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アルデマロ・ロメロ歌詞の世界1 「街道よ」Carretera

2014.11.12

街道よ Carretera
詞:アルデマロ・ロメロ

Carretera, acórtate, carretera
que me ahoga la distancia
de qué manera, de qué manera

街道よ、端折ってくれ、街道よ
この距離が息苦しくて
死にそうだ、死にそうだ

Sementera, perdóname, sementera
si tumbo la flor del llano
con mi carrera, con mi carrera

芽吹いた道よ、許してくれ、芽吹いた道よ
もし平原の花を踏みつぶしても
この疾走で、この疾走で

Gavilanes de las nubes,
vayan hasta la rubiera
y me traen por los cabellos
a Isabel María Contreras
Mi catirita llanera
Isabel María Contreras

雲上の灰鷹よ
いっそ羽目をはずしちまえ
髪を鷲掴みにして連れて来い
イサベル・マリア・コントレラスを
愛しい平原の金髪娘
イサベル・マリア・コントレラス

Carretera, remonta la cordillera
antes de que me convierta
en tolvanera, en tolvanera

街道よ、山並を駆け上がれ
俺が姿を変える前に
つむじ風に、つむじ風に

1971年録音 オリジナル音源
https://www.youtube.com/watch?v=hTFPz1iF0_0

オンダヌエバの代表的作品。ボサノバでいえば「イパネマの娘」に匹敵する定番曲。物語は、アルデマロ・ロメロの実体験にもとづく、フィクションだ。その実体験とは?
「ベネズエラ民衆文化の父」として慕われたシモン・ディアス。今年3月に亡くなったばかりだが、シモンとアルデマロは、信頼しあう友人同士だったという。1950年代、ベネズエラ音楽業界ならびにテレビ・ラジオ業界草創期から、ふたりは欠くべからざるタレントとして、活躍してきた。
日本の放送芸能業界にたとえるなら、コミカルなマルチタレント、歌よし、トークよし、演技よしという意味では、シモン・ディアスは黒柳徹子のような存在だったといえるかもしれない。「田舎出身」キャラという点では、三橋美智也的要素も包含する。ジャズをベースにした都会風の放送音楽を、作詞作曲ともに手がけたアルデマロ・ロメロは、さしづめ永六輔・中村八大コンビといったことろか。
放送音楽業界草創期から活躍する両巨頭が、1960年台の末、旅に出る。ベネズエラの伝統音楽ホローポをベースに、ジャズとボサノバの要素を融合した新スタイル、オンダヌエバを発表していたアルデマロ。彼を、シモン・ディアスは、自身の故郷でありホローポの本場である平原地方に誘いだしたのだ。都会っ子のアルデマロは、平原の奥地に足を伸ばしたことが、それまでなかった。
果てしない大地、大河、木陰、草花、野生動物たち、生身の牧童、はるかなアンデスの山並み、、、この旅の体験は、アルデマロの心を揺さぶった。「街道よ」は、この時の旅の体験と、シモン・ディアスの友情に捧げれれた曲なのだ。
曲の設定は「親愛なる友」との思い出でなく、架空の平原娘イサベル・マリアへの疾る思いに置き換えられてはいるが、、、
「だって、そのほうがキレイだろう?」
巨匠ふたりの高笑いが聞こえてきそうだ。
posted by eLPop at 22:30 | 石橋純の熱帯秘法館