監督:ゴンサロ・ベナベンテ・セコ(Gonzalo Benavente Secco)
配給元:ブエナワイカ
https://www.buenawayka.info/re-tierra
公開:2024年4月27日 新宿K's cinema 他各地で順次公開
https://www.ks-cinema.com/movie/la-revolucion/
カリブ中南米の「革命」といえば、まず思い浮かぶのはメキシコ革命(1910-1917)とキューバ革命(1959年)でしょうか。キューバ革命「成功」の衝撃はわたしたちの想像をはるかに超えたものだったのです。それは時代を超えて今も人々の間に根強く残っています。
本作はペルーで起きた「革命」を既存の映画やニュースフィルムを元に、主要な関係者に取材したドキュメンタリです。ある程度、ペルーの歴史を知っている人でも驚きの連続は必至でしょう。多少なりともペルーに関わってきたわたしもまったく知らなかった歴史を改めて知ることが出来ました。
1968年、フアン・ベラスコ・アルバラード将軍による軍部革命政府が樹立され、ペルー革命が推し進められることになります。その最大の政策は、翌1969年に公布される農地改革法です。アシエンダ制度に代表される植民者による大規模農園の経営は、労働力としての先住民や農民たちに過酷な条件での労役を強いるものでした。当然ながら土地と市民権を巡る闘争が起きました。そんな社会闘争のさなかの農地改革法は、その社会に大きな変革もたらします。ちなみにメキシコ革命もキューバ革命も政策の主軸のひとつは農地改革でした。
先住民を半奴隷状態から解放したといえるベラスコ大統領は英雄にしか見えません。しかし、ベラスコが志し半ばで亡くなり、農地改革後のペルーはテロによる激しい暴力の時代を経ていきます。そのため、ベラスコは地主寡頭制の解体、崩壊に導いた独裁者という見方もあります。
そして、その評価の結論は未だ出ていません。
しばらく前にリマを訪問した際に、ピサロ(インカ帝国を征服した軍人)の副官の邸宅を訪問しました。16世紀から続くという大金持ちの大邸宅で一部が公開されているのですが、他の部分は現在も一族の住居として使われているそうです。中にはその一族の現在の集合写真が飾られていました。それは開いた口がふさがらないほどの、スペイン系にすら見えないヨーロッパ系の人のみの一族で、そのときの嫌な気持ちをこの映画を観て強く思い出しました。
歴史を解説する形でモザイクのように散りばめられた映画の断片と農民指導者、社会学者、映画監督、元大統領、作家、起業家などの生の声が織りなす饒舌なドキュメンタリは、どちらかの立場ではなく多角的な視点で観てほしい傑作です。
時代を捉えた音楽も素晴らしいということを付け加えておきます。


