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「勝手にグアコ祭り Vol.2〜グアコで踊れ!」ご報告!(後半)

2017.02.25

《ベネズエラのスーパーバンド》グアコ公演!
その奇跡の初来日公演に向けて、<eLPop>では3回に渡って開催した「勝手にグアコ祭り」。

2016年9月24日(土)、「カフェ・ラバンデリア」での「勝手にグアコ祭り Vol.2〜グアコで踊れ!」の後半です!

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高橋めぐみ(以下M) では、後半を始めたいと思います。

石橋純(以下I) えーと、混迷の時代を潜り抜けて……

 混迷の時代を潜り抜けて、超カッコよくなって、もう一度カッコよくなった! ま、カッコ悪かったわけじゃないんだけどね。

 いや、まぁ第3期は第3期でカッコよかったんだけど……

 それはそれで、愛すべき、ね。

 アイデンティティが揺らいでいたっていうことと、本人たちが迷っていたっていうことと、迷うがゆえに節操がなくなっちゃったっていう……。ま、節操ない点はずーっとかも知れないけど。で、1991年作品、私の言う第3期の一番最後の録音なんですけど、その日本盤がビクターから出たこれでして、『カリブ魂』。ジャケットも全部、日本オリジナル。
グアコ魂.jpg

 (裏ジャケットの写真を見て……)この、スーツ!(笑)
グアコ魂_裏.jpg

 そう、この肩がぶりぶりのですね。

 時代ですね。

 で、このアルバムから、次の時代を予見させるいろいろなことがありまして。もう1曲、実はさっき、この前の年のアルバムからお聞かせしたホルヘ・ルイス・チャシンの曲が1曲だけフィーチャーされて、しかも大ヒットになった。アルバムの巻頭の曲なんです。ということはつまり、さっきの曲で、こいつセンスあるなぁってことが認識されて、次のアルバムの巻頭曲を作ってよ!ってことになったんでしょうね、おそらく。で、それをさっきのアルバムで、カリーナってアイドル歌手をフィーチャーすることで実験した、マスへの水先案内人みたいな役割のゲスト歌手、それを、サルサの大御所……この当時はまだ中堅でしたけど……ヒルベルト・サンタ・ロサに白羽の矢を立てたわけですね。

ホルヘ・ルイス・チャシンの作詞作曲、ヒルベルト・サンタ・ロサとグスタボ・アグアドの歌で「変わっちまったおまえ」!


Guaco [a duo con Gilberto Santa Rosa] “変わっちまったおまえ(Ya no eres tú)”

 というわけで、「ジャ・ノ・エレス・トゥ(変わっちまったおまえ)」。ビクターからの日本盤、まだベネズエラでLPが発売される前に同時並行して製作して、日本盤出したんですね。

 へぇ、凄いですね〜。

 なので、私、これのLP、オリジナル盤を持ってないんですよ(笑)。先に日本盤が出来たので。オリジナル盤のジャケットは、これの比じゃないダサさです。
Guaco - Guaco 91 (1991).jpg

――会場爆笑――

 ちなみにこの時期、あちこちで日本盤が出たのでマテリアルが足りなくて、ソニーの裏ジャケもボンバの裏ジャケも、私の写真なんですよ。

 あー、そうなんですか。

 で、そんなことしてるうちにネガを失くされまして……で、なんかこの間その話をしたら、どこだったか、ソニーだったと思うんですけど、それは実は賠償請求したら凄い金がふんだくれたぞとか言われて、クソー!みたいな(苦笑)。もう時効だろうけど。残念だなぁ(苦笑)。

――会場笑――

 でも、無くなっちゃったほうがショックですよね。

 まぁ、そうですけどね。でもあんまり私、意外にこう、マテリアルを失くしても……

 大丈夫なの?

 それを気にしていたら生きていけないんで、私の場合は。私の場合は……しょっちゅうすぎて(笑)。

――会場爆笑――

 いちいち物の損失を気に病んでいたら、もう死んでる(笑)。

 まぁ、物は無くなる、壊れる、人は死ぬ、ってやつですね。

 コレクターじゃないし。で、えーと……今お聴きになって分かった通り、同じホルヘ・ルイス・チャシンの曲なんですけど、やっぱり1年前の作品よりもホーンのアンプラグド感がより増していて、もうなんかテクノ感はほとんど無くなってる。

 無いですねぇ。

 だけどやっぱりこの頃は、よりラテンに、サルサに回帰っていう方針だったんですけれども、こうやって聴いてくると、座付き作者が居たほうがいいんだっていうことですよね。やっぱりインハウスに作者が居たほうが絶対いい。

 安心して、続けられる感じ。

 やっぱりアレンジっていうか、音楽の方向性と楽曲と合致して発想できるってことは、とても大事! そうじゃないと、いろんな、こう……

 あっち行ったりこっち行ったり、ね。

 そうそう、そこにエネルギー使っちゃうんで。こいつのこの曲でやっておきゃ、こいつに任しときゃいい、とくればアレンジに集中しようって、そういう、何ていうか、即興的な分業っていうか。そうしないと、曲探してるうちにエネルギー消耗しちゃう。そういう感じがあると思うんです。

で、この時代は、この(当夜お配りした)ソングリストで言うと「※」印がJLC、ホルヘ・ルイス・チャシン作品です。とにかく今の2曲でも素晴らしい楽曲、ソングライターだってことは分かったと思いますけど、彼の真骨頂はバラードですね。で、この時代、サルサが息を吹き返してサルサ・バラーダの時代になったわけで、まさにサルサのマーケットが復活した時に、素晴らしいバラードでグアコ流のサルサ、グアコの世界を……

