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ラリー・ハーロウ・インタビュー@

2015.01.05

 ラリー・ハーロウ率いるラテン・レジェンズ・オブ・ファニアが約1年ぶりに来日公演を行う。オレステス・ビラトーとホルへ・サンタナを迎える今回はいったいどんな強烈なパファーマンスを見せてくれるのか!? ますます期待は高まるばかりだが、これに先駆けて、昨年来日時のインタビューの模様をここに掲載したいと思う。一部は月刊「LATINA」で紹介したが、ほとんどは紙幅の関係で収録し切れなかったものだ。
(2014年1月27日ブルーノート東京にてインタビュー)

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 まずはやはり、2012年6月に79歳で亡くなった長年の盟友、ヨモ・トロ(Yomo Toro)のことから訊いてみた。07年、ラテン・レジェンズで一緒に来日しビルボードライブ東京に出演したのが、ヨモの日本での最後の姿となった。

――ヨモ・トロが亡くなってしまいましたね。彼の思い出を何か…。

いい話があるよ。ファニア・オール・スターズでアフリカに行ったとき…1974年、モハメド・アリのタイトル・マッチの前座のときのことだ。

<註>モハメド・アリ対ジョージ・フォアマンのボクシング世界タイトル・マッチの対戦前に行われた『ザイール'74』と題されたコンサートのこと。当時のアリの試合をドキュメントした『モハメド・アリかけがえのない日々』(1997年アカデミー賞ドキュメンタリー部門受賞)の編集担当だったジェフリー・レヴィ=ヒントの手により、34年間お倉入りになっていた125時間にわたるフィルムが編集され、09年に映画『ソウル・パワー』として日の目を見た



15時間飛んでマドリード経由でコンゴへ着いて、飛行機の外へ出たら100人ぐらいのワトゥーシ…大きい黒人たち…が、灯りがないのでひとりずつ松明を抱えて待ち構えていた。
ジェームス・ブラウン、B.B.キング、シスター・スレッジ、ジャズ・クルセイダーズ、ファニア・オール・スターズ、セリア・クルース…みんなを迎えるために待っていたんだ。

着陸すると、全員が飛行機のまわりに集まり、われわれがタラップを降りていくと、ドン・キングはじめ黒人にはひとりずつ「Welocome to the homeland/故郷へようこそ」と迎えてくれた。
そして、白人には「ハロー」とね。

で、ヨモは降りてきて彼らを見ると、「ハロー」といったとたん、「連中は俺を食うぞ」と(笑) 「なに言ってんだ」といったんだけど、黒人たちがヨモのまわりを取り囲んで、おなかを触りながら♪ウンバラバラバ…と歌っていたので、震えながら「彼らは俺を食おうとしている」と(爆笑)

で、バンドが♪カラメロカラメロ〜と演奏を始めたら、彼らはフランス語で…もともとフランス語を話すから…あとでスペイン語でも歌い出してジャム・セッションが始まって。ヨモはギターを取り出して弾き始めた。大統領宮殿でも演奏した。ヨモはいつもとても楽しいヤツだったよ。天才だったね。
で、ヨモのち○ぽは誰よりもデカかったんだ…。 

――彼に最初に会ったのは?  

ヨモは60年代にTVショウを持ってたんだ。彼はヒバロで、山の音楽を演奏していて…。あのころ私はアルセニオ・ロドリゲスへのトリビュートをやろうとしていて、誰かトレスを弾ける人を探していた。彼はクアトロ奏者だったが、紹介してもらった。彼は私をTVショウに出してくれたよ。

レコーディングはたしか大晦日。クリスマスの何日かあとで、寒かった。朝の9時から翌朝5時までやって寝てしまい、起きたら「ハッピー・ニュー・イヤー!」って(笑) 素晴らしかったよ。



――ところで、40〜50年代からユダヤ人はニューヨークのラテン音楽にとって大きな役割を果たしていましたよね。

ニューヨークから1時間半ほど北へ行ったところにキャッツキル・マウンテンというリゾート地があって、大きなホテルが建っている。夏の間、7月・8月にはユダヤ人たちは避暑のためにみんなそこへ行くんだ。湖があって、草原があって…。バケーションだ。

大きなホテルにはラテン・バンドが出ていた。アメリカンのバンドやコメディアン、歌手が出ていて、そのショウの合間にラテン・バンドがマンボやチャチャをやる。日中はダンス・インストラクターがプールサイドなんかでマンボやチャチャを教えるんだ。連中はハバナへ行ってダンスを習って来る。50年代にはニューヨークにたくさんダンス教室があって、ユダヤ人たちが教えてたよ。

キャッツキルでは、ジョー・クーバ、マチート、私、といろんな人が出ていた。そして真夜中になると、どこかにみんな集まって、デスカルガをやった。ジャム・セッションを。そこで新しいことを試した。ちょうどキューバ革命でキューバが閉ざされたあとのことだ。

(続く)
posted by eLPop at 00:23 | 岡本郁生のラテン横丁