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『eLPopの1月はこれだった!』特集!

2021.02.02

2021年もコロナスタートしてますが、それだけに音楽や本や映画やらじっくり楽しむ機会も増えたかもしれません。さてeLPopメンバーはどんなだったか?『1月はこれだった!』をお届けしたいと思います。

新譜・旧譜、新作・旧作関係なく、音盤あり曲あり本ありと様々ですが、この月はなぜかこれだった、というのをチョイスしました。

気になったものがあればリンクをぜひクリックしてみて下さい(記事到着順に掲載)


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◆高橋めぐみ(SOY PECADORA担当/スペイン語圏の本・映画)
『忘却についての一般論』ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ
翻訳:木下 眞穂 白水社 エクス・リブリス

忘却についての一般論.jpg

書籍情報はこちら↓
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b517265.html

 若い時のある「事件」のせいで人と関わることが不得意になってしまったポルトガル人女性のルドヴィカ(ルド)という女性が、姉夫婦とともにアンゴラの首都ルアンダに移り住み、その解放闘争に巻き込まれることを避けて、出入り口をコンクリートで固めて壁を作り外界との接触を完全に閉じてしまう物語。そこだけを切り取るとなんとも憂鬱な気分になるが、お嬢様育ちにしてはルドはたくましく様々な工夫をして27年を生き延びる。そして、(本人は与り知らない)彼女の周辺の人々にも動きがあり、まるで貯まった水が一点に吸い込まれるかのように大きなうねりが起きる。ずんずん読み進んでしまった。

 アンゴラの作家の小説は初めて読んだが、どうやらアグアルーザは生まれながらのストーリーテラーの系譜のようだ。さりげなく散りばめられたエピソードがうまく収束していく様は見事。実際に「動乱を避けて立てこもった女性がいたらしい」という話を小耳に挟んで、リアルとファンタジーの狭間を行く現代の寓話を作り上げた腕は確かだ。


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◆佐藤由美(GO! アデントロ!/南米、ブラジル & more)
『ジョアン・カエターノ劇場のエリゼッチ・カルドーゾ』

エリゼッチカルドーゾ.jpg

 こんなご時世とあって、某紙ライブレビュー枠が先の春以来「必聴ライブ盤」に衣替え。1月30日付夕刊のため、この伝説の名作を選んだ。

 1968年2月19日、リオデジャネイロのジョアン・カエターノ劇場(90年代には旧・東京厚生年金会館っぽい趣だった)で行われた世紀の公演。20世紀の名役者たちが居並ぶ、一夜限りの壮行チャリティコンサート。ブラジルの至宝エリゼッチの歌声を支えるのは、サンパウロ気鋭のジンボ・トリオ、歴史的バンドリン奏者ジャコー&エポカ・ジ・オウロ。通常なら交わることのないジャズサンバとショーロの両雄が、女王の巧みな歌をサポートする。

 かつて日本で77年にメドレーを含む8曲がLP発売され、94年にほぼ完全版の2CDをリリース。当時は新譜を中心にブラジル音楽を追いかけていたせいだろう、名盤との誉れ高い作品ながら音質が記録レベルというのもあって、この貴重なライブ盤の真価に気づけなかったな。まぁ人生、そんなもの……トホホ。

 重厚かつ芳醇なエリゼッチの歌を聴くと、21世紀にこんなにも豊かな表現力と多彩な唱法をもつ歌手はブラジルにもはや現われまいと、溜息が出てしまう。エリゼッチは中盤で予定外の隠れたジャコー曲を披露したり、抜き打ちの暴露話でジャコーに冷や汗かかせて笑ったり、少女の頃から得意なサンバステップで魅せたり(映像ないのでもちろん想像)……聴衆の喝采や拍手、大合唱に、もうすっかりこの場に居合わせた気分になれる。

 トーク部分まで邦訳が付いた国内盤2CDは、今や中古で高値。おっと、YouTubeで全部聴ける!?かと思いきや、一部割愛されているじゃないか……。いんや、それでも2CD未収録のジンボの快演「ポンテイオ」と「塩の歌」がYouTubeのほうで聴ける! てなわけで、遅まきながらどっぷりと新たな驚きと感慨に浸ってしまった。

