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ミレナ・ワルトン

2025.06.14

今回はペルーの若いアンデスルーツの女の子たちをエンパワーメントするポップ・アンディー(アンデス・ポップス)のを歌い続けているミレナ・ワルトンの近作を紹介したい。

2023年にチリのビニャ・デル・マール音楽祭のフォルクローレ部門で金賞を受賞しましたが、それ以前から若い層に強い人気があったのは、「かわいい」路線でアピールするだけでなく、それぞれが尊厳を持てるように、テーマ自体も生きづらさを乗り越えていく、つながっていける、そういうものの大切さを一貫して作り歌い続けてきたことにある。

1曲目に紹介させていただく「ラティンチョラ」は、ペルーではなく、ボリビアの都市部に住む先住民女性チョラの衣装で行われるチョリータ・プロレスが、ボリビアの首都ラパス周縁部に位置する、高度4200メートルのエル・アルトで生まれた新たな建築様式チョレット建築(新アンデス様式とも)の屋内に設置されたリングで行われる、そういう現場を通して歌っている。彼女の歌とラップとプロレスとスケボーをシャッフルしながら、姿の見えない男性に対して技をかけ、そう簡単に籠絡できると思うなと啖呵を切りながら打ち倒していくことで、制度自体にまけずに闘い続けて変えていけることを伝えようとしている。

ミレナ・ワルトン 「ラティンチョラ」
Milena Warthon "Latinchola" 2025/03


https://www.youtube.com/watch?v=zcHd1cwKgW4

続いて2曲目の「チョリータ・リンダ」は、遠い田舎からひとり大都市リマに出てきた若い物売りの女の子が、皆に居ない者とされ、追い払われしながら、それでもときに悲しい思いもしながら、インフォーマルな環境に生きる人びとの相互扶助を通して人とつながり、居場所を作っていく情景を描いていく。制度が「先住民」「女性」「貧者」「地方出身者」を劣位に、そしてときに居ない者と扱い、都合良く利用する存在とする中で、したたかにつながりながら生きていく連帯をイメージさせる彼女の歌は、だからこそ響くのだろうとも思ったりする。

「チョリータ・リンダ」
Milena Warthon "Cholita linda" 2024/07


https://www.youtube.com/watch?v=3Q7k5G0y4Ds
posted by eLPop at 01:22 | 水口良樹のペルー四方山がたり