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写真展■写真家たちのクスコ ―マルティン・チャンビと20世紀前半のアンデス写真―

2018.12.02

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コピーライトマークMartin Chambi / Archivo Fotografico Martin Chambi, CUSCO PERU

 ラテンアメリカはコロンブスによる「発見」以降、歴史や言語、文化的な背景を共有してきた広大な大陸です。共通する文化要素を分母としながら、それぞれの国が個性豊かな表情を見せる多様な世界で、いわば一つの巨大な国の中にメキシコ県やペルー州、アルゼンチン藩が存在するような構図といえるでしょう。そのラテンアメリカに写真が伝えられたのは、1840年までさかのぼるとされています。これは世界最初の写真技術ダゲレオタイプが発表されてから、わずか1年後のこと。以来、写真という新しいメディアは、ラテンアメリカ全域のあらゆる地平で多様な在り方を刻んできました。それはあり得ない現実、つまり「魔術的リアリズム」としか言いようない、生と死の間に存在する要素すべてを記録した壮大な物語であり、時空を越えた歴史の堆積でもあります。

 ラテンアメリカ写真の豊穣な世界の中でも、とりわけ卓越した表現で知られたのがインカ帝国の首都だった古都クスコを拠点に活躍したペルー先住民出身の巨匠マルティン・チャンビと、同時代の写真家たちでした。歴史家のパブロ・マセーラは、この写真家たちのグループを “Escuela Cusqueña de fotografia” (直訳すれば「クスコ写真学校」)と名付けました。これは写真技術を教える教室ではなく、写真家たちの集うサロンであり、またお互いが刺激しあい切磋琢磨する場となってきました。「光の詩人」と呼ばれたマルティン・チャンビを中心に、20名を超す写真家たちが個々に活動しながら、新しい撮影機材や感材、現像技術などの情報交換をして腕を磨き、自らの表現を追求しました。これらの作品を収蔵してきたのが、クスコの「フォトテカ・アンディーナ」という写真アーカイブです。クスコを訪れるたびに足を運び、少しずつ集めてきた写真をこのたび展示することになりました。

 アジェやブラッサイが愛するパリ市街を丁寧に記録したように、アンデスの写真家たちはクスコの街を彼らの視線でとらえ、外部の作家とは異なる表現に結実させてきました。本展は日系2世の写真家エウロヒオ・ニシヤマはじめ、日本では初めて紹介される20世紀前半のアンデス写真展となります。今まではインカ帝国とマチュピチュ、つまり考古学の分野でしか語られることのなかったペルーですが、その大地に開花したアートの存在は、見る側の想像力と視線を試されるような大きな刺激ではないでしょうか。 (白根 全)


会場:インスティテュート・セルバンテス(セルバンテス文化センター東京) 2Fギャラリー
    千代田区六番町2-9 セルバンテス・ビル  TEL:03-5210-1800
  東京メトロ有楽町線「麹町駅」5、6番出口より徒歩3分
  JR・東京メトロ・都営地下鉄「市ヶ谷駅」より徒歩6分
  JR・東京メトロ「四ツ谷駅」四ツ谷口、麹町口より徒歩7分
    日本テレビ麹町ビル斜め向かい、日テレ通り沿いのゼネラル石油ガソリンスタンド隣
期間:11月22日から12月12日まで(年中無休)
  月曜日〜土曜日:11:00〜20:00まで、日曜日:10:00〜12:30まで
  金曜日、土曜日の13時以降、随時ギャラリー・トークを行います。
  日曜日も在廊の予定。
入場無料 
ギャラリー内写真撮影可
posted by eLPop at 22:41 | News