観たもの-舞台:
『SHOJI KOJIMA -FLAMENCO 2024 蒼茫』
日時:2024年11月20日、21日
会場:銀座ブロッサム中央会館
小島章司フラメンコ舞踊団:https://www.shojikojima.com/
フラメンコとの関わりは、初めて買ったレコード「星のフラメンコ」を除けば、今を去ること30年ほど前に、マドリードの友人に連れられて行った、入り口のドアの小さな窓で何者か確認されてからやっと入れる秘密めいた場所で観た、ギターとパルマ(手拍子)とかすかな歌が最初でした。その時の出演者たちはプロなのかどうかもわからず、ただ「上手い人」と呼ばれていました。ショーを見せるタブラオではなく、ダンサーもいない、まさにディープなアフィシオナード(熱狂的な愛好家)しか来られないところでした。
そんな出発点から、何度かスペインでのショーや豪華名な舞台も観て、ある程度は勉強もして歴史的な背景も含め理解を深めては来ましたが、この度の『SHOJI KOJIMA -FLAMENCO 2024 蒼茫』を観て涙が出たのです。やっぱりと言うか絶対というか、小島章司は他の何者とも比較し得ない唯一無二の踊り手で芸術家です。
寝不足だったため行きの地下鉄でうとうとしてしまい、なんだか頭がはっきりせず会場までの道をヨタヨタ歩く始末だったので、途中でコーヒーを飲みカフェインを摂取して臨んだ『SHOJI KOJIMA -FLAMENCO 2024 蒼茫』。ただただ圧倒されました。小島先生(長年こうお呼びしているので)の公演は、何度も拝見しておりますし、今までも素晴らしいものを見せていただきましたが、落涙したのは今回が初めてです。
小島先生の公演で、いつも言えることは、ミュージシャンが本当に素晴らしいということ。踊ることに音楽は欠かせないというだけでなく、フラメンコの奥底にある踊り手と音楽家の戦いにも似た共謀が、どれほど重要かを身に染みて感じられるのです。今回もチクエロ御大のギターを軸に、息子ディエゴ(ギター)、マルタ・ロマ(チェロ)、カルロス・カノ(ヴァイオリン)、ハコボ・サンチェス(パーカッション)と第一線で活躍する人気と実力を兼ね備えたメンバーに、カンテ(歌)はお馴染みのエル・ロンドロにダビ・ラゴスと盤石でした。
舞踊団の精鋭たちによる見事なバイレとのコンビネーションだけでなく、音楽と歌をじっくり聞かせるプログラムもあり、一瞬も目を離すことが出来ない舞台は、もはや言葉で言い表すことは難しいレベルに到達していました。
そして、小島先生のバイレにはため息すら出ない。一挙手一投足を見逃さずに凝視してしまいました。多幸感とか感動とかいう簡単なものではない、感情の渦にぐるぐる目が回りました。
悪戯に馬齢を重ね、最近は何を観てもあまり心を揺さぶられることもないのですが、帰り道も頭がぼうっとしたままで、デパ地下で散財してしまいましたとさ。
観たもの-映画
『ペドロ・パラモ(Pedro Páramo)』2024年
監督:ロドリゴ・プリエト(Rodrigo Prieto)
脚本:マテオ・ヒル(Mateo Gil)
原作:フアン・ルルフォ(Juan Rulfo)著『ペドロ・パラモ(Pedro Páramo)』(1955)
配給元:Netflix
今年(2024年)は、ガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』が遂にというか何というか、文庫化したことで売れに売れ、パソコンを持っていない人がWindows 95を買ってしまった時のような盛り上がりを見せました。さらには、Netflixで映像化されるという大事件も起き、嬉しいような不安な様な気持ちになったのでした。
そのNetflixで一足お先に映画化されたのが、この『ペドロ・パラモ』です。小説版を読んだものとしては、あの幻想的で謎多き物語を映像化?と大いに興味をそそられました。
あらすじは、母の遺言で父ペドロ・パラモを探しに行くフアンが、迷宮のような不思議な町コマラに行くという物語ですが、何が現実で何が幻想なのか断片的で、時間軸もばらけたような展開で、読むものはフアン同様にすっかり翻弄されます。
正直、小説よりも映画の方がわかりやすかったです。フアンの話(現在?)は、荒廃した町の暗い闇のような雰囲気なのに対して、過去であるペドロ・パラモのエピソードは、活気があり色鮮やかです。そして、どちらも魅力的です。
内容はあまり覚えていなかったのですが、ラストにショックを受けたことだけは覚えていて、今回もまたショックを受けました。
監督のロドリゴ・プリエトは、撮影監督として、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥと長く仕事をし、ハリウッドの有名作品にも名を連ねている才人です。フアンを演じるのは、テノチ・ウエルタ、ペドロ・パラモを売れっ子のマヌエル・ガルシア=ルルフォが演じます。不思議な話なのに、俳優たちの存在感がずっしりしていて、妙なリアリティがあり最後まで楽しめました。
もちろん、音楽も間違いなく素晴らしい。一度聞いたら忘れられない曲をご紹介しておきますね。Cardencheros de Sapiorizの「La Noche Llegará」です。
https://m.youtube.com/watch?v=EMk6INn0aLo
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