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世界を翔るトラックドライヴァー:修(しゅう)ちゃんの「中南米めおと珍道中」その1

2017.01.19

静岡・沼津市在住のパーカッショニストでトラック運転手……
現在、奥様とともに中南米を旅行中の高木修二さんから、レポートが届きました!
まずは、その第一弾。メキシコ〜キューバ編です。

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ラテンパーカッションをこよなく愛すトラック運転手と美味しいものとダンス好きな嫁の新婚旅行はカリブ諸国と中南米縦断に決定!ということで9月で仕事を辞め10月初めに羽田からデルタ航空でまずメキシコシティに入りました。

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メキシコへはアメリカ留学時代の友人に会いに行くというのが目的で何かを求めて行った訳ではないがそこで刺激的なものに出会えた。まずはテオティワカン遺跡のピラミッド、これはもう現場で見るというか(デカさを)感じるもので、人の手で造られたと想像しただけで鳥肌が立つくらい偉大である。もちろん現代にもっと立派なスタジアムや豪華客船とか超高層ビルなどあるのだが、時代を超えてこのスケールというのに感動してしまう。そして上に登るとスーパー気持ちいい。パワースポットなのだろうか身体が浄化されたような気分を味わう事が出来た。ここには太陽と月の二つのピラミッドがあるので、できるなら夜に月のピラミッドに登ってみたいところだ。

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それとメキシコといえばタコス。街のどこで食べてもそうハズレはない。私が気に入ったのは路上にある屋台で、朝7時くらいになると椅子が並べられ仕事に行く人が通勤途中にサッと食べてくような気取ってない感じがまたいい。あちこちにこういう屋台があるが皆同じではなくそれぞれの具で勝負していて、ある店は牛の頭の肉を煮て細かくしたものだったり、モツ煮込みだったり、サボテンだったり、花だったりと多種多様で毎日通っても食べ飽きない。とても安いし現地の人は本当に毎日食べている。日本でもコロナビールといえば皆知っているがこちらでは直営店のサロンがあり、生コロナが飲めるのである。瓶や缶のものよりも味わいがありやはり美味い。付け合わせの山盛りピクルスがここの伝統。

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メキシコで音楽といえばマリアッチ。メキシコシティにはPlaza Garibaldiというマリアッチが集まる広場があり、誕生日や何かの記念日にはここへ来てお気に入りのマリアッチをハントするのだ。私も旅の記念に一曲お願いしたのだが、お願いするにはお決まりのラテンの名曲を知らないと話が進まない。予算に応じて楽器の人数を増やしてくれて、少し奮発したら暇なマリアッチがどんどん集まってきて10人くらいのオルケスタになってしまった。実際に目の前で演奏してもらうと胸の内から何か込み上げてくるものがあり、音楽というのは演奏する側と聴く側の様々な要素が重なって喜びや悲しさや感動、メッセージが生まれるものなんだなと感じることができた。

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次にやってきたのはメキシコシティから飛行機で3時間半のキューバのハバナ。ラテンパーカッションを志す身としてキューバという場所は長年憧れの地であり、実際自分が演奏するコンガやボンゴやバタという太鼓は起源はアフリカだがキューバであの形になったのである。最近のキューバはアメリカとの国交回復、それに続くように最高指導者のフィデル カストロ氏の逝去と激動の時代である。初めてキューバを訪れたので以前の鎖国のような時代とは訳が違うと思うが、それでも日本に暮らしているとあらゆることが違うのでいろいろな事を考えさせられる大変意義のある旅となった。

ハバナでの三週間は先ずアフロキューバンパーカッションの先生を探す事から始め、朝はレッスンに通い、午後は先生が関わるサンテリアの儀式があればついていって、夜は毎日必ずどこかでソンやティンバ、ルンバのライブがあるのでできる限り観に行った。レッスンはサンテリアのバタを中心にルンバやアバクアなど盛りだくさんでとても三週間では覚えきれないが先生の考えでビデオ録画させて貰えたので帰国後ゆっくり練習するとして、キューバにはとんでもない数のリズムの種類がありこれらを全てやろうとすると一生かかるのかも知れない。そのくらいキューバはリズムの宝庫なのだ。

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ある日レッスンのない日に復習しようと道場へ行くと先生と仲間が床を掃除していて何してるのか聞くとたった今神様にお供え(すなわち生贄)をしたところだと言う。きれいにしたからお前は安心して練習しなさいとサッサと消えてしまった。部屋には血生臭さが充満しており気分が悪くなったがこういう事を理解して太鼓を叩くのだと自分に言い聞かせながら練習したのは忘れられない体験である。

