■プエルトリコ〜ニューヨークの取材旅行(4−5月)
まずプエルトリコへ。久しぶりの現地で驚いたことがいくつか。
まずボンバ。従来はアフロ系のファミリーが継承する伝統的民族音楽だったものが2010年代頃から若い世代が、クラブやバーなどでクラブ感覚で楽しむようになってきた。従来なら伝統的衣装をまとうところ、新世代はTシャツにジーンズ。今はミュージシャンレベルに浸透し、レゲエ、ヒップホップ、ロック、ジャズなどの担い手が同時にボンバの奏者・踊り手・歌い手としても活動し、そこから新しい感覚の音が生まれていた。
その代表はエル・ラベリント・デル・ココ(El Laberinto del Coco)。2024年は全米の各地のフェスやイギリスでのワールドミュージックの祭典 WOMEXなどへの招待、今旬の音を取り上げる事で定評のあるNPR Tiny Deskへの出演など忙しい年だった。
El Laberinto del Coco: Tiny Desk
https://youtu.be/R2_7ADO2Hlo?si=ZMoWsEh4E__J_rqL
その他に驚いたのは、Amazon.usaなどにないCDが結構出てたこと。配信があるものないもの両方だが、配信があっても日本では情報ないし、Apple MusicやSpotifyのレコメンドにも出てこない。でも全米各地のPRコミュニティを通じてディストリビュートされている。ちょっと見えない音楽の伝播経路。
ニューヨークはジャズ場中心にチェック。ラテンはアルトゥーロ・オファリルもよかったが、キューバンのピアニスト、ファビアン・アルマザンが最高でした。(ジョナサン・ブレイク・クインテット)
Music Network presents Linda May Han Oh & Fabian Almazan
https://youtu.be/cMsgB2Wyld4?si=7Kjh7pRqnzOR0T0B
■UK関連
・年初に企画をもらって久しぶりにUKの音を50年代くらいから総ざらい。
ブルースからロック、プログレ、フォークやトラッド、遡ってケルト、パンク、英領カリブのカリプソからメント、スカ、ロックステディ、ラヴァーズ、レゲエ、ダブ、ガラージ、ジャングル、ダブステップ、グランジ、ベースミュージックいろいろ、英領アフリカ(ナイジェリア、南ア、ガーナ)
これが面白かったです。ヌバイア・ガルシアのダビーな部分とか。
で、ラテンと関係ないんですが、2024年にヴァーヴからデビューのUKのSSW、リアナ・フローレスにはけっこうやられました。父がイギリス人、母がブラジル人で、イギリスでボサノヴァとポップスで育ち、大学でブリティッシュ・トラッド&フォークやアメリカン・フォーク、ジャズに影響を受けた音はメロにブリティッシュ・トラッド感とブラジル感がクロス。
liana flores - Nightvisions
https://youtu.be/fj7BDOmcILo?si=VqSHSONNHQYlFjNJ
そして音は直接関係ないのになにかフローレスと同時代性や不思議なクロス感覚の共通項を感じるのは、ニューヨーク・ブルックリンで活動するメイ・シモネス。
Mei Semones - Wakare No Kotoba
https://youtu.be/4AxId-yl2_Q?si=R-FfvkrqL8DarkQh
父がアメリカ人、母が日本人という、彼女もクロスカルチャーの中で育ち音を作って来た。
二人共、とても軽やかな形でのかつその社会ではマイノリティの文化の組み合わせで育っているのが面白い。
【本】
2冊とも今まで書かれたり研究されたりしてきた歴史や哲学が、白人を軸に構築されて来たことのくびきから離れて「黒人」「カリブ」の視点から事象を見直す試み。かなり面白です。
『黒人理性批判』アシル・ムベンべ(講談社選書メチエ)
『私が諸島である カリブ海思想入門』中村達(書肆侃侃房)
【ライヴ】
1 “El Laberinto del Coco” @ el Goyco, Puerto Rico, Apr.28,2024
プエルトリコのボンバ系アフロカリビアンビートなユニット。昨年は全米ツアー、UKのWOMEXやNPR Tiny desk招聘と多忙な人気。素晴らしいグルーヴと現代性にやられました。
https://www.facebook.com/1525748014/videos/pcb.10231656709310532/1004219757802262
2 NAKIBEMBE @代官山Unit, Aug.20, 2024
ウガンダのブソガ王国から初来日。21枚の音板の木琴エンバイレを6人で演奏。強烈なダイナミクスとうねり。これまたノックアウト。
https://www.facebook.com/1525748014/videos/pcb.10232542658178700/8145985632125801
3 JOE BATAAN @ハレマメ Sep.22, 2024
とにかく多幸感。こういうものを場から引き出せる人はほんといないと思う。
https://www.facebook.com/1525748014/videos/pcb.10232940908894719/3743410822583399
【インタビュー】
村上春樹さんにインタビューをした。新刊『デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界』という40-50年代のジャズ・レコードのジャケットを描いたイラストレーター、デヴィッド・ストーン・マーティンについて書いた本についてのインタビュー。
村上さんの「自分は小説を何から学んだかと言うと音楽。作品を書いて読み直すときいつもリズムの事を考えリズムが良くなるように書き直してる」と言っていたのが印象的。その他にも色々気づかされる言葉があって、2024年にやったインタビューの中でもかなり面白いものだった。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/1639180900000000000B>