 初の日本公演に旅立つ前の、壮行コンサートだったんですね。結局その年、いい加減な日本人の約束のせいで訪日は実現せず。待望の初来日まで、10年近い歳月を待たねばならない。

Elizeth Cardoso, Zimbo Trio e Jacob do Bandolim - Ao Vivo... Vol. 1 (1977) [Full Album]


Elizeth Cardoso, Zimbo Trio e Jacob do Bandolim - Ao Vivo... Vol. 2 (1968) [Full Album]




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◆水口良樹(ペルー四方山語り担当/ペルー)
『A Chabuca en Vivo』

去年の2月にリマで聴いた「A Chabuca en Vivo」のYouTubeです。
入場料桟敷席で100ドル超えだったコンサートが無料で見れるなんて!です。

!A CHABUCA EN VIVO! - Gran Teatro Nacional [24 y 25 de febrero/2020]


https://www.youtube.com/watch?v=Cw1ZkEh10vM


演劇を交えてやっており、演劇の台本はフェルナンド・イワサキが担当しています(彼のエロすぎる異端審問の話はちょっと苦手で挫折してしまいました)。
またがっつり記事としても書きたいと思いつつ、思ってるだけで過ぎてしまいそうなのでまず紹介してしまおうという消極的作戦です。

出演者は半分ペルー、半分ラテンアメリカ+スペインです。CD未収録曲でも良いものも沢山ありますし、個人的にはペルーのハビエル・ラソが聴けたのがうれしかったです。あと僕がずっとファンだったカルビナ・カンナビーノ。ソレダーもはじめて生で聴きました。冒頭のみ、チャブーカの曲ではなく、彼女に捧げられた「チャブーカ・リメーニャ」を子どもがアカペラで歌っています。詳細はいずれきっと記事にします!



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◆長嶺修(猫の目雑記帳担当/スペイン & MORE)
『ルシア・フメーロとラケル・ルア』

スペインのカタルーニャから、女性アーティストの新鋭を2人。まずは、ピアニスト/シンガーのルシア・フメーロ。父親はアルゼンチン人ベーシストのオラシオ・フメーロです。1949年生まれのオラシオは、ジュネーヴの音楽学校に学んで、70年代にはガト・バルビエリの欧州ツアーに加わるなどし、80年代に入ってからはバルセロナを拠点に、テテ・モントリウのバックを長く務めました。

以降も、チャノ・ドミンゲスのトリオに名を連ねたりと、スペインのジャズ・シーンを代表するベテラン・ベーシストとなっています。その父親とはライヴなどで共演しているようですが、ルシアが20年にリリースしたデビュー作『Universo Normal』は、自身のピアノと歌に、ベース/レオナのマルティン・レイトン、ドラムス/パーカッションのフアン・ロドリゲス・ベルビンからなるトリオを基本編成とした録音。

ゲストで、同じくカタルーニャの若手女性トロンボーン奏者/ヴォーカリスト、リタ・パジェスが参加しています。ジャズはもちろん、クラシックやフォルクローレ、ラテン〜ワールド系も包含した音楽性で、まだ線が細く感じられるところはありますが、今後もピアニスト/シンガー、そしてソングライターとして注目しておきたい存在です。

『Universo Normal』から2曲+(オマケ)父オラシオとのデュオ@ビルバオ(2019)&リタ・パジェスらとエドゥ・ロボの「ウパ・ネギーニョ」を演じたライヴ@マラガ(2019)

LIVE 'Quisiera ser un robot' by Lucia Fumero

https://youtu.be/kZWZTwKLMoI

La muerte despierta

https://youtu.be/8PR9dhunGa4

Bilbaina Jazz Club 2019 / XXIXAuditorio / LUCÍA & HORACIO FUMERO dúo

https://youtu.be/NtCob_np1f0

Fernández, Payés, Fumero & Datzira "Upa Neguinho"

https://youtu.be/muhI1I3HBqE


もう一人は1993年生まれのシンガー・ソングライター、ラケル・ルア。2015年にテネリフェ出身のギタリスト、ジェライ・エルナンデスを伴い、タンゴ名曲「ノスタルヒアス」やホルヘ・ドレクスレルの曲も取り上げた6曲入りミニ・アルバム『Cabal Musical』を、18年には単独名義のフル・アルバム『Ruegos Y Demás』を発表。地中海フォーク、フラメンコ、ブラジル音楽など織り交ぜた音作りや、その歌声/節回しは、“ヌーヴォーなシルビア・ペレス・クルース”とでも言えるでしょうか。20年には4曲入り『Kairós』をリリース。彼女の歌声は、60年代にノバ・カンソ(カタルーニャの「新しい歌」)のムーヴメントに加わり、15年に亡くなった女性歌手テレーザ・レブイに捧げたライヴを収録するアルバム『Amor de la Marenda』でも聴くことができます。

