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エディ・パルミエリとニューヨーク・ラテンC<70年代>

2014.09.22

――アルバム『バモノス・パル・モンテ』などを録音したとき、あなたは新しいラテン音楽を作ろうとしていた、ということですね?

そのとおり。新しい、だけじゃなく、違う音楽だ。
兄がオルガンで・・・それまでは私たちがやったような形のものはなかった・・・「バモノス・パル・モンテ」の有名なソロを弾き、チョコラーテ・アルメンテロス(トランペット)が、単なるソロ以上のことをやっている。そして私たちは、あるメッセージを伝えようとしていた。あるステートメント/声明を出すのにいい時期だったんだ。それはひとつのムーブメントであり、みんながわれわれの新しい音楽・新しい作品を聞いて興奮していた。
『バモノス・パル・モンテ』はとてもエキサイティングなアルバムだ。これも71年にリリースされたと思う・・・。

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――タイトルは「山へ行こう」という意味ですが、ニューヨークではどこに山があるんでしょうか?

街のなかの状況が問題だった。われわれはいつも緊張してリラックスできない。街は物価が高くて、貧困のせいで暮らしは楽じゃない・・・そういったことすべてがニューヨークでは起こっていた。
だから、逃げ出そう、山へ行こう。ニューヨーク・シティから逃げ出して山のほうへ行こう、キャッツキルへ行こう、ニュージャージーへ行こう。とにかく脱出しよう・・・と。
それはいまやテーマ曲だ。ニューヨークだけじゃなく、中南米諸国はじめどこででも。そういうメッセージなんだ。

――だからみんなにアピールしたわけですね。

リズム的にとてもエキサイティングだし、ダンサブルだ。ダンスしてもいいし聞いてもいい。グッド・メッセージがある。アレンジもいい。オルガン、エレピ・・・いろんなもののフュージョンで、ポジティブになれる。

――若くて才能のあるミュージシャンを使ってますよね・・・

若くて才能があり、ほかとは違う連中だ。ニッキー・マレーロ、トミー・ロペスの息子のチョッキー・ロペス、ジェリーとアンディのゴンサレス兄弟・・・いろんなミュージシャンが入ってきて、新しい局面を作った

――そういうミュージシャンをどうやって見つけたんですか?

私が見つけたんじゃなくて、彼らが私を見つけたんだ(笑)。みんなが入りたがった。一緒にやって楽しくてエキサイティングなバンドだとわかっていたから。いろんな手段を使って入ろうとしたね。

――そのころちょうどファニアが全盛期を迎えました。

70〜71年ごろにはすごく売り上げを上げるようになって、『アワ・ラテン・シング』という映画を作った。あれがラテン音楽にとってはとてもいいプロモーションになり、ファニア・オール・スターズでツアーをよくするようになった。74年にはイスマエル・キンターナもファニア(系列のVAYA)に入ったので、私自身はココ・レーベルという別の会社へ行った。

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――ココでは数々の傑作アルバムをリリースしましたね。

そうだ。だが、いろいろと問題があって、すぐに離れた。
最初のラテン・グラミーをとった『ザ・サン・オヴ・ラテン・ミュージック』(74年)、翌年またグラミーを取った『アンフィニッシュト・マスターピース』。それ以降は録音していない。そのあとはエピックに移籍して『ルクミ・マクンバ・ヴードゥー』(78年)を録音して、それからファニアに移った。そして『パロ・パ・ルンバ』(84年)でまたグラミーを取った。もう昔のことだけどね…。

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――素晴らしいアルバムばかりですね

『ザ・サン・オヴ・ラテン・ミュージック』の前には、グラミーにはラテン部門はなかったんだ。ラテン部門のたったひとつの(最初の)グラミーを取った。翌年もそうだ。いまではいろんな部門があるけどね。

<註>
75年度、『ザ・サン〜』で創設されたばかりの「ベスト・ラテン・レコーディング」を受賞。翌76年度には『アンフィニッシュト〜』で再び同賞を獲得した。



――アルバム『ルクミ・マクンバ・ヴードゥー』について。

これは実験的でエキサイティングなLPで、フランシスコ・アグアベージャがバタで参加したり、いろんな実験をした。英語の歌詞でラテン・リズムを使って・・・。でもエピックは、どう売っていいのかわからなかった。それでもう、エピックとはやめにして、80年にファニアと契約した。

――あなた自身ではこのアルバムをどう思っていますか?

大好きだよ(I love it !)。素晴らしいアルバムだ。チョコラーテをまた使って、ビッグバンドで・・・。ブラッド・スウェット&ティアーズのボビー・コロンビー(ドラムス/プロデュース)がいい仕事をしたよ。



(続く)
posted by eLPop at 14:54 | 岡本郁生のラテン横丁