 サルサ・ロマンティカみたいですよね。

 そうですね、グアコ・ロマンティコというか。で、チャシンが本当に素晴らしいのは次の2曲を聴いていただければ分かりますけれども、サビの直前で高揚する! サビで高揚するのは当たり前なんですけど、サビの直前でメロディーがぶわ〜〜〜っと高揚してきて、もう私、ホームストレートでレーシングマシンが離陸しちゃうって言いますけど(笑)、夜空にね。必ず夜空に(笑)。

 そういう感じですか?(笑)……ちょっと分かりにくいな。

――会場笑――

 コーナー回って最後突っ込んだと思ったら、そのままバーーッとゴールしたら飛んでっちゃった!そういう感じ……それがチャシンの世界です。

この時期のアルバムは、チャシンの曲であろうと何であろうと素晴らしくて、だけどチャシンの、JLCの真骨頂を味わっていただくために、次「コモ・セラ」。95年作品『アルチピエラゴ』より、ホルヘ・ルイス・チャシン作詞作曲・歌! 聴いてください。


Guaco “Como será”

 さっきもお見せしましたけど、(写真を見せながら)ホルヘ・ルイス・チャシンですね。なかなかいい男ですよね。

jorge-luis-chacin-2.jpg

 優男ですよ。

 歌えて才能があって……

 そう。キーボード、ギターも巧いし。フアン・ルイス・ゲーラはJLGって書くけど、JLCなの。フアン・ルイス・ゲーラに匹敵する才能の持ち主だと思いますよ。まぁ、JLCのほうが純粋だと思いますよ(笑)。

――会場笑――

 今の曲なんか、曲のテーマ自体がラヴソングだけど、「君と一緒に居る感じ……海の彼方まで飛翔していく」って、自分も飛ぶ歌詞を作っているけど……。

 volarって書いてある。

 そうそう。彼の曲は、サビの手前でぶわーっと離陸するんだけど、離陸した後、ぶわーーっと行くっていうね。カッコいいですね、本当に。痺れますね。このホルヘ・ルイス・チャシンの感覚っていうのは、私の知ってる作曲家の中では、ホセ・フェリシアーノとイラン・チェスターと、あとは「第九交響曲」のベートーヴェンですね。

――会場爆笑――

 あー、そうですか〜(笑)

 星空の彼方にばーっと飛んで行く感じ。この4人に共通する。ベートーヴェン、イラン・チェスター、ホセ・フェリシアーノ、JLC。
ほんとに、この飛翔感、素晴らしい! JLCの代表曲をもう1曲聴いていただきましょう。同じ『アルチピエラゴ』から、さっきのネギート・ボルハスの甥っ子、ルイス・フェルナンド・ボルハスが歌っている曲ですね。「コモ・エス・タン・ベジャ」。もうちょいストレートな、ホルヘ・ルイス・チャシン:作詞・作曲、ルイス・フェルナンド・ボルハス:歌。今回も来日する、グスタボ・アグアドに次ぐメイン・ヴォーカリスト。お聴きください。


Guaco “Como es tan bella”

 いや〜〜ぁ、素晴らしいですね。飛びますね。

 滅茶苦茶バイラブレだと思うんですけど。

 これ、2拍子系は普通にサルサのステップで……サルサで踊ればいいです。

 サルサっぽくカシーノで踊ったりするんですかね?

 どんなふうに踊ってもいいですね。

 ガイタは?

 ガイタはよりシンプルです。元来、特にガイタ・スリアーナはダンス音楽じゃなかったので、ハチロク(8分の6拍子)の2拍子のところを、単純にステップ踏むだけ。ま、でもひとつ楽しいのは、前半ガイタ〜後半タンボレーラの曲でね。あそこでステップを変えるのが楽しいですね(笑)。

 うーん、なるほど。一粒で二度美味しいと。

 そうそうそう。ぜひ、みんなで体験しましょう。

 後でみなさん踊りましょう。

 今のルイス・フェルナンド・ボルハスが、さっき「ちびっこグアコ」で言及した……
luis_fernando_borjas.jpg

 グアキートだった。

 叔父さんはネギート・ボルハスなのに、コキバコアに行かずグアコになってしまった(笑)。もう「グアコ、グアコ」っていって、遂にメンバーになっちゃった。

 凄いですよね〜。

 歌の歌詞そのもの!

 まぁ、ちゃんと歌えたから、なれたわけだけども。

 でもね、時々、ネギートだったか他の歌手だったか知らないけど、コキバコアが出す掛け声「アグア・デ・ジュビア!」っていうのを、彼はグアコでそれを言ってるね! 一応、ボルハス一族の、ほんとはカビマスのコキバコアの一族なのに、グアコに行っちゃった。

 でも、ほんとはアイデンティティは……(コキバコアにある)。一応ちょっと主張はしておこうかな〜、みたいな。

 一族に義理立てしてる。バリバリのマラカイボっ子!

 なるほど〜。たぶん、言わないとちょっとアレかも知んないですね〜〜(笑)

 かも知れない。だから来日公演でも「アグア・デ・ジュビア!」って……

 でも凄いカッコいいし、彼は。

 カッコいい、カッコいい!

 なんか求心力っていうか……

 あります、あります。

 近くにこう、ひゅ〜っと行きたくなりますよね。

 あ、そうか! 生を観ててね(笑)。私はチャシンもルイス・フェルナンドも、生で観てないもので。

 いや、凄いカッコよかったですよ〜。

 ぐーーぅ、この敗北感!

