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伊藤 嘉章「ファニア、私の3曲」

2015.01.09

"Abidjan" from『Hard Hands/Manos Duros』 by Ray Barretto (Fania 362/1968)

個人的思い出深い曲。初めて聴いたのは80年代、当時住んでいたアフリカ某国のディスコでした。そのローカルなディスコ「マクンバ・マクンバ」では4ジャンルの曲が時間を区切ってかかっていたがそこに踊りに来るのは・・・・いや、この話は本筋と違うので別の機会に。で、レイ・バレット。

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モンゴ・サンタマリアの後釜としてのプエンテ楽団、そしてBlue Note、Prestige、Riversideといったジャズ・レーベルのジャズのセッション、62年独立してティコと契約でブガルーやR&B色の数々のヒット、と強力に広い音楽性は67年にファニアでのデビュー作「アシッド」を大ヒットにし、2作目のこの「ハード・ハンズ/マノス・ドゥロス」も強力。パチェーコのバンドからバレット楽団に加入したオレステス・ビラトーはバレット楽団でぐんぐん力を伸ばします。ブガルーやR&B色の中、こういう曲が同居する60年代のファニアとバレットの感覚にシビレれます。


◆"Te Doy mi Amor" from 『Con Mi Viejo Amigo』 by Larry Harlow & Ismael Miranda (Fania 494/1976)

ハーロウとミランダのタッグは、何といっても映画『アワ・ラテン・シング』の「アブラン・パソ」の映像が有名ですね。その魅力の秘密はハーロウの音とミランダの血管が切れるような緊張感のベスト・マッチだと思う。この曲が含まれるアルバム『コン・ミ・ビエホ・アミーゴ』は、ハーロウ楽団の歌手がミランダからフニオール・ゴンサレスに代わって後、久しぶりの再共演。ますます脂の乗っている二人が作り出す最初の4曲の疾走感や緊張感がとにかくたまらない。その2曲目はハーロウのキューバの匂いよりミランダのヒバロ的熱情が表に出るチューンでピリピリ来て泣けます。

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◆"Yo puedo vivir del Amor" from 『The Last Fight』 by Willie Colon / Ruben Blades (Fania 616/1982)

ラボーと離れ76年の『メティエンド・マノ』で始まったルベンとのダッグも『シエンブラ』『カンシオネス・デル・ソラール・デ・ロス・アブリドス』と来て、歌手から転じボクシング世界チャンピオンとなったサルバドル・サンチェスの生涯を描いた映画『ラスト・ファイト』のサントラへとつながります。

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ルベンの歌もコロンのアレンジもさすがに完成度高い。これはラテンの歌世界であり、せつなさであり、ブラジル的な柔らかさと響きも取り込んだ豊穣であり、ある意味80年代のロマンチカの先駆けでもあるといえるのでは。特にこの曲は絶品。アルバムの一曲目からノック・アウトです。ラテンの、サルサの音があらゆる方向に広がっていったファニアのパワーを再認識させられます。
posted by eLPop at 16:14 | Calle eLPop