『Ruegos Y Demás』から2曲+『Kairós』から1曲

Raquel Lúa - Preciosa y el Aire (Videoclip Oficial)

https://youtu.be/OMChTfgXXGs

Júlia

https://youtu.be/5Pd5oVpjhHE

Raquel Lúa - Canción en tiempos revueltos

https://youtu.be/T0TroKgOLLw



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◆高橋政資(ハッピー通信担当/キューバ、ペルー、スペイン)
『シマファンクを軸にした展開:"新"HAVANA MEETS KINGSTON、ブレンダ・ナバラテ、アロルド・ロペス・ヌサ』

 オーストラリアのジャマイカ音楽のプロデューサー、ミスタ・サヴォナ(Mista Savona)が取り仕切るプロジェクト「HAVANA MEETS KINGSTON」は、2017年にファースト・アルバムを発表した。そこでは、ジャマイカ側からスライ&ロビー、アーネスト・ラングリン、リロイ・シブルスなどが参加。キューバからは、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ〜アフロ・キューバン・オール・スターズからバルバリート・トーレスとフェリクス・バロイ、そしてベアトリス・マルケス、ロランド・ルナ、フリート・パドロン、パーカッション組としてチャンギート、ジャロルディ・アブレウ、オリベル・バルデースなどが参加していた。

 参加メンバーの豪華さや企画力で一部で話題になったようだが、両者は地理的には近いものの、音楽的、特にリズムの面ではある意味全く異なるもの。ジャマイカがゆらぎのリズムなのに対し、キューバはタイトさを重視する傾向が強いので、この企画は個人的にはあまり面白いと感じられなかった。最近の若いキューバン・ミュージシャンは適応力が高く、なかでも抜きん出ているブレンダ・ナバレテをフィーチャリングした曲でさえ、はまることは出来なかった。インテラクティボがフジロックに参加するために初めて来日した2018年には、メンバーだったブレンダ・ナバレテとフリート・パドロンは、「HAVANA MEETS KINGSTON」のヨーロッパ・ツアーと重なってしまい来日出来なかったが、噂ではブレンダは「音楽的に異質なところがあり、正直やりにくい」と言っていたそうだ。

 この企画のことをもう忘れかけていたが、昨年(2020年)11月、突然シマファンクをフィーチャリングした録音が発表された。シマファンクもCOVID-19禍で活動動向が伝わってこなかったので、聞く前は期待と不安半々といったところだった。が、いざ聞いてみると流石シマファンク、全く堂々としたものだ。スライ・ダンバーのドラミングをキューバ側にグッと引き寄せてしまっている。曲タイトル「Beat con Flow」そのままのシマファンクのパフォーマンスを感じていただきたい!!
 なお、「HAVANA MEETS KINGSTON」は、もうすぐセカンド作が発表されるようだ。

「Beat Con Flow」Mista Savona, Cimafunk
(Mista Savona & Cimafunk - Beat Con Flow from the Havana Meets Kingston II Project)


https://youtu.be/TUdRzCa9Cuw

(参考映像)

「Havana Meets Kingston (La Canción)」Mista Savona & Brenda Navarrete
(2020年2月に公開されていたブレンダ・ナバレテをフィーチャリングした新録音)


https://youtu.be/z2t5MQsWMl4


「Beat con Flow」の後に知ったのだが、9月に動画が配信されていたのが、やはり近年欧米でも注目を集め数度来日を果たしているジャズ・ピアニスト、アロルド・ロペス・ヌサ(Harold López-Nussa)にフィーチャリングされた「El Buey Cansao」。もちろん、ロス・バン・バンのフアン・フォルメル時代中期の大ヒット曲「El Baile del Buey Cansao」のカヴァー。