――会場爆笑――

 ちょっと女子ウケするタイプ? イケメンだしー、ガタイも良くてー。

 そうそう。

 で、ダンスも凄いキレッキレだし、凄い。

 なんかイケメンだけど、ちょっと安心感のある、超カッコいい感じ!

 そうそうそう。

――場内から、「イケメンだけど安心感のある〜が、一番危ない!」の声――

 でも、チャラさはなくて……

 女子を安心させるイケメン(笑)。

 ガタイも良くて。なんだろ……私はね、兄貴っぽい人あまり好きじゃないんだけど、ま、でもちょっと兄貴っぽさもあるし。

 ちょっと兄貴っぽさもある。優しい兄貴だよ。

 そうそうそう! 決してDVとかしそうにない。

 うん。

――会場爆笑――

 チャシンは神経質だもんね、やっぱり。

 あ、でもそっちのほうが好きです。

 ほんと? まぁ、グアコのフロントは、やっぱりそういうマーケットも狙ってるんだと思うけど……

 でもね、一番好きなのはグスタボ(・アグアド)なんですけどね。ただのおっさんですから。

 ただのおっさんですね。うん。

 痩せたけどね、凄く。痩せて、今のほうがカッコいいから。

I バイパス手術したんです。

 あ、そうなんですか。なんかヘルニアが、腰痛が、ってのも聞いた。踊れないっていう噂を聞きました(笑)。

 もう体調がバリバリだと言ってましたけどね。

 あー、良かったですね。嬉しいなぁ。

 楽しみですね、ほんと……もう俺はチャシン、生で観たいな〜〜(しみじみ)。てか、観たかったな。グアコのチャシンを観たかった! 羨ましいな〜、めぐみさん、ほんと。

 へっへっへ、へっへー。

 いや、ほんと。チャシンはまだ観られると思うけど、グアコのチャシンを生で観たかったよ。

 年齢的にはね〜、そんなに齢じゃないから。

 グアコのチャシンが、チャシンの曲を歌うのを生で観てみたかった……

 あー、残念賞。うふふふふ。

 悔しい。うん。で、そのチャシンが築いた……ま、今日短い夜なんで、凄い凝縮しちゃってますけど、たった4曲ですけど、とにかくこの第4期黄金時代を、まぁともかく、いろいろ聴いてみてください。

 メロディアスで、凄いキャッチ―ですよね。チャシンの曲はね。

 もうほんとに、バラード調じゃなくてもそうだし。で、彼は今、一所懸命ソロで道を切り開こうとしてますから、どんどん彼のFacebookをヴィジットして、いいね!してあげてください。

 急に日本からのいいね!がもの凄くいっぱい……(笑)

――会場笑――

 残念ながらグアコを出て大成した人って、あんまり居ないんだよね。なぜなのかは分からないんだけど。そんなこともあって、これほどの才能を……

 そうですよね〜、そうそうそう。オスカル・デレオン的なこと(※ディメンシオン・ラティーナを脱退して大成した)が起きてないんですよね〜。

 起きないんだよね〜、うん、そうなんですよ。残念ながら。

 なんか、グスタボが何かやってんじゃないの? こっそり圧力かけてんじゃないの?

 いや、というか、グアコのですねー……うーん、何て言ったらいいのかな〜。グアコっていうのは、楽団というよりはひとつの集いの場なんですよね。それは、ガイタ楽団がそういうものなんですけど、言ってみればサッカー・チームとか、音楽で言ったらブラジルのエスコーラ・ジ・サンバとか、そういうものと似てるんですよ。

 はいはいはい。なんかね……つい今思い出したんだけど、キューバのロス・バン・バンが、まぁグアコとロス・バン・バンっていうのは同じような存在だと思うんだけど、キューバでは“現象”だって言うの。

 うんうんうん、なるほどなるほどなるほど。

 “フェノメノ”。だからバンドなんだけど、現象なんだって、アレは。だから、そこに居なければ、ソロになっても……ま、うまくいってる人もいるけど、バン・バンの場合は……でも、ちょっと違うんですよね。

 違うんですね。やっぱり場が持つエネルギーっていうか……うん。火花が散るっていうか、そういうクリエイティビティの場っていうか。最新号の『ラティーナ』に、グスタボ・アグアドのインタビューをもとに書きましたけど、私、石橋が80年代末から90年ぐらいまでに一緒に体験したグアコっていうのは、いつも音楽オタク談義とアイディア出しのブレストと、ツアーとフィエスタ。これの無限循環だったんですよ。さすがに今はこんなことないでしょう。プロダクション分業してるんでしょう?と訊いたところ、グスタボは「今でも同じだね!」って言ってたけど、ま、本当かどうか知らないよ。で、80年代に関しては、つまり今日だったら第1部の最後のほうに聴いた音源ですよ。あれを作っている時ですら、ツアーのギャラは、その当時22人キャストが居たんですけど完全均等配分です。

 凄い! ちょっとあり得ないですね。

 うん、チャラスカだけ弾いてる人も……

――会場笑――

 アレンジ代は別なんでしょうけど。普通はギャラは……

 親分が、だいたい半分取りますよね〜。

 うん。だからある種、アマチュア時代というかアマチュア以前のその、ガイタをやる集団の流儀をずっと守ってたんです。今はもう違うと思うんですよ(※註:来日したラファエル・グレコの証言によれば、今もギャラは均等割りで運営されているということだ)。でもね、それは……

 いい人じゃないですか、グスタボは。

 うん、それは残っていたと思うんですよ。だからある種、これはちょっと内輪で聞いた話なんだけど、アミルカル(・ボスカン)は知らないけど、リカルド・エルナンデスが抜けた理由は、彼はもっと純粋にその、「ガイタ・コミュニティ派」だったからだと。グスタボは「楽団経営派」で、機材を買ったり、これからもっと楽団を大きくしよう、大きくしようと……

