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アンドレア・モティス『Loopholes』ライヴ@Blue Note Tokyo

2023.05.26

昨年日本盤で最新作『Loopholes』がリリースされ、がぜんシーンで注目されたスペインのシンガー&トランペッター、アンドレア・モティス(Andrea Motis)。

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『Loopholes』はそれまでの基本オーソドックスなスタイルをから、ロイ・ハーグローヴのRHファクター、やロバート・グラスパー、グレッチェン・パーラト、エスペランサ・スポルディングなどからの影響も強く感じるサウンド。今回のライヴは前回までの来日と異なりそんな音を初めて日本で披露した。

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"I had to write a song for you"からポップにスタート。シティ・ポップ的な音感覚。2曲目"Deixa't Anar"はカタランの歌詞。今回の作品のサウンドの方向性はステファン・コンダード(b)が担当。ネオソウルやファンクなど最近のUS系ジャズの音がベースだが、そこに異なる色それもカスティーリャではない色を付ける曲の一つ。カタランの持つ言葉の響きは、4曲目の"Jungla"も同様でステファンとアンドレアの個性のバランスが響く面白い感覚。ちなみにステファンはオーストリア人でNYで活動するジャズヒップホップなインスト・グループのRuff Packのメンバー。今回の録音盤には同じくUSAで活躍するBIGYUKI(kyd)、グレゴリー・ハッチンソン(ds)が参加している。

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カタランに加えて色を付けるのがクリストフ・マリンジャーのマンドリンやヴァイオリン。6曲目に演奏された彼の作品"Espera"はそれら楽器が前に出ていて、US的なサウンドに収まらない色彩を生み出していた。

ライヴ後半はファンク色強い"Heat"に続いてクンビア"El Pescador"。これが会場を盛り上げた。
日本のジャズ系の記事にはUSジャズの話しかほとんど触れられていないが、この作品はコロンビアの作曲家ホセ・バロス(José Barros)の作品だ。バロスはクンビア、ポロ、クルラオ、バジェナート、バンブーコ、パシージョからタンゴ、ボレロまで多くの作品を残している名作曲家。"La piragua", "Navidad negra", "Momposina", "El gallo tuerto"などの曲はコロンビアの歌い手からソノーラ・マタンセーラ、アグスティン・ララなどラテンの様々な歌い手/グループにより歌われている。

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José Barros (1915-2007)

"El Pescador"は彼女がチリに演奏旅行に行った時、トト・ラ・モンポシーナのヴァージョンで曲を知り、いつか歌いたいと思いつつも、従来のオーセンティックなジャズでは扱いにくかったのが、このサウンドで可能になったと語っている。

Totó la Momposina - El Pescador

https://youtu.be/w-HYUtqFLmY
https://youtu.be/6_wKnB3DhKA

Andrea Motis - “El pescador”

https://youtu.be/JuXTDdiKQR8

ライヴは最後は会場と歌で一体となって楽しいステージ。アンコールは"Summertime"だった。

音楽や文化は色々な機会、背景で混淆し合って何かを生むことも多い。彼女の本当の面白さは、この混淆の深みがどう出てくるのかにあると思う。これから彼女がどう発展していくのか、彼女やメンバーの中の欧州が何か音に何かをもたらすのか今後が楽しみだ。

そうそう、アンドレアは2人目のベイビー(お父さんはメンバーでパートナーのマリンジャー)が育つ丸いお腹でバリバリ吹くわ歌うわで、そのエネルギーも含めとても楽しいステージだった。


Andrea Motis(vo,tp), Christoph Mallinger (g,vln,mandolin), Arecio Smith(key), Stephan Kondert(b), Miguel Asensio(ds)

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posted by eLPop at 19:01 | 伊藤嘉章のカリブ熱中症