ロス・バン・バンのオリジナル・アルバムの発売は1982年。オリジナルも近未来を感じさせるアレンジだったが、38年の時の流れと未来をつなぐ映像でフォルメル・トリビュートになっているのは一目瞭然だが、そんな中でもシマファンクはまるで自身のアルバム曲のようなパフォーマンスを展開しいて、これも聞き(見)入ってしまった。

ちなみに、PV中で演出されているダンス・コンテストは、この時代のキューバの人気テレビ番組『PARA BAILAR』でも行われていたのをモチーフにしたものだと思われる。

どんなスタイルやリズムの曲でも、その声で全てを引き寄せて自身の世界にしてしまうシマファンクの才能は、あのベニー・モレーに通じるものがある、といったら言い過ぎだろうか?

なお、「El Buey Cansao」とは「疲れた牛」のこと。丑年のことしにピッタリ(何が?)の曲だ。


「El Buey Cansao」Harold López-Nussa - feat. Cimafunk

https://youtu.be/-fcgrG2sSu4

この曲の収録アルバム
『Lo Dije』Harold López-Nussa
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ロス・バン・バンのオリジナル・アルバム
VanVan_Buey Cansao.jpg


以下は、おまけ ー 『PARA BAILAR』の映像

(『PARA BAILAR』で「El Buey Cansao」を踊るカップルが見られる)

https://youtu.be/zgzpYDhYxjE

(こちらは、後半ゼッケンを付けたカップルがダンスを競っている)

https://youtu.be/ra7B5G1OvUk

(後半のコンテストは、まったく『ソウル・トレイン』)

https://youtu.be/7SogQ-GWPYc




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◆岡本郁生(ラテン横丁・USA LATIN & MORE)
『フアン・ルイス・ゲーラ/プリベ』

Juan Luis Guerra - Privé

https://youtu.be/6fm3riUiG2c

コロナ禍によって世界中でライヴ活動が制限されている中、フアン・ルイス・ゲーラの最新ライヴ映像が登場した!
とはいっても、コンサートのものではなく、どこかの大邸宅の庭で行われるプライヴェートなガーデン・パーティーでの演奏といった趣…。

実はこれ、先駆けて発表された5曲入りのEP「Privé/プリベ」にちなんで、昨年12月のクリスマスの日にライヴ配信された映像である(…とはいえ結構ちゃんと編集してるような気もするので、ホントにライヴ配信なのか?わからないですが、ま、そのへんは別に気にならないですよねw)。

「プリべ」というのは、彼によれば「ホントにプライヴェートで特別なもののこと」だとか。
おなじみの曲のスペシャル・ヴァージョンに加えて新曲2曲を加えた計5曲。ピアノ/コ・プロデューサーのジャニナ・ロサドはじめ、気心の知れた人たち+若手精鋭メンバーによる、極上の演奏。ゆったりとJLGサウンドの神髄が楽しめます!




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◆伊藤嘉章(カリブ熱中症担当/カリブ諸島+カリブ沿岸)
『ドミニカのデンボウ、プエルトリコのエレクトロ、そしてコロンビアのカルロス・ビベス旧譜』

思えば新年感が薄いので新しい/若いムーブメントを掘っていた月前半、そしてちょっと落ち着いた月後半、みたいな一月でした。

若い動きは2つ。ドミニカのデンボウとプエルトリコのエレクトロと。
◆『ドミニカのデンボウ/ジョメル・エル・モローソ、キコ・エル・クレイジー、ハラカ・キコ、エル・フェチョ、ティビグンス』

デンボウは元々90年代後半にレゲトンが熟成しつつある時期、そのルーツの一つであるダンスホール・レゲエ/ラガマフィンのシャバ・ランクスのヒットから来た言葉/リズム。プエルトリコでヒップホップと結びついた初期のレゲトンの粗削りでカッコいい(かつエロい)ビートが浮かぶ名前だった。

一方でレゲトンが広くシーンに受け入れられメロウになり、近年トラップと重なる傾向の中で、初期のレゲトンのエネルギーをしっかりキープしていたドミニカ共和国には「デンボウ」のビートとエロを持ったヒットが維持され、新しく生まれ続けている。

そのシーンを作っている面々が取り上げたのは、レゲトンを作ったレジェンド、DJプラジェーロのミックス"#38"(1994)からのヒット。リミックスしてサント・ドミンゴのバリオでがんがんやってるのだ。オリジナルの曲はグルーポ・ニッセによる「P.R.」(=プエルトリコ)。