 もっと外に出なきゃダメだったと思った。

 リカルドは昔ながらのガイタ・コミュニティでやりたかった。

 冒険はあまりしたくなかったんだ。

 冒険というよりは、その、何ていうのかな、経営というよりは「クラブ」というか。なんかそういうものとして……エスコーラ・ジ・サンバの、ネルソン・サルジェントのマンゲイラみたいな……そういう存在で、別に指示してデカくするとかじゃなくて、そこで音楽やるんだよ、みたいな。

 ふーん。っていうことが楽しい、一番大事だった。

 大事だった。そこで対立があったみたい。

 それは対立しちゃいますね〜。

 うん。さて、そんなわけでホルヘ・ルイス・チャシンは、JLCはそういうことと関係なく、ソロとして自分の実力を試したい、っていうことと、ちょうどこの第4期ですね、チャベス政権に入ってますので……。
で、2002年がクーデター。で、それ以降、反チャベスのクーデターとその失敗……そういう時代だったので、まぁホルヘ・ルイス・チャシンの政治的な立ち位置を私は知らないんですけど、こういろいろゴタゴタしてきたので海外に活動の場を求めて、マイアミに拠点を移したんですね。

 ウーゴ(・チャベス)は嫌いだったのかな?(笑)

 それは分かんない。それとまぁ、やっぱどうしてもそれはアミルカル・ボスカンもリカルド・エルナンデスもそうだけど、これほどグアコっていうまさにマシナリー(一大機構)の一員となって、自分の作品をこれだけバーッと展開させたら、俺、ピンでどれほどイケるのかな〜?って……

 あー、考えちゃいますよねー。

 クリエーターだったら試してみたくなる。いつまでも座付き作者じゃなくて。それは当然のことと思うけど。ま、でもグアコにとってはチャシンの脱退は残念かも知れないけど、このすばらしい10年間を築いた。もうまさに第二次黄金期です。駄作が一曲として無いっていう時代だから。

 それ、凄いですよね。

 チャシンは2004年で辞めちゃうんです。

 私はどれだけラッキーだったんだ!

 いやー、羨ましいな! ほんとに……ホルヘ・ルイス・チャシンの曲をグアコの演奏で聴きたかった!! いやー、音源で何度も聴いても……

 やっぱりナマは、またね〜〜〜。なんちゃって(笑)すいません。

 押し出しの強くないラティーノの感じがね(笑)。

 押し出し強くないんですよ、別に。なんかねー、私もライヴはいろいろ見てるけど、なんだろうこの、何か素敵な感じっていうか、なんていうか……

 ほんと!?

 結構エレガントなんですよねー……スーツだしね!

 あー、そうなの。なるほどね。

 あれは良かったですねー。

 いやいや、羨ましい。さて、そんなわけでチャシンは、ま、今も時々ゲストでグアコに呼ばれて歌ったりしますけど、基本的にはソロの道を模索してる。

 次の曲は、まだ居た時ですよね?

 居たけど、もう楽曲は提供してない。まだ在籍中なんですけど、ほとんどもうチャシン色は無くなった状態。在籍してる最後のアルバムが『ガロパンド』で、次の曲はチャシンの曲じゃないんですけど。この『ガロパンド』っていう2002年のアルバムは、私が思うに、これが第4期の最後のアルバムなんですよ。グアコのイノベーションとポップさ、そのバランスが最高に到達した作品だと思います。

で、この後、第5期、現代がやってきます。現代はまた違う方向に行きます。実は現代は、音楽オタクの人には、どうしたのグアコは?ポップなグループになっちゃったの?っていうふうに、クエスチョンマークを付けられる時代だと思うんだけど、そんなことない!ってことで、これからお話ししますが、その前にクリエイティビティとマス・マーケティングのバランスが頂点に達した稀有のアルバム『ガロパンド』の中から……


 (会場の即売に)あと4枚あります。

 これ、仲間のビジネスをサポートするわけじゃないんですけど(笑)……

 ま、(倉庫に)たまたまあったから。この2枚が。

 グアコは、はっきり言って彼らのプロダクションのビジネス・マネージメントがなってないから、平気で大事なアルバムが売り切れになっちゃう。

 廃盤になっちゃう。製造中止みたいな。

 なので、特に第4期……第5期は今もネットで手に入ります。中古でも……第4期については、見た時に買ったほうがいいです、ほんとに。

 うん、しかもこれもね、凄い偶然で、うちがベネズエラと近づいてた時に仕入れた物。ほんとに偶然が重なって、うちがグアコをやることになったっていう。なんか凄い光栄とか思ったんだけど。

 それが今、日本にあるって大変なことだし、値段的にもリーズナブル。

 だから当然、もう二度と入らないので、別に宣伝してるわけじゃないんだけど、これはほんとのことなんで。

 ちなみに私、今回の来日騒動で、アオラさんが持ってるグアコの全タイトル、持ってないものは買いました。私がこういう活動し始めると売れちゃうと思ったので(笑)、インサイダーで。

――会場爆笑――

 そのせいもあって、他にもあったんですけど、もう第1回目の「勝手にグアコ祭りVol.1」で全部出ちゃって、残ってるのが『ガロパンド』と『エキリブリオ』だけなんですね。

