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岸のりことラス・ペルラス:インタビュー 「これぞ、エンタテイメント!」後編

2016.05.26

 前編でご紹介した岸のりこのバック・コーラスとして「東京キューバンボーイズ」の公演時などに一緒に活動してきたのが、ラス・ペルラスのベアトリスこと毛利真帆とメルセデスことナナ・カンタリーナの2人だ。3人は「東京キューバンボーイズ」のツアー時などに、「何か歌がメインの新しいことをやりたい」とよく話していたそうで、岸のりこは「私と2人のコーラスではなく、3人のコーラス・ワークでできることを考えた」という。行動に移すきっかけとなったセカンド・アルバム『Doce Recetas De Amor(恋の12の料理法)』の収録曲のいくつかでその片鱗を聞くことが出来る。ラス・ペルラスはキューバやメキシコ、プエルト・リコの楽曲にこだわらず、ロネッツの大ヒット曲「ビー・マイ・ベイビー」など幅広いレパートリーを持ち、オリジナルも徐々に増やしていく方向のようだ。
 ここで、「ラス・ペルラスとはどんなグループなのか」という大切なことを説明しなければならないのだが、その前に、興味深い話が聞けた毛利真帆とナナ・カンタリーナについても少し書いておきたい。
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 毛利真帆は、「とにかく子供の頃から歌や踊りが大好きでアイドルになることを夢見る」少女時代を送り、卒業アルバムの将来なりたい職業欄に「歌手」と書いてしまうほどだった。しかし、そういう少女のほとんどは歌手にはならない。彼女も一旦は諦めかけたが、あるとき『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』(1989)というジャズ・ピアニストの兄弟が女性ボーカルを入れて成功&挫折する映画を見て、「こういう生き方もあるのか!」と心機一転、働きながらジャズ・ボーカルのレッスンを受けるようになった。そして、アルバイトをしていたライブハウスで知り合ったミュージシャンのバンドにボーカルとして参加し、一気に音楽のジャンルが広がった。そこからクレイジーケンバンドの横山剣まで人脈が広がりレコーディングにも参加した。仲良くなったキーボード・プレイヤーがキューバ音楽が好きだったことをきっかけに、毛利真帆は急速にキューバと接近、旅行だけでなくボーカル修行にまで出かけることになった。
 現在はラス・ペルラスを含むいくつかのユニットで活躍中で、「好きなことはボレロやフィーリンを歌うこと。ヌエバ・トローバも好き」という彼女だが、「今後歌いたい一曲を選ぶとしたら、ビオレータ・パラの『グラシアス・ア・ラ・ビーダ(人生よ、ありがとう)』なんです。これはいつか必ず歌いたい」という希望を聞かせてくれた。岸のりことはまた違った歌の世界観を持つ毛利真帆が、『グラシアス・ア・ラ・ビーダ(人生よ、ありがとう)』を歌う日が来たら、わたしは是非その場にいたいと思う。

 3人の中で実は異色の経歴を持つのが「ピアノは習っていたけれど音楽は特に好きではなかった」ナナ・カンタリーナだ。とはいえ、プロとしての活動が一番早かったのは彼女なのだ。小学6年生の時にバンドを結成してギターを担当、中学生の時には高校生とバンドをやり、ロックからファンク・ロックの方向に向かった。ギタリストとして「フライド・エッグ・ジャム」というバンドでメジャーからアルバムを1枚リリースしている。とはいえ、本格的な歌はまだでせいぜいコーラスぐらい、今の姿からは想像できない「ミュージシャン」生活が続いた。しかし、そこから、ナナにとって遠い世界であったラテン音楽にサルサを通じて少しずつ近寄って行くのだが、そのきっかけは大阪帝国ホテルにあったサルサ・クラブ「パタパタ・デ・ラ・サルサ」への出演だった。サルサ・クラブを謳うだけあってお客さんは耳の肥えた人が多く、「サルサを聞きに、踊りに来るのに、こんなにラテンを知らないのはまずい」ということになり、バンドのメンバーと「こうなったら既成事実を作ろう」といきなり1ヶ月のキューバ旅行に出かけた。そこで痛感したのは「これは生半可な気持ちでできることではない」という当然と言えば当然なことだった。
 そこから毎年キューバに行くようになり、大阪の人気ティンバ・バンド「サブロスーラ・デル・ソニード」のメイン・ボーカルとして歌唱力と小悪魔的なルックスで人気者となった。アルバムも2枚リリースした。2005年に活動拠点を大阪から東京に移しバンドが解散した後、「ナナ・ソノーラ」というユニットで2枚のアルバムをリリースしている。「あれよあれよという間に、キューバ音楽の世界にどっぷり浸かってしまった」ナナ・カンタリーナは、「ギタリストだったので言葉から音楽に入っていない。よくも悪くも歌詞にこだわりがなくリズムが優先してしまう。でも、これからはなんとか言葉を操る歌手を目指したい」と締めくくった。
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 ラス・ペルラスはそんな3人がコミカルな小芝居を混ぜて、素晴らしいボーカルとコーラス・ワークを聞かせてくれる。バックのミュージシャンは、最早日本のラテン・ピアノの第一人者と言っても過言ではないあびる竜太、頼れるベーシストは渋谷和利、パーカッションなら何でもおまかせの伊波叔という実力派揃い。これで面白くないはずはない。わたしが初めてラス・ペルラスを見たのは、結成して3回目ぐらいのライブで、拠点としている下北沢のボデギータだったのだが、笑い転げるような珍妙な小芝居とは裏腹の高い音楽性を持ったステージに圧倒された。ジャンルをくくればラテンなのだが、ソウルやジャズ、オールディーズの要素もたっぷり楽しめる。
 現在はさらに進化していて、小芝居は縮小し歌を聞かせる部分が大きくなっている。

 2016年6月16日のスペシャル・コンサートの後半がラス・ペルラスのステージだ。今回はスペシャル・ゲストにヴァイオリンのSayakaとドラムの藤井摂が参加し、開演前と休憩時間にはsayakaとelectropicoのDJも会場を盛り上げてくれる。

岸のりこ、Las Perlas スペシャル・コンサート
〜Realidad y Fantasía〜(現実と夢)
2016年6月16日(木)
会場:JZ Brat SOUND OF TOKYO
Open 17:30
1st:Start 19:30
2nd:Start 21:00
入替なし
チャージ ご予約¥4,320 当日¥4,860
ご予約受付中:03-5728-0168(平日15:00~21:00)
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posted by eLPop at 19:33 | 高橋めぐみのSOY PECADORA