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eL Pop Party 静岡vol.2で水口のかけた曲

2016.08.17

eL Pop Party 静岡vol.2でかけた曲

今年もおじゃまさせていただいた静岡での忘れられないeL Popラテンイベントから、早くも時間が経ってしまいましたが、遅ればせながらイベントで紹介させていただいた曲についてこちらでもご紹介したいと思います。
昨年同様、ペルーものを中心に、1曲だけボリビアのものを紹介させていただきました。限られた中で何をご紹介するか、最後の最後まで悶絶しながら選曲させていただきました。

01:Los Morochucos "Palmero sube a la palma" (marinera limeña) 1962
ロス・モロチューコス「パルメーロ」(マリネラ・リメーニャ)


まずはアレハンドロ・コルテス(Vo)、オスカル・アビレス(Gt)、アウグスト・エゴ・アギーレ(Vo,Gt)で結成されたペルー最高のトリオとも言われるトリオ・ロス・モロチューコスの名演より、マリネラ・リメーニャの名曲を紹介させていただいた。
「パルメーロ」と題されるマリネラ・リメーニャはさまざまなものがあるが、おそらくモロチューコスによるこの曲が最も有名である。リメーニャにしてはすこしゆっくりめの演奏が特徴的。それでもリメーニャがもつ小粋さはしっかりと感じられるのがさすが。オスカル・アビレスの艶っぽいギターに力強いカホンが畳み掛けるようにガツンと入り、コーラスが美しく歌いあげる。それにオスカルの掛け声が絡むのがまたいい。後半は一転マイナー調に転換してテンポアップしたレスバロサへ。マリネラ・リメーニャが持っているこのレスバロサへの転換というギアの切り替えるかのような後半の盛り上げ方はやはり胸躍らざるを得ない。名演である。


02:Jesús Vásquez "Debemos separarnos" (vals) en "CON LA GUITARRA DE OSCAR AVILES" 1966
ヘスス・バスケス「別れなければ」(バルス)

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クリオーヤ歌謡の女王ヘスス・バスケスが、「ペルーNo.1ギター」オスカル・アビレスの伴奏で録音した名盤より。女王と敬意を込めて呼ばれているからといって、その歌声は別段力強かったり野太かったりするわけではなく、むしろ可憐でまっすぐに歌われる。そんな歌声でこういう愛の終わりを切々と歌われるともう、胸かきむしって涙するほかない、というそんな心を打つ素晴らしい歌である。
そしてそんなヘスス・バスケスの歌を支えているのがオスカル・アビレスである。もう、聴く前から心ときめかざるを得ないような組み合わせだが、実際に曲が始まると、それでも想像を上回る名演にあっという間に虜になってしまう。このアルバムは本当に名演だらけだが、その中でも比較的マイナーな曲なれど、個人的なイチオシをご紹介させていただいた。



03:Princesita de Yungay "Todo se puede olvidar" (chuscada) 1966
プリンセシータ・デ・ユンガイ「全部忘れられる」(チュスカーダ)


日系人歌手プリンセシータ・デ・ユンガイことアンヘリカ・ハラダ最大のヒット曲がこの曲だ。リマに出稼ぎに出てきたアンデスの人々が、自分たちの民衆音楽としてワイノ歌謡が音楽市場で一定の地位を占め、大スターが出始めたのが50年代。リマに比較的近いフニン県や北部のアンカシュ県からは多くの大スターが登場した。特にアンカシュからはエル・ヒルゲロ・デル・ワスカランやパストリータ・ワラシーナに続く大歌手としてこのプリンセシータ・デ・ユンガイがいる。
また、この曲を作曲したハシント・パラシオスは、「アンカシュのピングロ」と呼ばれ、多くの作曲家たちを育てた非常に重要な民衆音楽作曲家だ。「オブレーロ」「ムヘール・アンディーナ」などペルー音楽史に残る名曲を多く生み出した作曲家である。


04:Ester Granados "Con punta y talón" (vals) 1960年代後半?
エステル・グラナードス「つま先とかかとで」(バルス)

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ヘスス・バスケスとほぼ同時にデビューした同期で同い年の「ハラナの女王」エステル・グラナードスが歌うハラナなフィエスタの情景を歌い上げた名曲。ハラナとはペルーのパーティで盛り上がることを指し、同時に盛り上がる音楽をも指す。そのため、ハラナの女王ということは、パーティで一番アゲアゲの曲を歌う女性歌手であった、ということである。そんな彼女の代表曲と言えば、バルスのサビに歌詞を詰め込めるだけ詰め込んでこれでもかと早口で歌ってみせる「Suspiros」。この曲を緩急自在に、お客を巻き込みながら歌い上げる様は圧巻であるが、今回ご紹介させていただいたのは、私が大好きなフィエスタで踊る楽しみを歌い上げた名曲だ。初めてこの曲に出逢って以来、惚れぬいているバルスの一曲である。
今回紹介させていただいがのは、同時代の女性歌手たちのオムニバス・アルバムからなのですが、そのLPのジャケットがいろいろ突っ込みどころがあって非常に楽しいアルバムでした。



05:Trío Oriental "Sombrero de Sao" (taquirari) 1966-68頃?
トリオ・オリエンタル「サオのソンブレロ」(タキラリ)

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1966年に結成、今年活動50周年になるボリビア東部地方のトリオがこのトリオ・オリエンタルだ。ボリビアのベニ県出身の3人が音楽で一旗揚げようとラパスへと乗り込み、ラジオなどで人気を博したという。
タキラリというとボリビアの東部アマゾンに位置するサンタ・クルスを代表する音楽だが、昨今はいわゆる「フォルクローレ」編成によるチャランゴを中心に演奏されるスタイルがすっかり一般化してしまった。
今回ご紹介したトリオ・オリエンタルによる60年代当時のタキラリは、アコーディオンにエレキベース、ギロというシンプルな構成で、絶妙なコーラスで演奏されているまさにトロピカルなタキラリである。数多くの歌手がこの名曲を歌い継いできたが、その中でももっとも素晴らしいのがこのトリオ・オリエンタルによるものだともう。
余談だが、この曲はサンタ・クルスを代表する歌姫グラディス・モレーノも歌っているが、そちらの演奏もまた全く違う趣がありながら非常にトロピカルな良さが光るので、こちらの方も機会があればぜひ。
posted by eLPop at 18:29 | 水口良樹のペルー四方山がたり