 そう。あの時に、入門の人はこれとこれって言ったら、それ全部一瞬のうちに……

 無くなっちゃった。

 そう。ホルヘ・ルイス・チャシンがリカルド・エルナンデスを歌ってるやつで、『コモ・エラ・コモ・エス』。あれも……

 そうそう。しかも凄い安く売ったの。

 そう、これ(見せる)。これはまだネットで手に入るので、見たら買ったほうがいいですよ。

 これは、いいですよね〜。

 これは、第2期の名曲が6曲入ってて、半分はリカルド・エルナンデスの曲で、そのうち1曲を、第二代座付き作者が、初代座付き作者の歌を歌うという……

 記念碑的な。

 ファンはもう、ニヤリとせざるを得ないほど素晴らしい。これは買ったほうがいいです。ていうか、アオラさんの在庫は売り切れちゃった。

それで、『ガロパンド』なんですけど、「エル・ブソ」って曲で、“ブソ”っていうのはダイビング、潜水って意味なんですけど、これはマラカイボの都市の、現代マラカイボの都市の若者の言葉で“ショッピングモールで、行き交う男女をガン見しながら品定めしつつうだうだ過ごす”ってことを“ブソ”っていう。潜水する、そういう今の……今のっていうか2002年当時ですけど、現代の若者風俗を歌った「エル・ブソ」を聴いてください。


Guago “El buzo”

 ということで、この2002年作品っていうのは、音楽オタク度とポップさがぎりぎりバランス出来た作品だと思います。もうこれくらいでも何か、ちょっと凝り過ぎてて楽しめないっていう人もリスナーにはいると思うんです。

 そうですね。さっき、自分が観たのが何年かもう一回確認するので調べ物してる時に、私が観たの、最初が2000年なんですけど、その新聞記事みたいなのが見つかって。今年、2016年の記事なの。で、日本のツアーが決まりました!バーンみたいなところに、その2000年に……それはフランスだったんですけど……そこでやったっていうことも書いてあったんだよね。

 ふーーん。

 だからやっぱり、2000年ぐらいからほんとに世界に向かって……もちろんその時も名前は充分知られていたけれども、もっと大きく外に、っていうふうな大きなステップだったのかな〜って思いますよね。

 うん、まぁそうなんでしょうね。

 その見本市っていうのは、もちろんフェスの主催者からレコード会社から、音楽関係者がみんな来てる凄く大きなものだったから。たぶんそれで一番大きなステージを獲るっていうのが、凄い大変なんですよ。全部チェックされるから……お金もかかるし。それをやったっていうのは、やっぱり意気込みがあったんだと思う。

 なるほど。まさにそういう時代だったわけですけど、先程来ご説明してる通り、こういう解釈は私のものですけど、やっぱり座付き作者って存在はデカいのかな〜と。チャシンが居なくなるというのと、あとその、ヨーロッパ・マーケットなんかも徐々に大規模なフェスティバルとか出にくくなってきたと。やっぱり、通好みのバンドではあるけど、マスにはなかなか受けないっていうことで、これで新たな転換点が起こるわけですね。93年以降……ごめんなさい、2005年以降現在までを第5期と、私は呼んでいるんですけど……

 遂に第5期、辿り着いた!

 到達しましたね〜。いやいや、まだ気は抜けないぞー。

――会場爆笑――

 これが現代なんで……。実は私も、これだけ25年間グアコと付き合っていながら、この『ガロパンド』以降、つまり2005年の『エル・ソニード・デ・ベネスエラ』以降、PVとかもカッコいいのどんどんネット上に出るようになって……

 カッコいい!

 なんじゃこりゃ!?と。あれ?普通のラテン・ポップ・バンドになっちゃった……ぶっちゃけ言っちゃうと、例えば、えーと……ジェニファー・ロペスとかさぁ、ああいうもうマスにやってる人たちの……

 うーん、そうですよねー。心に描くラテン・ポップスみたいなね〜〜。みんなが想像する通りの。

 シャキーラとかさ、そういう作り込まれたものとそんなに変わんないんじゃないの?みたいな。グアコはどこに行っちゃうのかな〜みたいな……。今までの、ずーっと第2期以降やってきたズコッコズッコンのリズムじゃないし、どうしちゃったの?と思ってたんですけど。今回来日に当たって全部系統的に聴き込んでみたら、やっぱグアコはそんな普通なはずがない。

 発見がありましたか?

 あるある。もちろん発見ばっかりっていうか……

 さっきの、1週間前もね。

 そうそう。1週間前……いや、だって、自分が同時代を生きていてさー、あのー……スペシャル・サンクス・フォー・ジュン・イシバシ的な謝辞が載せられているのに、チャシンの曲の存在に……完全に気が付かなかった(笑)

 そこに載せられてるのにね(笑)。ちょっと信じられないな。

 発見がいろいろあるわけですから(笑)、新たにこの2005年以降の現代、第6期……あ、第5期のグアコを聴いてみて気が付いたのはですね、とにかくポップなサウンドになっているし、突き詰めてきたタンボレーラのズコッコズッコンのリズムから、ちょっと変わってきた感じがある。で、何なんだこれは!?っていう話なんですけど、よくよく聴いてみるとこの第5期の最初のアルバムの中に、そのヒントというか回答があったんで。説明は無いんだけど、サウンド上で。

 なるほど。

 最初に第1部でお話しした、タンボレーラの元になっている“ガイタ・デ・タンボーラ”。さらにそれの元になっているアフロ系の太鼓楽、太鼓歌の“チンバングレ”。これも八重奏ぐらいの、30人ぐらいでやる非常に複雑精緻な太鼓楽。それに一遍戻って、そこから、どうやって今の、とりわけサルサじゃなくって、ストリート系の要素を取り入れたバイラブレ(ダンサブル)なラテン・ポップとフュージョンするかってことを、もう一回ルーツに戻って再構築したんですね。その最初のアルバムが、2005年の『エル・ソニード・デ・ベネスエラ(ベネズエラのサウンド)』って、非常にシンプルなタイトルですけれども。