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あっという間に3百万ビューの人気だ。初期レゲトンのお下劣パワーも健在。
Yomel El Melosoはサント・ドミンゴ生まれの26歳、本名クリストファー・エルナンデス。赤い帽子・緑のTシャツ。Kiko El Crazy、本名ホセ・アルベルト・ロハス・ペラルタ。エル・アルファやロチー・RDなどと並ぶデンボウ・ムーブメントの一人。ピンクの髪。
25年経ってひと世代若いスター達がデンボウを今の感覚でどう変えていくのかが楽しみ。

Puerto Rico (Remix) - Yomel El Meloso, Kiko El Crazy, Haraka Kiko, El Fecho, TiviGunz Varios Artists

https://youtu.be/3s7IvQTtoRM

◆『プエルトリコのエレクトロ、スローハウス・ポップ/ブスカブラ Buscabulla』

ビートが効いたラテン/カリビアンの一方、メロディーやサウンドの系譜もボレロからオーケストラまでのラテンの側面の一つだろう。ラテン・トラップやエレクトロもその系譜と言える。昨年デビュー盤をリリースしたプエルトリコ出身、ブルックリンのポップ・デュオ「ブスカブラ」(Buscabulla)もその一つ。

Buscabulla.jpg
Buscabulla "Regresa" (2020)

現在コロナ下で島に戻って活動している。デビュー盤はブルックリンのサイケポップグループMGMTやグラミー受賞のシンガーソングライター、ソランジュ(ビヨンセの妹でもある)のプロデューサーのパトリック・ウィンバリーを起用し、少し霧のかかったようでかつラテン的哀感もある、スローハウス的な音が魅力的。

Rolling Stone Sessions: Buscabulla

https://youtu.be/wZ_9MVn4I5k

一方、旧譜でよく聴いてたのはカルロス・ビベス

◆『La Tierra del Olvido/カルロス・ビベス』(Official Video Remastered)

もう25年前のビデオがリマスターされて映像がクリアに。彼のアルバム『Clasicos de la Providencia』(1993)と次作の『La Tierra del Olvido』(1995)のこの曲からバジェナートを色々聴いていく事になったのを思い出す。eLPopメンバーの山口さんのもろもろの記事(サイト、ラティーナなどなど)はほんと勉強になっている。

Carlos Vives - La Tierra del Olvido (Official Video Remastered)

https://youtu.be/-QkmEVNA-fo



◆山口元一("Ay hombe"担当/コロンビア)
『ホルヘ・オニャーテ』

正月早々、落馬して大けがをしたポンチョ・スレータに続いて、ホルヘ・オニャーテが肺と腎臓の合併症で集中治療室へ。今年のバジェナートは災難続きです。

SEMANA紙記事
https://www.semana.com/gente/articulo/el-conmovedor-mensaje-de-poncho-zuleta-a-jorge-onate/202128/

ポンチョ・スレータからホルヘ・オニャーテへの元気づけメッセージ(Instagram)
(左がオニャーテ、右がポンチョ・スレータ)
Jorge Ortena.jpg

(*編集部:ホルヘ・オニャーテは言わずと知れたバジェナートの歌い手の大名人の一人。ホルヘ・オニャーテの映像を2つ挙げておきます。曲はどちらもラファエル・エスカローナの"El Copete"(1946)。一つ目は1978年の映像。メンバーはホルヘ・オニャーテ(vo)、ラウル・"エル・チチェ"・マルティネス(acc)、パブロ・ロペス(caja)、ウーゴ・グティエレス(g)、グスタボ・グティエレス(g)、アダルベルト・メヒア(guacha)。オニャーテ28才、エル・チチェはまだ19才とスピード感あるれる演奏。

2つ目は昨年のエスカローナのオマージュでオニャーテとパンチョ・スレータの共演。アコーデオンはコチャ・モリーナと豪華!)

