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『教皇選挙(Conclave)』

2025.06.14

観たもの-映画

『教皇選挙(Conclave)』2024年
監督:エドワード・ベルガー(Edward Berger)
脚本:ピーター・ストローハン(Peter Straughan)
原作:ロバート・ハリス(Robert Harris)著『Conclave』(2016)
配給元:キノフィルムズ

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 実は、今回はNetflixで配信されているアルゼンチンのドラマ『エル・エテルナウタ(El Eternauta)』について書こうとしたのですが、これは生半可な知識と心構えで挑んではいけないことに気づきました。これを書くには映画『アルゼンチン1985〜歴史を変えた裁判(Argentina, 1985)』にも触れなければならないし、なかなかの覚悟が必要です。

 ひとまず第一シーズンが終了し、新シーズン配信も決定ということなので、改めて紹介したいと思います。

 そこで、というわけではないのですが、前教皇のフランシスコが亡くなったこともあり、空前のヒットとなっている『教皇選挙(Conclave)』を紹介します。

 アルゼンチン出身のフランシスコの目覚ましいリベラル路線の根底には、上記のアルゼンチンの歴史が無関係ではないと言われています。そのことも含め書きたい部分もありますが、改めてにします。

 映画の原作は2016年ですし、完成もフランシスコの存命中ですので、内容とはまったく関係ありませんが、教皇が亡くなったらこうなるという過程が丁寧にわかりやすく描かれていきます。カトリックのど真ん中で活動されてきた枢機卿でも、詳しい手順などは知るよしもないようで、日本からコンクラーベ(実際の教皇選出のシステムについてはこう表記します)に参加した枢機卿が、この映画を観て「参考になりました」とニュースで言っていたことが印象的です。

 さて、映画では、教皇が心臓発作で急逝し、英国出身のローレンス首席枢機卿(レイフ・ファインズ)がリーダーとなり後任を選出する準備を進めます。招集された枢機卿たちの内、有力候補は、改革派のアメリカ出身のベリーニ枢機卿(スタンリー・トゥッチ)、保守派のナイジェリア出身のアデイエミ枢機卿(ルシアン・ムサマティ)、カナダ出身のトランブレ枢機卿(ジョン・リスゴー)、がちがちの伝統主義者でイタリア出身のテデスコ枢機卿(セルジオ・カステリット)の4人でした。観ている方も、この中から選ばれるであろうと思っているところに、前教皇によって任命されたばかりのカブールの大司教であるメキシコ出身のベニテス枢機卿(カルロス・ディエス)がぎりぎりで到着します。その時点で、「お、この人が狂言回しか?」と誰しも思う筋書きです。

 淡々と進められる手続きの中、それぞれの思惑や野望がうごめき、ひとりまたひとりと候補が外れていきます。さらに物騒な事件も起きて物語が動きます。

 果たして誰が新教皇になるのか?

 美しいというよりも荘厳で重厚なバチカンの描写、実力派の俳優たちの名演、サスペンスと盛りだくさんな娯楽映画です。
 
 脚本は我が偏愛映画の『裏切りのサーカス(Tinker Tailor Soldier Spy)』(2011)のピーター・ストローハンですから、面白くないわけはないのです。女性はごくわずかしか登場せず、ほぼ中高年の男性しか出て来ないとはいえ。

 絶対に結末を知らないで観た方がいいです。

posted by eLPop at 01:29 | 高橋めぐみのSOY PECADORA