旧市街の観光客で賑わうObispo通りを歩くとレストランやバーからソンやサルサの演奏が絶えず聴こえてくる。当然ながらどのバンドもすごく上手だし表現が豊かでこういう場所ではマイクは一切使わず、そのサウンドからは小編成とは思えないアレンジの効いた素晴らしい生演奏なのである。

いいバンドはお客が集まるし、そうでなければ消えてゆくのかも知れない。キューバのミュージシャンは皆生き残るために必死なのである。歌声からは力強さと悲しさが聞こえてくる。

そういう所から這い上がった人気のあるバンドは大きなステージでトップのバンドの前座や中規模のライブハウスで次のチャンスを狙う。これはどこの世界でも同じ道を辿るのだろうけど、キューバではミュージシャンとして教育を受けた者には他の道などないのだ。

Casa de la músicaは国営のライブハウスでそのトップのバンドが毎日夕方と深夜にライブがあるのだが、毎週スケジュールが微妙に変わるので週明けにはわざわざ会場まで行ってお目当のバンドがいつやるのかチェックしに行かなくてはいけない。インターネットで情報も出ているのだがそれに頼ってみたら実際違うスケジュールになってたのでやはり現地確認が必要。他にもDiablo tun tun, El jerengue, Palacio de la rumba, 大きなホテルなどでもライブがある。

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今回観たバンドを並べてみると、Yassel y 9 milimetros, El Noro y la 1ra clase, Adalberto Alvarez y su son, Azucar Negra, Bamboleo, Rumberos de cuba, Adonis y Osain del monte, El Millo, Timbalaye, とこれでも観たかったものの半分くらい。
ルンバ発祥の地とされるマタンサスにも日帰りで行ってみたが、特に何もやってなくただ小さな港町を歩き回って終わってしまった。

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ハバナから十四時間バスに揺られ、次の一週間はキューバ第二の都市サンティアゴ デ クーバに滞在。小高い丘がいくつも連なった街並みはどこか可愛らしく趣きがある。ここはサルサやティンバの素になった音楽ソン発祥の地。Casa de la trovaという名門ライブハウスがあり毎日地元のソンバンドが鎬を削っている。ここでも早速ライブハウスのスケジュールをチェックし目ぼしいバンドは全て観た。いくつかライブハウスがあり他の場所では流行に沿ったサルサやティンバをやっているバンドも観たが、サンティアゴ デ クーバではやはりソンが素晴らしい。日本でも最近ソンをやるバンドが増えているので馴染みのある方も多いのでは。特にSepteto la trova, Septeto Santiaguero, Sol y son, Morena son, Son Diamantesが良かった。毎日ライブを観て踊っていたら一週間はあっという間に過ぎてしまいモヒートも何杯飲んだかわからないくらいだ。

キューバにはパラダールという国民向けの食堂があるが大抵は個人宅を改装して作ったお店で外国人でも入れてもらえる。とても安くて美味しいので高いレストランには行かずパラダール通いが楽しみになった。キューバでは牛肉は高級品らしくなかなかお目にかかれないのだが、ロパビエハ(ボロ切れ)という家庭料理がある。牛のどの部位かはよくわからないが骨に付いている肉を煮込んでほぐしたものを味付けしてコングリという黒い豆ご飯とちょっとした野菜を盛り合わせるのが一般的。

サンティアゴ デ クーバでもいいパラダールを見つけることができた。黒人の家族がやっている店なのだが、食べるところはどう見てもその家のダイニングルームでそこのお父さんと一緒にテレビを観ながら夕ごはんを食べることに。嫁さんはここがとんと気に入ってしまい、お母さんの作るロパビエハを教えてもらえることになり三日間通った。何度も顔を合わせるとすぐに家族のように受け入れてもらい好きな音楽の話なんかすると一緒に踊ったりそれはもう幸せな時間を過ごさせてもらって別れるのが辛いのである。しかし楽しいサンティアゴ デ クーバの滞在も終わりにして後ろ髪引かれながら次の行先に駒を進めなくてはならないのであった。
パラダール_1.jpg パラダール_2.jpg パラダール_3.jpg パラダール_4.jpg パラダール_5.jpg

(つづく)
posted by eLPop at 20:03 | Guindahamacas