El Copete

https://youtu.be/ZAqpuHEmVXw

EL COPETE PONCHO OÑATE FIESTA DE ESCALONA

https://youtu.be/f5295-WthAs




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◆石橋純(熱帯秘法館/CASA CACHIBACHI担当/ベネズエラ& more)
『マリア・エレナ・ウォルシュ/コモ・ラ・シガラ』
2020年3月26日、ジャンルの垣根を超えた30人以上のアルゼンチンの音楽家たちがコロナ禍での連帯のメッセージを歌にのせて、リモートライブをインターネット配信した。選ばれた曲は"Como la cigarra"(セミのように)。

作者マリア・エレナ・ウォルシュ(1930〜2011)は、アルゼンチンでは知らぬ人がいない作家・詩人・シンガーソングライター。ウォルシュは17歳の若さで処女詩集を出版し、文壇の寵児となる。1951年、私生活のパートナーともなる歌手レダ・バジャダレスとフォルクローレ・デュオ《レダとマリア》を結成。パリに拠点を置き、「新しい歌」運動の先駆けともいえる活動をはじめる。このユニットは55年の帰国後63年まで活動を続けた。バジャダレスとの破局後、ウォルシュはシンガーソングライター、小説家、詩人、童話・童謡作家、言論人として活躍。代表作である童謡「カメのマヌエリータManuelita la tortuga」は、アニメ化もされ、アルゼンチンのみならず多くの国ぐにでこんにちも愛されている。スペイン語世界の児童への影響力はマザーグースの歌やディズニー映画にも匹敵すると言われている。

「セミのように」は、1972年にウォルシュ自身の歌唱により初録音されている。たび重なる絶望とそこからの再起を詠んだ詞は、特定の政治状況を叙述するものではなく詩人の個人的体験に由来するものであったようだ。だがこの歌は、1976年から82年までの軍政時代に亡命を強いられたメルセデス・ソーサが異境の地から歌ったことで、独裁政権への抵抗の象徴となった。続く時代にはデモクラシーの賛歌ともなった。
 
不朽の名作とは、一定不変のメッセージを頑なに表わし続けるものではなく、時代に即して人びとが新しい意味を見いだいうる作品だといわれる。「セミのように」は、歌詞に歌われる物語さながらに、何度も蘇って、聴く人・歌う人の生きる力を引き出してきた。


「セミのように」
詞:マリア・エレナ・ウォルシュ 訳:石橋純

私は何度殺されただろう
私は何度死んでしまったろう
でも私は今もここにいる
生きかえって
不幸にありがとうを言おう
ナイフを持った手にも
あんなに下手くそに私を殺してくれたから
私は歌い続けられた

お日様に歌う
蝉のように
一年の間
地底で過ごした後で歌う
生き残って
戦争から戻った人のように歌う

何度私は消され
何度私は姿をくらまし
自分の埋葬にも立ち会った
たったひとり、泣きながら
ハンカチをぎゅっと結んだのに
すぐに忘れてしまった
はじめてじゃなかったって
でもまた歌い続けた

何度あなたは殺されただろう
何度でもあなたは生き返るだろう
たとえいくつもの夜を
絶望して過ごしても
難破したときに
暗闇の中でも
誰かが助けてくれるはず
また歌い続けるために



Como La Cigarra - María Elena Walsh


欧州亡命中、スイスから歌うメルセデス・ソーサ

Mercedes Sosa - 09 - Como la cigarra

https://youtu.be/dfo9xI3rEpU

1982年12月、民主化直前の歴史的舞台で淡々と歌うソーサ

Mercedes Sosa "Como un pájaro libre" Documental completo full

https://www.youtube.com/embed/fmIu5OziFP0

2020年3月27日コロナ禍での連帯を歌うアルゼンチンの歌手たち

Argentina Canta en Cuarentena "Como la Cigarra"

https://www.youtube.com/watch?v=dF0YnZBz0zE


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◆宮田信(DANCE TO MY MAMBO担当/USA+MEXICO)
『白人でも黒人でもない、アメリカ文化に秘められた「チカーノ音楽」の魅力とは:宮田信インタビュー』

(編集部より:今月は寺本衛さんによる宮田信へのインタビューを掲載しました。とても素晴らしいインタビューになっております。ぜひご一読を!)

ルーベン・モリーナ『チカーノ・ソウル ーアメリカ文化に秘められたもうひとつの音楽史』訳者・宮田信さんに訊く。白人でも黒人でもない、アメリカ文化に秘められた「チカーノ音楽」の魅力とは
2021.01.24 寺本衛


無題.jpg

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