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2019年インテラクティボ来日、その2:ライヴ・レポート

2019.10.13

インテラクティボ、ライヴ・レポート(2019年7月30日、ブルーノート東京)

 インタビューのあと、東京で1回限りのライヴを見た。
 去年のフジロックでは、現在の主要メンバーである、テルマリー、ブレンダ・ナバレテとフリオ・パドロン、マリア・デ・ラ・パスが、他の仕事のため来日出来ず、逆に今年は、ウィリアム・ビバンコ、そして「Me Voy」が大ヒットしたシマフンク(CIMAFUNK)がソロ活動多忙により、不参加。メンバーそれぞれの個性を全面に出すインテラクテイボだけに、全体のサウンドの印象も昨年とは多少異なるものになっていた。特に、女性が13人中6名ということもあり、個々のインプロヴィゼーションより、アンサンブルのしなやかさが強調されたパフォーマンスだったように思う。そんな女性陣の中、リセッテ・オチョアの刻むグイロ(ギロ)が全体の演奏を引き締めていたのが、特に印象的だった。

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撮影 : 古賀 恒雄


こちらは、昨年(2018年)のフジロックでのパフォーマンス

 ステージは、ロベルト・カルカセースの短いピアノ・ソロから始まり、続いて、リズムセクション、そしてブラス・セクションを呼び込みながら、序盤だけでも、キューバ音楽のヨーロッパ性、ダンソーン、イラケレ・マナーを聞かせてくれた。3曲目の途中から、タイリン・マレーロ、タンミー・ロペス、ブレンダ・ナバレテの女性3人が、フロントに飛び出てコーラスを始めると、一気にステージが華やぐ。そして、会場も一気に盛り上っていった。
 ここからは、1曲ごとにフィーチャリングされたミュージシャンの個性を全面に、最後まで突っ走っていく、いつものインテラクティボのパターン。タンミー・ロペスが、Cでフィーリン的な歌唱を聞かせ、ブレンダ・ナバレテが、ひとりバタを叩きながらジャズの名曲「カラバナ(キャラバン)」Dに歌詞を乗せ歌い(キューバで何度も見た、フリート・パドロンとのヴォーカルの絡みをもう少し聞きたかった)、テルマリーがロス・バン・バン初期のヒット曲「マリルー」Eを熱唱して会場をさらに乗せていく。因みに“マリルー”は、バン・バンのリーダーだったフアン・フォルメルの恋人だった人で、テルマリーの母親だ。彼女がこの曲に込める思いも人一倍というわけだ。

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撮影 : 古賀 恒雄

 このあたりから、オリジナル・メンバーのフランシスコ・デル・リオが要所要所で顔をのぞかせ、全体のサウンドを引き締めていく。そしてそのまま彼の持ち歌で、ルンバ、ラップなどを変幻自在に織り込んだヴォイス・パフォーマンスを炸裂。続くGは、ボブ・マーリーの「ワン・ラブ」をモチーフにしたレゲエの曲。再度、テルマリーのヒット曲Hをファンク色強い演奏で聞かせ、アンコールは、インテラクティボのファースト・アルバム『ゴサ・ペピージョ(Goza Pepillo)』からの曲を披露し、大盛り上がりで1時間強のステージが終わった。全体的にすばらしい内容だったが、惜しむらくは、もう少し演奏時間を長くして欲しかった。会場の時間的規制があったのだろうが、キューバでのステージを体験しているものにとっては、ここからの盛り上げが見られないのは、惜しい気がしてしまう。

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撮影 : 古賀 恒雄

 ソンやアフロ・キューバン、ダンソーンなどのキューバ音楽はもちろん、レゲエやファンクなど外国由来の音楽を演奏しても、自然にキューバ性が滲み出てくるのが、何度聞いても面白い。ティンバのバンドの多くが、キューバ音楽にファンクやR&Bを取り込もうという、意志が音に表れているのとは違い、例えばファンクのマナーで演奏しながらも、自然にキューバ音楽のエッセンスが出てしまう、という、ある意味逆の流れが感じられ、そここそがインテラクティボの魅力なんだと再認識出来たライヴだった。これって実は重要で、ロス・バン・バンが、最初期の(あこがれから始めたであろう)ビートルズ風のサウンドが、次第にリズムやキメが強化され、唯一無二なバン・バン・サウンドになっていった過程と同質なものを感じるのだ。
 また、この日のオーディエンスは、キューバ〜ラテン・ファンばかりでなく、フジロックで始めて彼らを知ったファンや、フジロックのパフォーマンスの噂を聞いて来場されたであろう方々も多く見受けられ、いつものキューバ〜ラテンの来日コンサートでのコアなノリというより、より自然なノリが会場を包んでいたように感じた。キューバでのライヴでも、やはり同様な雰囲気をいつも感じるのだが、アレンジなどのサウンドの制作方法の話しにしても、インテラクティボは、強力な実権を握るバンドリーダーが仕切る、キューバの一般的なグループとは違い、ギャラの等分分配なども含め、ある種ヒッピー的なコミュニティーを大切にして運営されているからこそ、音にもそれが表れているのだろう。このあたりは、典型的なキューバ〜ラテン的ノリが好きな方たちには、賛否が別れるところだとは思うが…。ただ、あのオルケスタ・アラゴンもバンド運営は、“平等”をモットーとしていることは有名だ。あの緩やかでスムーズなサウンドと無関係ではないように思う。

◎ 2019年来日メンバー
Roberto Carcassés (director,key)
ロベルト・カルカセス(ディレクター、キーボード)
Tailin Marrero (b,vo)
タイリン・マレーロ(ベース、ヴォーカル)
Maria de la Paz Fernández García (conga)
マリア・デ・ラ・パス・フェルナンデス・ガルシア(コンガ)
Nam San Fong Arce (g)
ナム・サン・フォン・アルセ(ギター)
Liccett Ochoa Cruz (guiro,vo)
リセッテ・オチョア・クルス(ギロ、ヴォーカル)
Oliver Valdés (ds)
オリベル・バルデース(ドラムス)
Julio Padrón (tp,vo)
フリオ・パドロン(トランペット、ヴォーカル)
Alejandro Delgado (tp)
アレハンドロ・デルガド(トランペット)
Juan Carlos Marín (tb)
フアン・カルロス・マリン(トロンボーン)
Telmary Diaz (vo,rap)
テルマリー・ディアス(ヴォーカル、ラップ)
Tanmy López (vln,vo)
タンミー・ロペス(ヴァイオリン、ヴォーカル)
Francisco del Rio (vo)
フランシスコ・デル・リオ(ヴォーカル)
Brenda Navarrete (vo)
ブレンダ・ナバレテ(ヴォーカル)

◎ 2019年7月30日、ブルーノート東京での演奏曲
1. IMPRO
2. CUBANOS POR EL MUNDO
3. MI CUBANA
4. Y TE VAS ASI
5. CARAVANA
6. MARILU
7. SI MI NOVIA
8. EL PODER DEL AMOR
9. QUE EQUIVOCAO
EC. NO MONEY
(ブルーノート東京のホームページには、9曲目として「ANANA OYE」が記されているが、演奏時間の問題で割愛されたのだろうと思われる)

その1:インタビューは、こちら
その3:インテラクティボはジャンルではない?は、こちら
posted by eLPop at 16:49 | 高橋政資のハッピー通信