 凄いですよね〜、なんかねぇ。

 その中にあります、「シ・フエラ・トゥ・バイロ・コンミーゴ」って曲なんですけど、これは冒頭にチンバングレの太鼓があるし、今日かけないけど、この前のトラックには、「サルサがメレンゲがなんだ、チンバングレが〜」って、いろんなラテンのリズムに合わせて、このスリアのアフロ系太鼓楽であるチンバングレのことを言及してるんですね。

まず、現地録音の本物のチンバングレを聴いてください。これ、なんていうか学術的な、民俗音楽的な現地録音なので、非常に分かり易く、リーダーから七重奏に至るまで徐々に合っていくものをシミュレートしてるんです。何しろポリリズムで七重奏で、全員で30人ぐらいでやるので、合わせるのが難しいんですよ、現地の人でも。北九州のほうの曳山の祭りの太鼓とか、小倉とかのあれも、私観に行ったことあるけど、祭りの期間中1ヵ月ぐらい本番の前に街角でこう、練り上げていく。なかなかグルーヴが出ない。ドッコドッコドッコドッコ……って。それって、もうなんか「ここをもうちょっとこうやれ!」とかいう口頭で指示がなくて、ひたすら先輩に合わせて練り上げていく。それで段々合って曳山の原動力になるんですけど、そんな感じです。本番で私観に行ったことがありますけど、合わないと、こうリーダーが……

 あー、ダメダメって、もう一回……

 ベースから、トントントントン、ズコッコズッコ、ズコッコズッコ、パカッカパカパカパカパパン、パパン、ピンパカピンパカ、ピンパカピンパカ……ダメダメ!もう一回!! ズコッコズッコ……何度でも。で、ぴったり合うともう止まれなくなるんですよ。そしたら、行進開始!っていう感じのものです。

 なるほどー。そこまで、動かないわけですね。

 というのも、合わせんの本当に難しいので、無意識……身体化してそのポリリズムがこう、アラベスクっていうかアンサンブルに全体で乗りを生み出すまでは、もうなんかエンジンが本当にかかるか温まるっていうか、そういうものです。少しそんな感じが表れている学術的な現地録音の音楽を聴いてみてください。チンバングレの太鼓楽です。で、いろいろ、何種類かあるんです。これは宮入の音楽で、黒い聖人が地域を練り歩くわけですけど、クライマックスは教会堂の中に入って行く。その時の一番こう、クッて入るリズムなんです。



 彼らは、聖人の道行の中でこれを小一時間やってるわけですから、まだ……しかもレコーディングのためのシミュレーションだし、充分に温まってないんだけど、こんな感じで全体としてはズコッコズッコのビートになるわけです。こんなに複雑なものなんです。

これに戻って、これを今どきのストリート系の、ま、最後にかけますけど、例えばレゲトンなどのビートにどうカマせられるかっていうことを、もう一回再構築した。そういうことやってるぞーっていうことを分かる人には知らせるために、この曲では、冒頭にチンバングレの太鼓を入れています。えーと、どれだっけ……「シ・フエラ・トゥ・バイロ・コンミーゴ」2005年作品。曲のタイトルはラヴソングなんですけど、ちょっと恋の駆け引きの感じで、「俺が君だったら、俺と踊るけどな」っていう(笑)感じ。

 仮定法ですね。

 そうそう。こんないい男と踊んないの?みたいな(笑)、そういう……

 こういう言い方しますよね?

 はい。


Guaco “Si fuera tú bailo conmigo”

 というわけで、私ですら、今のヒット曲をただ聴いてるだけでは、ボーッと聴いてるだけでは分かんなかったんですが、アルバムを入手してみてこのトラック聴いてみて、あーそういうことだったのかと、よく分かりました。イントロ、アウトロとマンボの冒頭にこのチンバングレの現地録音をわざわざ挿入してるわけですが、その、マニフェストとしての意図は明白だと思います。結構彼らはね、昔っから革新する時に、イノベーションする時に、俺たちこういうつもりでやってるぜ!みたいなことを、自分で歌ってたりするんです。

 ちらっと出しておく? これは、ちゃんと見てね!って。

 これはもう今だからサウンドでやってますけど、昔は歌詞に歌ってた。

 うーーーん。

 宣言と言い訳は……(笑)

――会場笑――

 ま、でも今のはね(笑)、歌詞っていうよりは太鼓で、ね。そこで聴かせないと……

 そうそうそう。そういうこと。

 もう、分かる人にしか分からない(笑)

 でも、分かる人には分かる、これを聴いたら分かってくれるね〜っていう話なんですよね。ま、そんなわけで、要は基本コンセプトは分かって、後はひたすらもうダンサブルでポップな現代グアコなので、最新のヒット曲2曲を続けて聴いていただきましょう。

 「ビーボ」と「バハ」ですね?

