。ここでは、リンクしないが、検索して聴いていただきたい。
Septeto Naciónal Ignacio PIñeiro(セプテート・ナシオナル・イグナシオ・ピニャイロ)、Los Guanches(ロス・グアンチェス)、Septeto Sones De Oriente(セプテート・ソネス・デ・オリエンテ)、Pancho Amato(パンチョ・アマート)、Cotó y Ecos del Caribe(コト・イ・エコス・デル・カリベ)、El Nene(エル・ネネ)
Grupo Ashé / Dance Hall para Eshu
アルバム『Los Orishas en el Caribe』より
https://youtu.be/HHmZRCT2BJE?si=7lEOghuywJiQVo00
今年になってアルバム・デビューした、若手アフロ・キューバン・ミクスチャー・グループ。経歴等は、まだ把握していないが、サンテリーアの音楽をレゲトン、クバトン、レゲエ、ダンスホール、アフロ・ビートなどに落とし込んでいくサウンド。いかにも現代っぽいアプローチだが、サンテリーア・サイドからクバトンのミュージシャン・サイドへの回答的な硬派なサウンドが面白い。1980年代のグルーポ・シンテシスの現代版ともいえそう。
まだ、練りきれていない面もあるが、このアルバムの直前にも『Ires Iwaju』というアルバムを発表していて、かなり精力的、今後に期待したい。
キューバ以外も少しご紹介しよう。
Carmina Cannavino / Así de pronto se va
アルバム『Chabuca Íntima』より
https://youtu.be/-SWqQ8XFRN4?si=I5_SP4a6PEi4MAqb
ペルーのチャブーカ・グランダのトリビュート・アルバム・シリーズの大3弾が、2023年に発売されていた。
この曲を歌っているのは、ペルーのヌエバ・カンシオーンを代表する女性歌手で、音楽研究者、カルミーナ・カンナビーノ。若くからメキシコを拠点に活動。アルバムの発表の前年、チャブーカ・グランダの誕生100年祝うコンサートに出演したが、同年亡くなってしまった。
Natalia Lafourcade / Como Quisiera Quererte
アルバム『Cancionera』より
https://youtu.be/zQy0VM-tdUg?si=2T2vV8lLRPOGJ4hk
そしてこちらは、メキシコの新伝統派ナタリア・ラフォルカデ最新作。取り上げた曲は、メキシコのS.S.W.エル・ダビ・アギラールとのデュエット。
音質は、やはりQobuzの方が比べ物にならないほどいいが、YouTubeの方は全曲、物語仕立の映画クオリティの映像つきで、こちらもまた違った楽しみ方が出来る。しかし、ナタリア・ラフォルカデ絶好調ですね。
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