 はい。一言だけ言っておくと、この時代、やっぱり一番人気あるラテン・ダンス音楽はレゲトンなので、このストリート系の音楽に接近してるってことですね。「バハ」でレゲトンに接近してる。ジャンクと言われているレゲトンなんですけど、最新の『ラティーナ』に出ましたけど、「みんなジャンクって言ってるけど、グアコがレゲトンなんかやっていいの?」って言ったら、グスタボは「いや、悪い音楽ってのは無い。出来の悪い音楽があるだけで」と言ってました。ということで、出来のいいレゲトンを(笑)今日の最後の曲に。

まず、最初は「ビーボ」ですね。もうひたすらポップな……だけど今予習したように、チンバングレの太鼓のビートが根底に踏まえられています。では、2012年に作った「ビーボ」ですね。YouTube映像は200万回ぐらいヒットしてます。それではお聴きください。


Guaco “Vivo”

 サン・ベニートの太鼓、チンバングレ、いろいろあるんですけど、今の「ビーボ」は、さっき現地録音をお聞かせした、宮入の時のリズムを踏まえてますね。

 カッコいいっすねー。

 カッコいいっすね。だから、どんどん前のめりに……

 自然にこうなっちゃいますねー。

 で、これは私、音源でしか聴いたことないんで、現地の人たちがどう楽しんでるか知らないんだけど、たぶん、ダンサーというかフロアの人たちは、メレンゲのステップで踊ってるでしょうね。

 そういう感じですよね。

 うん、と思います。さぁ、最後にレゲトンを踏まえた「バハ」を聴いていただきます。

 あー、もう最近の最大のヒット曲。

 そうですね。

 いや、でもこれめっちゃカッコいい!

 カッコいいですよね。うん……

 ねーねー、グアコにしては色気があるんですよね。って、変な言い方なんだけどー。

 なーるほどねー(笑)。うん、なるほど……

 カモ〜ンな感じなんですよねー。ふふふ……

 では、このトークセッションの部、最後の曲。2015年最新アルバムの、去年のレコーディング『プレセンテ・コンティヌオ(継続し続ける現在)』。

 スマホのジャケットね!

 あれはちょっと、またね……

 あれも最悪な感じなんだ(笑)、相変わらず。

 ビジュアル的には、相変わらずダメですね(笑)。

 それもこう、ひとつの老舗ゆえの……

 じゃあ、お聴きください。「バハ」。


Guaco “Baja”

 カッコいいっすね〜〜。

 カッコいいっすね。これはチンバングレの太鼓でいうと、道行の時のリズムを踏まえているわけなんですが……

 これは100%、日本公演でやりますから。

 やります!絶対やります。立ち上がって踊っていただきたいですね。何しろグアコ、今、パーカッション部隊はコンガでしょ、ボンゴでしょ、ティンバルでしょ、それからドラムセットでしょ、あとタンボーラとチャラスカ、6人いるんです。

 はい、凄いっすねー。

 で、これは音源では再現できない! あの、この「カフェ・ラバンデリア」の音は素晴らしいんですけど、JBLのスピーカーで……。結局、太鼓って音圧があって、周波数じゃなくて空気の振動があって、それはもう身体にきますので、これだけのリズム部隊がいると、もう現場に居ると、もうそれが来るわけで。そうすると、より、これは意外と普通のレゲトンに聴こえる部分が、そうじゃない複雑なニュアンスを……

 もう、めちゃめちゃカッコいいですよ、絶対生は凄いと思うし。

 例え、最前列じゃなくてもね。現場で空気が振動してるのは全然違いますから。それは、現場で聴いていただきたい。

 ルイスもカッコいいし。

――会場笑――

 ルイス・フェルナンド、素晴らしいですから。僕もルイス・フェルナンド押しですよ。

 なんかね、写真をさっき……いいやつを……そうそうそう、この一番右のこっち側の人ね。ちょっと兄貴っぽいでしょ? これはただのおっさんだけど。でもね、やっぱり一番いいのはグスタボなんだけど、でもやっぱりルイス、凄いいーっすよね?

 ネギートの甥っ子ね、うん。そんな感じで、いや、繋がりましたね、現代まで!

――会場大拍手――

 やったー!! やったーー!!! この達成感は、何だ!!!!

 今日はもう、あと3時間とか言わなくてもね。かけられるからね、大丈夫ですよね?

 そうそう。いやー、この達成感は凄いなーっていうか、いや、グアコを創立期から現代まで繋げるっていうのは、なかなか大変な作業……(笑)

 なんせ、58年とかやってるからね〜。

 そう、58年。

 そう、生まれた子が58歳だもん。

――会場爆笑――

 石橋さんよりも上でしょ?

 私、54歳ですからね〜。

 でしょ? そうそうそう……

岡本郁生 はーい!(と挙手) あの人も……(と伊藤嘉章氏を指さす)

 ほら、生まれた子が、こんなに大きくなっちゃう。

 いやー、だからこれを解説するのも執筆するのも大変だけど、音で繋げるのも大変な作業でした。「カフェ・ラバンデリア」のオーナーさんに、心からお礼を申し上げたいと思います。

――会場拍手――

 何か、質問ある方いらっしゃれば、お答えしますけれども? 早く踊りたい!?(笑) どなたか??


<質問コーナー>

ご来場者1 第4期のチャシンの時のバンドでも、タンボーラは健在だったんですか?

 今の「バハ」も……

ご来場者1 今あるのは分かるんですけど、第4期も?

 入ってます、入ってます。あのー、第4期に入ってから(タンボーラが)一人になった。

ご来場者1 あ、減ったってことですか。

 うん、第3期まで二人だったのが、一人になった。

ご来場者1 第4期のJLCが座付き作者として居なくなってから、第5期は誰が曲を書いてるんですか?

 いろんな人が書いているわけです。そういった意味では……これは私のグアコ観ですよ、「グアコは座付き作者が居なきゃダメだ」というのは。これは石橋の考えなので(笑)。

 あれですよね? 効果は個人の感想です、みたいな小っちゃく書いておくみたいな(笑)。

 そうそうそう。でもやっぱ、これは石橋のグアコ観ですけど、今の第5期に関してはやっぱその点は、散漫な感じがする。やっぱ……

 まぁね、1曲いい曲あったりとかする、ヒット曲もあるけど……

 結局ね、平素のグアコのアレンジはあまりにも作り込む、クリエイティヴ過ぎるから……こう、楽曲くらい安定して欲しいって、そういう感じはあるよね。

 まぁね、これからそういう人が現れれればいいけど。

 現れて欲しい。だから、それは考えてんじゃない? それは、私がそんなこと言ってるくらいだから、グスタボ・アグアドはそれが……

 でも、グスタボが2013年に一回、俺は活動を減らすとか宣言したことがあったんですよ?

 彼が、歌手として?

 そうそうそう。まぁ歌手としてはもう、結構抑えめになってるけど、もうグアコの活動を半分ぐらいに減らして、もう隠居するみたいなことを言ったけど、なんか撤回されてますよね? まだやってるから。

 あー、分かんない。今、体調は最高だとか言ってた。

 60代後半ですよね?

 そうですね。

 まぁ、もう滅茶苦茶元気なんですよね?

 元気。バイパス手術をして……

 バイパス手術も成功して、腰痛も克服したし。

 うん。で、このね、第5期……今、第5期が散漫みたいなことを言っちゃったけど、それは第4期があまりにも素晴らし過ぎるので。何しろ、繰り返し言うようですけど、1曲として駄作は無い! 2曲似てる曲は無い、この時期は。

 なかなかねー。似てる曲、どうしても、同じバンドだと出ちゃいますよねー。

 出ちゃう。うん。それは特別な時期なんですけど、第5期も素晴らしいですよ。特に私は、『エル・ソニード・デ・ベネスエラ』、ここから第5期が始まったという、ここまで、60年代から2015年まで串刺しでお付き合いいただいた皆さんは、その面白さが分かるから、やっぱり『エル・ソニード・デ・ベネスエラ』がお薦め。あとは楽曲という点では『グアヒーロ』は、私は好きですね。これらは、ネットで買えると思うから……

 まだ新しいからね。

 うん、まだ新しい。だけどグアコはマネージメントがなってないから、すぐ廃盤になっちゃうんで。

 なんか、レコード会社もどうなってるんだよー、っていう感じだしね。このところ10年とかねー。

 そう、見つけたら買うことですよ。普通は来日アーティストは、コンサート会場販売用の盤を持って来るけど、ほんとにちゃんと持ってるかどうかも分かんないし。

 分かんないですよねー、ちょっとイヤんなっちゃいますね、ほんと。ということで、他の方はもう大丈夫ですか?

ご来場者2 2016年までに何度、呼んでみようかなぁという試みをやってみたんですか? 1990年代からやってるわけですよね。

 えーとね、90年代以降、無いです。95年以降は皆無だったんです。もう殆ど、1995年くらいまで大規模なサルサとか、あとはもっと市場的にはマイナーなフレンチ・カリブのバンドとか、10人以上のバンドを呼んで来るようなイベントがあったんですね。

ご来場者2 それは、経済的な理由?

 そうそう。そういうものが全部無くなったので、イケイケどんどんの時代でも、グアコはその当時キャスト22人だったので。今、キャストが17人の編成なんですが。

 それでも、とんでもない数ですからね〜。

 サルサだったら12人で出来るところを。

 それは多いけどね、結構。今は「トリオじゃないと」とか言われちゃう時代だから(笑)。マックス、トリオ+マネージャーくらいで、って言われちゃう時代に、それはなかなかねー。やろうと思えなかった。お金がどこにあるんだ、っていう……

 そう、だから本当に惜しかった。これ、前回のトークイベントの時も話しましたけど、今回呼ぶプロモーターのHさんと1990年前後に、ビクターのさっきの『グアコ魂』が出た頃に来そうだっていうことで、富士通カリビアン・カーニバルかな……カリビアン・カーニバルかなんかの最終選考に残ったんだよね。で、生映像が必要だからっていうことで、私とHさんでグスタボに連絡してマラカイボに行って、何のブッキングもしてなかったけど、「至急必要なんだ!決まりそうなんだ!」ってことで電話して、そしたらライヴしてくれた。彼らの、グアコ創立の地であるスリア大学で。やっぱり母校だし、無償の文化イベントとしてやりたいって。我々、遅刻して行っちゃったんだ……(苦笑)。

――会場爆笑――

 何ともラテン的な話!

 で、もちろんその欠損した映像を後で貰ったんだけどね。それで、「やった!これで決まった」と思ったけど、「22人?えーっ!?」みたいに言われて、ダメだったんだよ。

あと、引っかかったっていうと、新宿に出来た「CocoLoco」、あれも最初の時には、ティト・プエンテとか来たりして……

 そうそうそう、凄い人いっぱい来てた。

 そのノリの中で、っていう話もあったんだけど、やっぱり上手くいかなくて。

 まぁ、だから、奇跡的に……

 そう。だからそれ以降は無いですよ。皆無ですね、Cocolocoは何年ぐらい? 93、94年? 95年以降は皆無です。話もない。少なくとも私のところには「グアコ呼びたいんだけど、口を利いてくれ」というのとか、一切無い。

 まぁだから、今年見逃しちゃったら、ちょっともう見れないかも知れないから。

 いや、いやいや……

 そうは言いたくないけど。

 そうじゃなくて、今年ぜひ皆さん観て、さっき言いましたけど、「素晴らしい体験をした」と語っていただいて……

 そうだ! 盛り上げて、また呼ぶ!(笑)

 ということですね。

 はーい、ではそろそろお時間も、バイラブレな時間に……。

I&M どうもありがとうございました。

(了)
posted by eLPop at 22:05 | Calle eLPop